2020年5月4日月曜日

豊清水駅

北海道美深町にある宗谷本線 豊清水(とよしみず)駅は、周囲に人家の無い一級の秘境駅である。駅は緑に囲まれ、大変に落ちつける環境にある。

2021年3月13日を以て廃止されました。  



平行する国道は少し離れていて、駅の前には細い道が一本あるのみ。


安牛駅から乗車した普通列車は間もなく豊清水駅へ到着する。広い構内の先に砂利の島式ホームが見えてきた。JR北海道の統計によれば利用者は僅少のようだが、交換設備があるため駅構内の規模は大きい。美深駅と音威子府駅のおおよそ中間に位置することから交換設備があるのだろう。


下車したのは自分一人のみ。乗車客はいなかった。

列車の行き違いはなく、私を降ろしたキハ54 512は恩根内へ向けてゆっくりと発車していった。

駅舎側には過去の貨物ホームの名残と思われる側線がある。保線機械車両の留置に使われているのだろうか。

年季の入った駅名板。

音威子府方の構内を眺める。線路の先にあるのは斜面に生い茂る木々のみ。これほど人工物の少ない駅は中々お目にかかれない。

こちらが豊清水駅舎。木造三角屋根の形態は宗谷本線でここのみではなかろうか。待合室は向かって右側の小さな部屋で、左側の大きな部屋は保線関係の用務室となっている。

駅建屋の風情に特筆すべきものは感じていなかったが、この角度から見ると三角屋根に煙突、そして落ち着いた色合いが構内風景とマッチしていて中々良い。

こちらがホーム側からの待合室への入り口。雪切スペースがあるあたり、雪国を感じさせる。


待合室は狭いながらもトイレが備えられている。木製ベンチの向かい側には駅ノートがあった。私もここに下車の記録を一筆残した。


木製ベンチの脇には、通学バスの時刻表が貼ってある。手書きで温かみのある時刻表である。紙の質感から随分前から張ってあるようだ。


出入口付近には木製トンボが掛けられていた。雪かきかホームの地慣らしに使われているのだろう。


出入口側からホーム入口を眺める。シンプルで近代的に見える待合室だが、木製のベンチや木枠の窓があるあたり、比較的古い建物かもしれない。


この駅名票には魅力的な駅がたくさん並んでいる。この中のいくつかは豊清水駅を含めて2021年3月で廃止との報道が出ている。


駅前から振り返った豊清水駅の様子。駅舎と信号関係の建物のみが存在する。


駅前の道路に出ると、骨組みが目立つ建物の残骸がある。

鉄骨は錆び、ぐにゃぐにゃに折れ曲がってしまっている。雪の重みでこのようになってしまったのだろうか。

こちらは使われていないだろう吊り滑車。ポツンと立っている。

駅前の道路から美深方面を眺める。一本道が草原の中を走っていて清々しい景色である。

こちらは、音威子府方面の景色。倒壊した建物が2つほどある。周りは綺麗な草原となっているので、このあたりの土地は牧草地として使われているかもしれない。
豊清水駅を後にし、隣の天塩川温泉駅へ自力で向かった。暑かったこの日は天塩川温泉で汗を流すのが楽しみであった。

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こちらは冬季の豊清水駅の様子。
このときは、豊清水での下車はできず、列車交換時に下り列車の車内から駅を観察できたのみであった。

こちらを待っていた上り普通列車が先に発車していく。車内は空いているようであった。

上り列車が切り替えポイントを通って美深方面へ走り去っていく。右側の雪の壁は側線のポイントのところで切れていて、側線も除雪されていることが見てとれる。


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