2014年11月1日土曜日

箱根登山鉄道 モハ1形吊り掛け車(103・107)

箱根登山鉄道に唯一残る吊り掛け車両である、モハ1形の103番・107番編成(通称サンナナ)に乗ることが出来ました。80‰の坂をものともせず、低い釣り掛け音を唸らせながら力強く登っていく姿は実に頼もしいものでした。待ち時間を利用して乗ることが出来たモハ2形の様子とともにお伝えします。

(写真選定の都合上、車窓の写真にはモハ2形からのものが含まれていまして、必ずしも時系列順に並んでいるわけではありません)

このときの103・107編成の運用は次のとおりでした。
箱根湯本7:18→強羅7:55
箱根湯本8:39←強羅8:00
 上記は、車庫の入出庫からの運用ではなく、この前後にも営業運用に入っていました。

箱根湯本駅で山登りに備えて暫し休息するサンナナ編成。
このときは朝7時過ぎとあって、駅は閑散としていました。

 107号車の車内です。ニスの質感が漂う、化粧板が歴史を感じさせます。
昔、丸ノ内線に走っていた500系の車内を思い出しました。
こちらのほうが車両としては大先輩ですが、何だか共通の雰囲気を感じます。
エアコンや扇風機の無いすっきりとした天井です。

107号車の側面です。ドアにはステップがあります。
屋根上には旧型車両には欠かせないガラベンがありました。
屋根上にある大きな付属物は抵抗器だそうです。

山を降りてきた車両の抵抗器からは熱が発散されていました。

 
車両にはホースが差し込まれて給水されていました。
急カーブを走行するときに散水します。

 連結器の下のタンクへと大量の水が補給されます。

では、出発です。
箱根湯本を出るとまずは塔ノ沢へ向かっていきなりの80‰の勾配を登ります。

目で見てわかるほどの勾配です。
点で接触している車輪と線路が、
どうして滑らずに登れるのか不思議に思えます。

塔ノ沢駅~出山信号場
            0:22 井戸の底から見上げると形容されるトンネル
            2:08 早川鉄橋
            3:17 出山信号場手前の80‰勾配


塔ノ沢を出ると、早川鉄橋を渡ります。
リベットが目立つ、歴史ある橋です。
 (この写真はモハ2形108車内より撮影)

ぐいぐいと力強く登坂して、出山信号場へと近づきます。
ちょうど交換する2000系が降りてきてくれたので、
坂の厳しさの際立つ写真を撮ることができました。
 (この写真はモハ2形108車内より撮影)

 出山信号場へ到着します。
運転士と車掌が利用する通路だけが設置されています。
(この写真はモハ2形108車内より撮影)

 
ここで列車の進行方向が変わるため、
運転士と車掌が前後にスイッチします。
 (この写真はモハ2形)

進行方向を変えた列車はダブルクロスポイントを渡り、
さらに山を登っていきます。

 
トンネルの中で車内を撮影。
化粧板の色が際立ちます。 

網棚を支える腕のデザインに歴史を感じます。

年季を感じさせる窓開閉のつまみも味があります。

乗務員室のドアの取っ手。
近年製造の車両では、このようなデザインはないのではないでしょうか。

大平台駅へ到着し、ここで列車交換をします。
ありがたいことにモハ2形とモハ1形が並ぶ光景を撮影することができました。

 
大平台でまた進行方向が変わり、運転士と車掌が前後で交代します。

紫陽花に囲まれながら、走っていきます。
6月頃に是非とも乗ってみたいものです。

宮ノ下駅で列車交換し、強羅へ向けてさらに登っていきます。

 彫刻の森駅の2番線には、兄弟車である104・106編成が留置されていました。
こちらは、同じモハ1形とはいえ、カルダン駆動に改造されています。

 終点強羅へ到着。
行き先板は乗務員が変えています。
くるりんぱっと。

箱根湯本駅行きへと変身しました。

 こちらは107号の相方である103号。
パンタグラフ側の顔は103号です。

最後の全般検査は2009年8月とありました。
15m弱の車体で35.4トンとはかなりの重さです。
急勾配に応じた装備のためでしょうか。

中間部の連結器は根元にピンがありました。
前車両と後車両で勾配の折れ角へ
対応できるようになっています。

急カーブ、急勾配のためでしょうか。
中間部の貫通路は普段使用出来ません。 

強羅8:00発の列車もとても空いていました。

 107号の前には通学する小学生の列がありました。
この子達が成人する頃も、今と変わらずに サンナナ編成が
活躍していて欲しいと思います。

復路は103号に乗車しました。
一番後ろに座って窓を開けると、
如何に急なカーブを走行しているのかが分かります。

 宮ノ下駅~仙人台信号場の車窓
1:09 急カーブの橋梁
釣り掛けの鳴る発電ブレーキを効かせながら、
右へ左へと地形に沿って勾配を下っていきます。

 
列車は釣り掛けを唸らせて電気ブレーキを効かせながら
箱根湯本へと戻ってきました。 


モハ1形や2形のデザインは秀逸で、
全面3枚窓が成すデザインとてもに親しみを覚えます。
また、配色が穏やかなので、外観に落ち着きを感じます。

後継車の1000系や2000系、また新型車の3000系が入っていますが、
それでも箱根登山鉄道の顔をいえば、長年活躍してきたモハ1形、2形を思い浮かべます。

モハ1形、2形がこれからも末永く活躍してくれることを願っています。

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おまけ
 
このときは、モハ2形にも乗車することが出来ました。
 108号はSE車の塗装を模しています。

モハ2形の車内は、
化粧板が木目調でるのと、クロスシートが特徴です。

 こちらは108号の相方、109号。
109号の前面塗装は、モハ1形と同様になっていました。

モハ2形も末永く 活躍を続けて欲しいと願います。
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