2021年9月11日土曜日

土佐北川駅

[路線] JR四国 土讃線

[位置] 高知県長岡郡大豊町久寿軒

[隣駅]   大杉(6.1km)←土佐北川→(2.2km)角茂谷

kmは営業キロ

JR四国、土讃線の土佐北川(とさきたがわ)駅は橋上駅として有名である。橋上駅といっても、一般的に見られる高架橋上の駅ではなく、河川を跨ぐトラス橋上ということで、非常に特異な存在である。


徳島県と高知県の県境付近は普通列車が非常に少ない。この駅への訪問のスケジュールには工夫が必要で、この時はお隣の大杉駅で特急列車で降り、そこから自力(徒歩)で土佐北川駅まで行き、ここから普通列車に乗車する予定を組んだ。


坂出駅から乗ってきた特急しまんと号。大杉駅で下車し、6.6kmの道のりを歩いて土佐北川駅まで行く。


折角大杉駅に降り立ったからには、その名にある大杉を見に行こうと八坂神社へ向かう。途中には大正十二年に立てられた石標があり、「日本一 神木の大杉 是より二丁十間」と刻まれている。


実物を見れば、日本一と謳われるのが納得である。しかもこれが2本並んでいて大迫力である。樹齢は3000年以上とのこと。



杉の神木は八坂神社の境内にある。ここで旅の無事を祈願して、土佐北川駅へと出発した。


土佐北川駅へ向かう途中、如何にも鉄道遺構と思しき橋が見られた。単純に国道のトンネルを避けたくて川沿いの道を歩いていただけであったのだが、思わぬ遭遇にテンションが上がってしまった。1986年の線路付け替えまで使われていた土讃線の旧線のようだ。


道路脇の柵には古レールが使われていた。1896と読める数字があり、西暦の数字だとすれば明治29年を意味することになる。

土佐北川駅へ向かう道のりは穴打川に沿っていて、土讃本線の旧線だけでなく、渓谷美も楽しめる。大杉駅から土佐北川駅までの道中は変化に富んでいて、徒歩旅を楽しむことができた。

穴内川の巨岩怪石と清流の織りなす渓谷美は見事。

川の向こう側には旧土讃本線の跡が見え隠れする。まだ使えそうなガーダー橋が残っていた。神岡のガッタンゴーのように、ここも自転車トロッコで走れたら渓谷美も相まって中々楽しいだろうと想像してしまう。

そして土佐北川駅へと到達。大杉駅から寄り道しつつ2時間くらいかかっただろうか。大きなトラス橋が道路と川を跨いでいる。一見してこれが駅とは見えない。

駅へ入る前に、駅前食堂で腹ごなし。大杉駅から歩いてきたのでちょうどお腹が空いていた。

小鉢を選んでいくスタイルで手作りの品々は非常に美味しかった。お店の方もとても親切である。土佐北川駅へ行く際には是非ご賞味あれ。

駅前食堂の脇から橋へ上がると、駅の入り口まで歩行者通路が続いている。こう見ると何とも近代的な駅である。

トラス橋の歩道を歩いて行くと高知方にホームが見えてきた。駅の南側からの利用者を主としているようで、駅の入り口も高知方にある。

トラス橋には銘板があり、日本国有鉄道1984年とあった。この橋が出来てから2021年で38年。見た感じ40年近く経過しているようには見えないほど綺麗で立派な橋である。

橋を渡り終わり、対岸の高知方まで来ると、階段を下って土佐北川駅の入り口へと到着する。

こちらが橋の下に設けられた土佐北川駅の小さな待合室。この自転車は近隣の人が乗り付けたのだろうか。

小さな待合室内にはプラベンチが並んでいる。

列車が来るまでの時間を利用し、駅の南口(正面口?)にも行ってみる。蜀の桟道のスケールを小さくしたような張り付き歩道を進んで駅前を目指す。

こちらが駅の南側。車が転回できるスペースがあり、植木も整えられていた。こちらからの利用者が主なのだろう。

列車の時間が迫ってきたこともあり、駅からあまり離れずに歩き回り、駅へと戻る。

ホームへは待合室そばからの階段をあがる。

ホームへ上がって感じたのは、トラス橋の大きいこと。過去に普通列車でこの駅を通ったときは車内から眺めるだけであったので、そのスケール感が無かったのだが、ホームへ立つと中々の迫力である。実に特徴的で面白い駅だ。

橋の上で列車が交換できるようになっており、それもあってトラス橋の空間が大きくなっている。上下線だけでなくホームまであるので、尚更である。

ホームの駅名標。

こちらは高知方の様子。駅のすぐ先にはY字ポイントがある。

時刻通りにお目当ての上り列車がやってきた。乗降客は無く、自分一人がこの駅から乗車した。

去りゆく土佐北川駅の景色を列車の後方で眺める。大変満足の駅訪問であった。

阿波池田側へ走り出すと、列車はすぐにトンネルへ入る。次に来るときは旧線も歩き回ってみたいものである。


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