北海道美深町にある宗谷本線 豊清水(とよしみず)駅は、周囲に人家の無い一級の秘境駅である。駅は緑に囲まれ、大変に落ちつける環境にある。
※2021年3月13日を以て廃止されました。
平行する国道は少し離れていて、駅の前には細い道が一本あるのみ。
下車したのは自分一人のみ。乗車客はいなかった。
列車の行き違いはなく、私を降ろしたキハ54 512は恩根内へ向けてゆっくりと発車していった。
駅舎側には過去の貨物ホームの名残と思われる側線がある。保線機械車両の留置に使われているのだろうか。
年季の入った駅名板。
音威子府方の構内を眺める。線路の先にあるのは斜面に生い茂る木々のみ。これほど人工物の少ない駅は中々お目にかかれない。
こちらが豊清水駅舎。木造三角屋根の形態は宗谷本線でここのみではなかろうか。待合室は向かって右側の小さな部屋で、左側の大きな部屋は保線関係の用務室となっている。
駅建屋の風情に特筆すべきものは感じていなかったが、この角度から見ると三角屋根に煙突、そして落ち着いた色合いが構内風景とマッチしていて中々良い。
こちらがホーム側からの待合室への入り口。雪切スペースがあるあたり、雪国を感じさせる。
待合室は狭いながらもトイレが備えられている。木製ベンチの向かい側には駅ノートがあった。私もここに下車の記録を一筆残した。
木製ベンチの脇には、通学バスの時刻表が貼ってある。手書きで温かみのある時刻表である。紙の質感から随分前から張ってあるようだ。
出入口付近には木製トンボが掛けられていた。雪かきかホームの地慣らしに使われているのだろう。
出入口側からホーム入口を眺める。シンプルで近代的に見える待合室だが、木製のベンチや木枠の窓があるあたり、比較的古い建物かもしれない。
この駅名票には魅力的な駅がたくさん並んでいる。この中のいくつかは豊清水駅を含めて2021年3月で廃止との報道が出ている。
駅前から振り返った豊清水駅の様子。駅舎と信号関係の建物のみが存在する。
駅前の道路に出ると、骨組みが目立つ建物の残骸がある。
鉄骨は錆び、ぐにゃぐにゃに折れ曲がってしまっている。雪の重みでこのようになってしまったのだろうか。
こちらは使われていないだろう吊り滑車。ポツンと立っている。
駅前の道路から美深方面を眺める。一本道が草原の中を走っていて清々しい景色である。
こちらは、音威子府方面の景色。倒壊した建物が2つほどある。周りは綺麗な草原となっているので、このあたりの土地は牧草地として使われているかもしれない。
豊清水駅を後にし、隣の天塩川温泉駅へ自力で向かった。暑かったこの日は天塩川温泉で汗を流すのが楽しみであった。
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こちらは冬季の豊清水駅の様子。
このときは、豊清水での下車はできず、列車交換時に下り列車の車内から駅を観察できたのみであった。
こちらを待っていた上り普通列車が先に発車していく。車内は空いているようであった。
上り列車が切り替えポイントを通って美深方面へ走り去っていく。右側の雪の壁は側線のポイントのところで切れていて、側線も除雪されていることが見てとれる。