2016年10月30日日曜日

蕨岱駅

長万部から数えて小樽方へ二駅目にあたるのが蕨岱(わたびたい)駅。森の中に佇む車掌車改造待合室は驚くほど快適である。国道5号線沿いにある駅ということもあって、鉄人以外にも様々な旅人が訪問するようで、駅ノートへの書き込みの多様さがまた面白い駅でもある。

※2017年3月4日を以て廃止されました。 


 
駅前の神社にお参りをし、そこから蕨岱駅を撮影した。
駅は森に囲まれている。 

函館本線は長万部駅から徐々に高度を上げ、
一つの分水嶺に達する。蕨岱駅はその付近にある。

 
長万部からキハ150の単行に乗り、蕨岱へ向かう途中、
突然列車のスピードが落ち、徐行となった。
前方左手の藪の中にエゾシカが3頭ほど隠れていたのだ。 
そのときデッキで前面を見つめていた私であるが、
列車が近づくまで鹿の存在に気づくことはなかった。
運転士氏の前方注意力というのはさすがで、
プロの目の凄さを実感した瞬間であった。

 
蕨岱駅で下車したのは私の他に、地元利用客一名であった。
鹿で減速したときに、私に話しかけてきたのがその方で、
蕨岱駅について少し話を聞くことができた。
 その方曰く「私はいつもここ(蕨岱駅)を使ってる。」とのことで、
地元客の利用がちゃんとあることに嬉しくなった。
駅巡りの目的を伝えると、蕨岱駅の周囲では
蛇が出ること、クマの糞もたまにあることなどを教えてくれた。

 列車が去った後の駅ホーム。
比較的長いホームが小樽側へと延びている。

こちらは長万部側の風景。
先の方で曲がっている線形は交換設備の名残であろう。

駅名板は巨大なワラビではなく、フキ?に囲まれていた。

車掌車改造の待合室がある。
この手の待合室は塗膜が劣化していたり、
デッキ部の一部が腐食で穴があくなどの
ケースが多く見られるのだが、
蕨岱駅はいたって綺麗で、これらの部位はほぼ無傷であった。

 
デッキの窓枠はアルミサッシに換えられ、とても良い状態である。

 待合室デッキの上側を見てみる。
規則正しく 並ぶリベットが、その古さを感じさせる。

 
駅前の国道5号線には蕨岱駅と縦に書かれた
小さな看板がある。
褪色で文字がかすれかけていて味がある。

駅前の道路にはニセコバスの路線が走っている。
バス停の名前はなぜかカタカナとなっている。

  
駅前には国道5号線が走っている。
一級国道だけあって、そこそこ車が通る。

こちらが待合室の中。

非常に清潔感のある待合室である。
床にはゴム製?のマットが敷かれていて、
壁は木目の化粧が施してある。
とても綺麗なベンチが3つも置いてある。

 
ベンチは木製でフラットなので、
ついつい寝転んでしまった。

ローカル無人駅には欠かせない駅ノート。
北斗星からの乗り継ぎで訪問した人など数々の鉄人達のほか、
ライダー、チャリダー、トホダーの旅人達が
この駅で一休みしたとの書き込みが複数見られた。
国道5号線沿いであるがゆえの書き込みである。
この駅で二泊したという猛者もいるようだ。
私もここに一筆残したのだが、
「蕨」という漢字を直筆で書いたのはこのときが初めてであった。

やがて夜の帳が下りてきた。
待合室に灯りがともる。

 駅のうえで月が輝き始めた。

 
 長万部側のデッキにある喫煙コーナーにも
灯りが点灯した。

 
やがて、私が乗ろうとする小樽方から列車がやってきた。

 長万部への列車は上下に前照灯がある車両、
キハ150のようだ。

 
長万部行きの列車もまた単行であった。
この列車で蕨岱駅を後にした。

 
乗車すると、車内はガラガラで
乗客は数えるほどしかいなかった。






 


2016年10月16日日曜日

北豊津駅

函館本線北豊津駅は、道南に位置するローカル駅である。元は信号場で、駅へと昇格した経歴があるだけに周囲の人家は少なく、近くには駅裏手の1軒があるだけだ。駅はひっそりと原野に佇んでいる

※2017年3月4日を以て廃止されました。 

 
真っ直ぐに長万部方面へ向いたレール。
このあたりは線形が良いので、
通過列車はそこそこスピードに乗った状態でやってくる。


北豊津駅は八雲と長万部のほぼ中間地点にある。

 
黒岩駅からの単線区間が終了するところに北豊津駅がある。
いよいよ北豊津駅へと到着する。

 
長万部行き普通列車から降りたのは私一人であり、乗車客はいなかった。
発車時間を待つキハ40 840。

 
エンジンを震わせて遠ざかっていく普通列車。 
このアングルから撮れるのは構内踏切のある駅ならではである。

 
列車が去った後の北豊津駅は、静けさに包まれるのかと思いきや、
近くを走る道央自動車道の車の走行音が案外聞こえる。

 ホームの終端から函館側を眺める。
貨物側線もあり、一般駅としての名残が見られる。

 
ホーローの駅名板が木製柱に映える。
駅名板の下には「本場の味サッポロビール」との
宣伝があって、北海道にいることを実感させる。

 
駅舎と線路を挟んだ反対側には1軒の民家がある。
ホームから確認できる唯一の家屋である。

 
駅舎と下りホームを結ぶ構内踏切。
これを渡り駅舎へと向かう。


 待合室は下りホームの1段下側に建てられている。
列車交換を扱う詰所であったのか、無人駅にしては比較的大きな建物だ。

 
駅舎と青空が美しい。

待合室の中にはプラベンチが並んでいる。
駅ノートを確認することはできなかった。

 
 滞在中に貨物列車がやってきた。
こちらは下り貨物。

 
次は上り貨物列車。

 次いで特急北斗もやってきた。続々と優等列車が
やってくるあたり、流石は一大幹線である。


駅を背にして、国道を目指してみる。
駅へ通じる道は狭く、未舗装である。

背の高い草の間を国道へ向かって歩きながら、駅の方を振り返る。
この先に駅があるとはとても思えない雰囲気だ。

 国道に出てみると、北豊津駅入り口との
標識はちゃんと示されていた。

 
国道に出たところにバス停がある。
停留所の名前は「北豊津信号所前」。
バス停の名前は開設当初のままで、
名前の由来となった対象物それ自体の存在が
変わってしまったケースである。
都内でいえば、都立大学駅や学芸大学駅が近い存在だろうか。

 
国道から海側を眺めると、原野越しに内浦湾と駒ヶ岳を遠望できる。


 
この日はよく晴れ、駒ヶ岳の全景を見ることができた。

 
バスを待っている間、原野越しに駅を通過していく
下り貨物列車が見られた。

 
函館バスの長万部行きに乗車して、北豊津駅を後にした。
路線バスというとバス停を確認しながらゆっくりとに走るイメージがあるが、
国道5号線の線形が良いのか、はたまた信号が少ないせいなのか、
バスの走りは快走というべきものであった。

















2016年10月8日土曜日

南幌延駅

宗谷本線南幌延駅は日本最北の板張りホーム駅である。駅は牧草地に囲まれ周囲には数軒の家があるだけで、閑静な雰囲気がとても良い。ホームを降りた先にあるのは、一見待合室には見えない木造待合室。白く塗られた薄い鉄板を外壁に釘付けしてある点、独特の外観となっている。

 
冷気に包まれた冬の南幌延駅が佇む。
この日は寒く、素手でしばらくの間カメラを持っていると、
手先が痛むほどであった。

南幌延駅は上幌延駅と安牛駅の中間に位置する。
列車と自力移動を組み合わせれば前後の駅を効率良く巡ることができる。

 
上り列車でやってきた。
目指す南幌延駅は幌延から二駅ほどだ。

 私を下ろした列車がエンジンを震わせて発車していく。

 
下車したのは私一人。乗車した客はいなかった。
列車はカタコトと音を立てて走り去っていく。

 
ホームの全景。
木造の薄いホームが周囲の風景に良く溶け込んでいる。

安牛に向かって真っ直ぐ進む線路。

 ホームから名寄方を眺める。
右側にある道路の交通量が少ないせいか、
静寂に包まれた時間を過ごすことができた。

 
 こちらは稚内方の風景
駅前の踏切を渡る車は非常に少ない。

 
南幌延の駅名板は、少々首をかしげた状態となっている。

 
こちらが駅の待合室。
一見待合室かどうか判別に迷うため、
扉を開けるのに躊躇してしまう。

 
待合室の中には年季の入った木製ベンチがある。
 
扉の立て付けが少々悪く、雪が入ってしまっていた。

 
ローカル駅には欠かせない駅ノート。
たくさんの書き込みがあり、私も一筆記録を残した。

待合室のドアを空けた状態。
壁には南上幌という文字がポツンと書いてある。

 
駅前には、一軒の人家と上幌延集会所がある。

板張りのホームを横から見てみる。
厚さ2cmほどの板が4本のはりで支えられている。

 やがて稚内行きの下り列車がやってきた。

 
この列車で南幌延駅を後にした。
滞在時間は短かったものの、南幌延駅の
魅力を堪能することができた。

 
季節は変わりこちらは、夏期の南幌延駅。
このときは上幌延駅から自力で安牛駅へと向かう途中、
南幌延に立ち寄った。

晴れた日に太陽に照らされた板張りホームも良いものである。
冬とは違った魅力がある。

ホームへ上がってみると、板が一部張り替えられていた。
しっかりと維持管理が行われていて、嬉しくなる。

 稚内方を見ると、待合室が目に入る。

待合室へ近づいてみる。
何とドアが新しいものへと交換されているではないか!

 
ご覧のとおり、ドアがちゃんと閉まる。
これで雪が入り込むことも無いだろう。
今後もこの駅が活用されていくことを期待させる投資である。

 
駅ノートをめくり、以前自分が書き込んだ記録を見て懐かしむ。

 
待合室の木製ベンチには (グリーン座席指定)と書いてある。

久々に来た南幌延駅に満足し、安牛駅へと足を向けた。
これからも旅人を惹きつける存在であって欲しいと思う。


 

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