2023年3月11日土曜日

N183系 特急オホーツクの旅

北海道の移動を長らく支えてきたN183系が、2023年3月のダイヤ改正を以て定期運用から退くこととなった。札幌を中心に、稚内、網走、釧路、函館と道内を駆け巡ったN183は、特急オホーツク、特急大雪で最後の活躍をしている。今回は特急オホーツク1号に全区間乗車し、その旅をしっかりと記憶に焼き付けた。

2023年3月4日早朝の札幌駅。オホーツク1号は7番線から出発し、網走までの営業キロ374.5kmを5時間21分で走る。

なんと、今回乗車するのはグリーン車!鉄旅の先輩であるJ氏が是非乗ってこいとグリーン券をプレゼントしてくれたのだ。憧れのハイデッカーグリーン車に乗れるなんて、こんな嬉しいことはない。

オホーツク1号となるN183系が苗穂からやってきた。この日は1両増結され5両編成。遠軽方より、キハ183-9562、キロ182-7552、キハ182-7557、キハ182-7551、キハ183-1503である。

札幌駅7番線に収まった特急オホーツク1号。お隣は6:52発の特急北斗4号。

乗車するのはキロ182-7552ハイデッカー車。奥に見える普通車と比較すると窓の高さが大幅に異なっている。北海道の車窓をハイデッカー車から眺められるという、贅沢この上ない車両である。

ハイデッカーグリーン車の車内は3列シートで構成され、ゆったりとした空間が確保されている。シートは分厚く身体を包み込むような感じである。この日のグリーン車はほぼ満席であった。

ヘッドレストには読書灯が備えられている。座席下方には足のせ台もあり、非常に快適である。実際、旅の途中ウトウトしてしまい、旭川のあと上川まで記憶が飛んでいた。

0:18 汽笛             
0:25 発車             
1:55 オルゴールと案内放送     
2:57 汽笛             
3:04 苗穂駅通過          
3:16~快速エアポートとの併走    
5:26 快速エアポートを抜き去る   
5:30 汽笛             
5:39 白石駅通過          
6:23 札幌貨物ターミナル通過    
6:48 平和駅通過          
7:38 千歳線分岐と再び快速エアポート
8:20 厚別駅通過、加速       

朝食は札幌駅の名物駅弁「石狩鮭めし」。札幌駅構内の弁菜亭は早朝から営業していて、オホーツク1号の乗客はここで駅弁を買える。有難いことにHOKKAIDO LOVE!割の電子クーポンを使うことが出来た。鮭とイクラと錦糸玉子、そして味付け御飯のバランスの素晴らしいこと。色合いが食欲をそそる。勿論、味のほうも見た目同様に秀逸である。

乗車した2号車は旭川で乗客を加え、ほぼ満席状態で石北本線に入った。上川駅を出るとだんだんと雪が増えてくる。写真は旧中越駅こと中越信号場。

上越信号場へ向けてエンジンを唸らせながら勾配を登っていく。勾配がきついのか、流石のN183系も速度が下がる。0:13より北見峠に関する案内放送。冬は3mの積雪になるそうだ。4:50上越信号場。5:30北見トンネル。

丸瀬布のあたりではエゾシカが列車前方に出没し、低速走行になった。そのため列車は4分程の遅れで東進することになった。

列車は4分遅れて遠軽駅へ到着した。3分間の停車時間があり、皆一斉にホームへ降りて車両を撮影する。ここで列車の向きが逆向きになるため、乗客は一斉に座席の向きを転換した。

2019年5月に閉店した遠軽駅の駅そば屋さんは当時のままの状態で佇んでいた。
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ここで過去の振り返り
こちらは、営業していた2017年当時のそば屋さんである。この時、上り特急大雪の停車時間3分間で「車内持ち込みで、あいがもそば、出来ますか?」と聞いたら店主の方が「大丈夫ですよ」と即答して、急いでそばを出してくれたのだった。

N183系特急大雪の車内で賞味した、遠軽駅あいがもそば。大変美味しかった。

キロ182ハイデッカーグリーン車には、補助席が2つ備えられている。補助席の前には車内販売準備室があり、ここで買うときに座って待つことが出来た。

この写真は特急北斗で、車内販売が営業していた当時の車販準備室の様子である。流しや給湯設備がある。

特急北斗乗車時、この車販準備室に車内販売員の方がいたタイミングでアイスクリームを買い、補助席でこれを堪能した。窓際にちょうどアイスを置けるスペースがあり、これが良い具合。

アイスクリームに加えて、ホットコーヒーも買ってしまった。車内販売で買うカップのホットコーヒーは一際美味く感じる。

カップコーヒーのカップはJR北海道独自のものであった。

2017年に特急オホーツクに乗車した時はガラガラで、遠軽から生田原まで先頭の自由席かぶりつきシートを暫し楽しんだ。写真は廃止されてしまった生野駅。この後、生野駅安国駅を訪問した。


生田原駅から網走を目指して発車していくオホーツク1号。この時はヘッドマークがOKであった。個人的には現在のヘッドマークとして使われている能取岬と流氷のイラストの方が良いと思う。

2017年当時は半室グリーンの基本番台キロハが連結されていた。

生田原駅から乗車したのは特急大雪。

過去の振り返り ここまで。
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生田原を出ると常紋越えに差し掛かる。段々と速度が落ちていき、峠越えの様相となる。4:15常紋トンネル、4:58汽笛、5:00旧常紋信号上の引上げ線。

札幌からおよそ4時間半、石北本線随一の規模を誇る北見駅へと到着した。多くの乗客が降りていく。

網走到着前には、進行方向左手に網走湖が見えてくる。網走に来たなあと感じる瞬間である。

そして終着の網走へ到着。ヘッドマークの幕まわしが始まる。
0:11 ホームライナー  
0:16 北斗       
0:30 サロベツ     
0:36 旧オホーツク(OK)
0:43 大雪       

折り返し特急大雪として、発車を待つN183系。大雪のヘッドマークのデザインは良い。

個人的に、キハ82の流れを組むバランスのとれた3枚窓デザインが好きなので、N183系の前面はかなり好きである。同じ理由で373系やEF65 PFのデザインも秀逸と感じる。

先頭車キハ183-1504には発電用エンジンが床下に備えられている。先頭車で言えば、基本番台のキハ183は床上に発電エンジンが積まれていたので、乗車定員40名と座席数が少なかった。N183系は定員60名と20名も乗車定員を増やすことが出来ている。因みに駆動用エンジンはキハ54と同じものであり、キハ183-1500は同時期に登場したキハ54と兄弟車的な存在だ。

北海道旅行で良く御世話になったN183系。最後に憧れていたハイデッカーグリーン車5時間もの旅を堪能でき、大変幸せな時間であった。グリーン券をプレゼントしてくれたJ氏にこの場をお借りして感謝申し上げます。

最後に特急大雪の発車を見送ってオホーツクの旅を終えた。


2022年4月2日土曜日

仁山駅

[読み] にやま
[路線] JR北海道 函館本線
[隣駅]   新函館北斗(3.3km)←仁山→(3.7km)大沼
kmは営業キロ
[位置] 北海道亀田郡七飯町仁山

J氏からお勧めの駅として教えてもらった仁山駅。仁山駅が魅力溢れる駅でありながら降りていなかったのは、日没後に通過していて、その魅力を見逃していたためである。実際に訪問してみると木造駅舎のほか、板張りホーム、加速線など、予想以上に面白みのある素晴らしい駅で、滞在の1時間26分は大満足な時間となった。

函館本線は七飯から大沼方面へ向かい、高度を上げていく。七飯駅の標高が34mに対し、大沼駅の標高は130mと、この区間で一気におよそ100mの高度差を駆け上がる。然るに線路も上り勾配が続くわけで、線路は七飯と大沼の間で緩勾配の藤城支線と急勾配の本線に分かれる。仁山駅は勾配の厳しい本線上にあり、それゆえの独特の設備も残っており、そこがまた魅力となっている。

赤井川駅訪問後は函館で一泊し、翌朝7:19発の大沼公園行きで仁山駅を目指す。3番線に停まっている2両の内、前方の1両が大沼公園行きとして発車する。

車両は「道南 海の恵み」としてマイナーチェンジされたキハ40 1809であった。沿線活性化を目的として導入された。大沼観光への利用にこの車両が当たったら旅行にひと花添えてくれることだろう。

床は光沢のあるニス塗り調となり、座席には木材を配して車内をグレードアップしている。ボックスシートの中間にある床の蓋はテーブルを設置するための固定具のようだ。

ボックスシートがそのままに活かされているという点が素晴らしい。キハ40の良いところはボックスシートの多さである。

扇風機のスイッチは健在。

五稜郭を出て、桔梗、大中山のあたりは列車左側に広がりのある風景が広がり、中々良い車窓を得られる。今までこの区間を乗車する際は、森駅から先で内浦湾を眺めるために進行方向に向かって右側席を意識的に選択していたのだが、この日は朝の列車ということもあり、直射日光を避けるため左側に乗車した。結果的に左側の車窓の良さを発見することとなった。

新函館北斗を出ると次は仁山駅。

新函館駅から仁山駅の標識が見えてきた。新函館北斗からの区間はずっと上り勾配で、キハ40はエンジンを唸らせながら走って行く。

仁山駅構内が見えてきた。勾配の途中に駅があることがこの写真からわかる。左手に写っている線路は元々加速線として使用されていた側線である。

列車左手に見える側線。これが仁山駅の加速線である。勾配の途中にある仁山駅に下り客車列車が停車すると、この加速線に入ってから発車したという記録がある。Hideki Uegamiさんの 「I love Switch Back」というウェブサイトに仁山駅の加速線について詳しく解説されているので、仁山駅へ行かれる方は是非このサイトを一度ご覧頂くことを勧めたい。

駅構内も上り坂は続く。大沼寄りの曲線上にホームがある。

7:52、定刻通りに仁山駅へ到着。下車したのは私のほかに老夫婦2名。乗車客はいなかった。上り勾配発車でブレーキを緩解しきる前に力行開始。キハ40 1809は上り勾配をゆっくりと発車していく。

仁山駅の構内は緩やかな曲線を描いている。この線形、好きである。

予想外だったのがコレ!仁山駅ホームは板張りがあったのだ。ステップを踏む度に板張りホームならではの心地よい感覚が足から伝わってくる。交換設備のある駅で板張りホームを備えているのは、根室本線の古瀬駅(2020年3月14日廃止)以外思い当たらない。

ホームに板張りが使われている理由は恐らく下の小川。構造上軽量にしたかったのだろう。

仁山駅は素晴らしき木造駅舎が現役である。エンジ色に塗られた屋根には雪国らしく、雪止めが備えてある。クリーム色で化粧された板張り外壁は屋根の色とマッチして非常に落ち着きのある外観となっている。

手歯止め配備個数4個、制動靴配備個数2個。勾配途中にある駅を物語っている。制動靴とはカーキャッチャーのことで、車両の逸走を防止するための道具のこと。

出入り口の庇を支える柱は下半分が交換されている。

柱の継ぎ目はテトリスのようにはめ込んで鋲で留めてある。よくぞこんなにピッタリとはまるように製作したものだ。

風情ある駅舎の入り口。


朝日に輝くラッチと歴史を感じさせるデザインのドア。函館駅からたった数駅でこんな素晴らしい駅があったとは思いも寄らなかった。

待合室内は格子天井と木製のベンチのある古いつくり。大きな窓が多いせいか、とても室内は明るい。コンクリート敷きの床は埃や虫の死骸などが一切無く、非常に清潔に保たれていた。

ベンチに座って出入り口を眺めて見る。この駅には窓口や荷物台の名残が無い。元は信号場で、仮乗降場的に旅客営業していたため、そもそも窓口が設けられなかったのだろうか。写真右端にあるのは駅ノートと額に入れられたイラスト。

駅ノートの書込は結構多かった。魅力的な駅でありながら、比較的列車本数が多いとあって、訪問者が多いのだろう。自分も先人達に習って一筆残させてもらった。

ご覧の通り、発着の本数は結構多い。運賃表にある池田園流山温泉銚子口は過去帳入りしてしまった。

駅の正面もまた風情のある外観となっている。

こちらはトイレと手洗い場。

駅前の目と鼻の先にはニヤマ温泉あじさいの湯、そしてニヤマ温泉ホテルN・Kヴィラという宿泊施設もある。とても閑静で雰囲気の良い土地にあるだけに、できれば一泊してみたいものだ。

特急北斗が通過してゆく。北海道新幹線が開通した後は新函館北斗駅に停まる全ての特急が仁山回りとなり、下り特急も通過するようになった。この駅の交換設備が依然にも増して重宝されているはずである。

3062レ札幌タ発、越谷タ行きがやってきた。下り勾配で速度を抑えながら構内を走っていく。

2面2線からなる構内は構内踏切で接続されている。

上りホームへ上がると駅舎全景を見上げることができる。スロープが画に加わって、上りホームからの駅舎も中々素晴らしい。

上りホームの函館側端部に来ると、この駅が勾配の途中にあることを実感できる。

上りホームから函館側を眺めて見る。20両編成の貨物列車待避が可能なように有効長はかなり大きくとられている。

駅名標と名所案内。

往路で乗車したキハ40 1809が大沼公園で折り返し、函館へと戻っていく。この列車は見送り、もう一本後の列車で駅を後にする予定である。この余裕をとった理由は加速線を見るためで、さらなる滞在時間が必要だったのだ。

駅前の踏切からは向かい側の藤城線側にある城岱牧場を遠望できる。高台の高原にある仁山駅からの景色は実に眺めがよく清々しい。仁山駅から新函館北斗に向かって左側は夜景が綺麗で、上り北斗星に乗車していると函館駅へ近いことを実感するところであった。

仁山駅構内の函館側をズームアップすると右側に分岐している線路が見える。これが加速線で、ポイントの摺動部には潤滑剤が塗布され、分岐機能は健在だった。

駅を背にして線路沿いの未舗装路を歩き、加速線を見に行ってみる。

手前が加速線、奥が本線。勾配のある本線と平坦な加速線の位置関係が一目瞭然。加速線は途中からさらに分岐している。

何故加速線が途中で分岐しているのかは謎である。加速線は基本的に常時空けておく必要があって、保線車両の留置をする際には分岐した先に入れるのではなかろうか。

構内配線のイメージ図を描いてみた。大沼方面へ向かう列車が勾配途中にある仁山駅で落ち葉や雪などで起動できない場合は、一度加速線へ後退し、そこから発車するのかもしれない。構内で下り線に接続されているので、信号機能の点で加速線まで後退しやすい。20パーミルの勾配途中に駅ホームがある特殊性ゆえの設備であり、頼もしいものだ。客車列車時代は実際に加速線に入った履歴があるようだ。現在は保線車両の留置線としての機能が主と思われる。

加速線の観察を終えて、駅に戻る。やってきたの2番目の下り列車、普通長万部行き。

貴重になってきたキハ281系使用の北斗2号が通過。

9:18発の普通函館行きが定刻通りにやってきた。乗車するのは自分含め鉄人2名。

車内は比較的混んでいて、ボックスシートは全て埋まっていた。自分は最後部のロングシートに座り、車窓を堪能しつつ仁山駅を後にした。動画内0:45頃およぼ10秒間、加速線が映っている。

いやはや、仁山駅がこんなに素晴らしく面白い駅だとは思わなかった。周囲の民家は3軒ほど、高原調のさわやかな雰囲気に、良い景色、板張りホームに風情のある木造駅舎。そして交換設備に加速線の存在と魅力満載。函館近辺を鉄旅する方には仁山駅訪問を勧めたい。



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