2020年3月8日日曜日

新十津川駅

農村地帯を走ってきた札沼線のディーゼルカーは最後に市街地へと入り、終点新十津川駅へと到着する。一日一本の列車を向かえるだけのこの駅には風情のある木造駅舎が残っている。

※2020年5月7日(最終営業は同年4月17日)を以て廃止されました。

新十津川駅は人口6500人の新十津川町の中心部にある。町役場や高校、病院などが駅の周辺にあり、駅のロケーションとしては良いのだが、利用客は少ないようだ。


晩生内駅から乗車した一日一本の新十津川行き。車内は盛況でほぼ全員が旅行者と見える。


速度を落とし、新十津川駅へと到着する。数名のお出迎えがあるようだ。


新十津川の表示も廃止とと共に見られなくなってしまう。


駅では近くの保育所の先生と園児がお出迎えをしてくれた。下りてきた乗客にカードを配ってくれている。


私も一枚頂いた。実に微笑ましいカードである。小さい子供が描いてくれたであろう塗り絵は一番の記念になった。


この駅には今まで3回来たことがある。過去2回は下りると同時に皆、滝川駅へ向かうバス停にそのまま向かっていたのだが、廃止が決まっているせいか今回は駅に滞在してその時間を楽しむ人が非常に多かった。私も今回は上り列車の発車を見送るまで駅に滞在することにした。


経年のせいか、駅名板はかすれかけている。屋根の塗装も良い具合に褪色していて、ローカル線の木造駅舎らしい佇まいを見せていた。


廃止前とあってか、駅の窓口が復活し、ご当地入場券やグッズが売られていた。窓口が生きているだけで活気が全然違う。

窓口で購入したのは、新十津川駅のご当地入場券と縦書きホーロー駅名板を模したマグネット。今しか買えないと思うとついつい手が出てしまう。


列車は一日一本。近くに高校があるのだから、昔の清水港線のように、たとえ一本であっても高校生が使いやすいように出来たらと素人ながらに考えるのだが、列車が三本の時代から朝到着する列車は9時を廻っていていた。実際のところ、病院や役場へ行く人の利用が主だったのかもしれない。


駅管理する人が駐在しているためか、次の改札の札が掛けられていた。新十津川駅でこの札を見られるとは思わなかった。


暫くすると写真撮影をしていた利用客は散っていき、駅は静寂になってきた。


窓枠は昔ながらの木枠。窓際のベンチは木製となっていて、このあたりは駅舎が出来た当時からそのままかもしれない。


壁に貼ってあるのは昔の北海道の路線図。これほどまでに路線があったのかと改めて驚く。私は辛うじて深名線に乗車することの出来た世代の人間である。羽幌線や天北線に乗って、駅や仮乗降場に乗り降りしてみたかった。


ホームでは上り石狩当別当別行きが発車を待っている。下り列車よりかは空いているようだ。


新十津川駅の駅名標は終着駅らしく、隣駅の表示は片側のみ。


私が新十津川駅へ行くのは、この旅行が最後となる。列車がホームに佇むこの光景を脳裏にしっかりと焼き付けた。


一日一本の列車は定刻通りに新十津川駅を発車していった。毎日繰り返されるこの風景も2020年5月6日を以て見納めとなる。


こちらは鉄旅の先輩であるJ氏から提供してもらった新十津川駅の全景写真。ほのかに秋の様相が感じられる時期のようだ。


雪化粧した新十津川駅。


J氏が訪問した時は、かなりの雪が降った後のようで、雪は屋根に届かんばかりに積もっている。

長らく新十津川駅を見守ってきた車止め。


J氏撮影の写真(Picture from J氏)の使用、転載はお断りします。


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