2019年12月22日日曜日

晩生内駅

札沼線 晩生内(おそきない)駅は、石狩月形と浦臼の間にある無人駅である。以前列車でこの駅を通った時に雰囲気の良さに惹かれ、いつか利用してみようと思っていたのだった。今回は晩生内駅から乗車する行程で、札比内駅から自力移動してきた。国道に近いけども、駅舎は線路を挟んで逆側にあるせいか、比較的落ち着ける駅である。
※2020年5月7日(最終営業は同年4月17日)を以て廃止されました。

晩生内駅は北海道浦臼町に位置し、晩生内地区の中心にある。石狩川を挟んで並走する函館本線では茶志内駅が近い。

札比内駅から晩生内駅への4.5kmは、折り畳み自転車で移動した。列車本数の少ないローカル線で効率良く駅めぐりをする際は、自力の駅間移動が必要となる場合がある。そんなとき折り畳み自転車は強力なツールとなる。この区間は平坦、しかもほどよい距離とあって自転車移動にはうってつけ。有難いことにこの日は緩い南風が吹いていて、その移動は快適そのものであった。

晩生内駅の裏手には国道275号線が走っていて、比較的民家もある。しかし、JR北海道の資料によれば、H26年~30年の5年平均で晩生内駅の乗車人員は一日あたり、3.4人と寂しい数字である。

駅利用者は少ないとはいえ、この場所は地区の中心地であるらしく、駅のそばには晩生内地区コミュニティセンターという立派な建物がその存在を放っていた。

こちらが駅舎。こぢんまりとしていて、やや鄙びた感じはローカル線の無人駅に相応しい様相である。建物はお隣の札比内駅のそれとほぼ同じ。

こちらは駅前の様子。民家が散見できる。左手の敷地は未利用地となっていたのか、太陽光パネルが並んでいた。

こちらが駅舎の中。定期的に地元の方が掃除しているのか、非常に清潔で、さらに椅子の座布団があることも手伝って非常に快適に過ごすことができる。

追い風のお陰で予定より早めに到着できたので、駅ノートにはゆっくりと書き込むことが出来た。廃線が決定しているせいか、新しい日時になるにつれて書き込みの頻度が上がっているようであった。

ラッチ越しに見えるのは、昔レールがあったであろうスペースとコンクリートホーム。

駅舎のホーム側軒下には、古めかしい木製のベンチと机がひっそりと鎮座していた。

このスペースには側線か交換設備用の線路があったに違いない。昔は黒貨車や客車を牽いたC11がここに停車していたのだろうか。

ホームの先端から新十津川方面を眺めてみる。細い線路がまっすぐと森の中を貫いている。こうしてみるとローカル線の線路というものは風景に溶け込みやすく、自然が多いところでは特に絵になると思う。

北海道おなじみのホーローの駅名票。

駅名票には小さな訪問者が止まっていた。

さて、目指す乗車列車が時間通りにやってきた。晩生内駅へとキハ40が近づいてくる。

乗車するのは、一日一本の新十津川行き。乗降客は私の他はなかった。新十津川へ行くにはこの列車の利用が唯一の手段のためか、いつも旅行者達で盛況である。

デッキに乗り込むと運賃表には、まだ晩生内の表示が残っていた。列車は果たして旅行者達で盛況で30人ほどが乗車していた。私はロングシート部分に座り、新十津川を目指した。


2019年11月29日金曜日

長万部温泉 丸金旅館

函館本線長万部駅裏手には小規模の旅館やホテルが並ぶこぢんまりとした温泉街がある。大型観光バスが多数並ぶような場所ではなく、一人旅でも身構えることなく利用できる。その中の一つ、丸金旅館にはこれまで2度お世話になってきた。温泉や食事があまりに素晴らしく、自分が道南の宿泊を検討する際は、一にも二にも丸金旅館である。

長万部温泉街は駅近くの跨線橋を渡れば徒歩10分ほどでアクセスできる。この跨線橋は駅を発着する様々な列車を見られるので、ここを渡ってアクセスするのがオススメ。駅までの送迎を頼むことも可能だ。

温泉は、昭和30年2月12日に天然ガス試掘の際にガスと共に湧出したのだそうだ。それを示す石碑は温泉街の真ん中にある。

旅館へ着くと、まず部屋へ案内される。部屋には昔ながらの調度品が備えられ、畳の上でくつろげる。座布団に座って、お茶を飲むと移動の疲れを忘れてしまう。

宿泊名簿は部屋で書く。荷物を置き、座布団に座りながら書けるのが何だか新鮮な経験であった。

浴衣とタオルは衣装盆に備えてある。

窓を開けると、目の前には「おしゃまんべ温泉ホテル」がある。その先には函館本線と室蘭本線の線路があり、ここを通過する列車を遠望することもできる。


夕食は何と部屋食!大きな座卓に広がった一品一品はどれもが魅力的でどこから箸をつけて良いか迷ってしまう。何とも贅沢な一時。


ウニ、イカやマグロの刺身、貝類などが並んだ海産物の一皿。ウニは北海道産、マグロは内浦湾で取れたものだそうだ。


生ウニ

天ぷら、煮豚、ウニの乗った豆腐


ホタテのチーズ焼き、イカの塩辛


もずく酢、ローストビーフ


御飯、茶碗蒸し

鍋には赤魚、豆腐、ネギなど。
以上が基本の夕食である。これだけでも食べきれないくらいの量で大満足。

オプションでつけてもらった内浦湾産の毛ガニ。カニ味噌も含めて味わいは深い。長万部に泊まる際には是非とも食べたい一品である。

デザートとして、プリンが付いていたと思う。写真を撮り忘れてしまった。

さらに写真には撮らなかったが、温泉も素晴らしく、24時間入れて、源泉掛け流し、露天ありと三拍子そろっている。

この宿を足がかりとした、函館本線山線キハ40の旅静狩駅訪問はとても良い旅の思い出である。長万部へ行くなら次も丸金旅館さんへお世話になるだろう。


2019年11月10日日曜日

札比内駅

札比内(さっぴない)駅は、JR北海道 札沼線 非電化区間にある無人駅の一つ。ここの特徴は簡易委託駅として切符の販売が行われていることで、駅前の薬屋さんで買うことができる。日あたり乗車人員10人を下回る駅で切符を買えるのは貴重である。札比内駅へ行く機会があれば、記念に購入しては如何だろうか。

※2020年5月7日(最終営業は同年4月17日)を以て廃止されました。


石狩月形から新十津川方面へ向かうと札沼線は一つの丘を登る。丘の頂点にあるのが豊ヶ岡駅で、そこから坂を下りきると札比内駅がある。

石狩金沢駅から乗車した浦臼行きは、間もなく札比内駅へと到着する。さて、どんな駅が待っているのだろう?

キハ40の貫通路ごしに札比内駅のホームが見えてきた。この列車の着発をビデオ撮影している方がおられた。この駅を含む区間の廃止が決定している今、この鉄道風景を記録に残しておく人は増えているのだろう。

キハ40 402は私一人を札比内駅で降ろし、浦臼へ向けて発車していった。

ホームには砂利が敷き詰められている。札沼線に多いタイプだ。

駅の裏手は畑が広がっていて、ホーム上から長閑な風景を得られる。

お隣は豊ヶ岡と晩生内(おそきない)。この後晩生内駅まで自力移動(折り畳み自転車)で移動する予定である。


スレンダーなホームが一面あるのみの構内。手前側のスペースはかつて貨物の積み卸しに使われていたようだ。


ホームの先端から先には草木がなく、利用客は真横から線路をそのまま見ることができる。線路は細く、道床はとても薄い。


駅舎への入り口には古びた木製のラッチが残っていた。


ラッチから眺める札比内駅のホーム。昔は手前側スペースにあったであろう線路を貨車が行き来していたのかもしれない。




駅舎内には窓口が残っていた。嬉しいのは板で塞がれていないことで、人が入ればすぐにでも切符の販売が出来そうな雰囲気である。


木製の台と縦長の小さな窓口。札比内駅では切符の販売が委託されていて、駅前の薬局で買うことが出来る。この窓口を使用しての販売はされていないのだが、簡易委託駅ということで窓口を使う余地を残しているのかもしれない。


札比内~豊ヶ岡発売中とのことで、鉄人向けの切符が宣伝されている。実際は豊ヶ岡以外の切符も買えるのだろうか。


駅舎内には古めかしい木製ベンチが置いてある。行き届いた清掃がされていて、駅舎内はとても綺麗であった。


掲示板の前にある棚には駅ノートが備えられていた。この駅ノートをめくると、「渋谷薬店はお店が閉まっていても横の入り口が開いていれば切符を売ってくれるときがある」との書き込みに目が止まった。ならば後ほど行ってみよう。


窓は二重構造で、内側は元々あったであろう木枠の窓。さらに外側はアルミサッシとなっていて、保温性に優れた待合室である。


札比内駅の運賃表。この駅は北海道医療大学から新十津川の区間でほぼ中間に位置する。

こちらが駅前にある渋谷薬店。のれんが建物の中にしまわれていて、営業している気配はない。そこで先ほどの駅ノートの書き込みを思い出し、横の扉に手を掛けてみると、果たしてその扉は開いた。


そして、札比内駅から豊ヶ岡駅への切符を買うことができた。切符を買えるとは思っていなかったので実に嬉しい。小さな文字で「簡□札比内駅発行」となっていて、現地で買った記念になる。

切符を大切にカバンへしまい、自力移動(折り畳み自転車)で晩生内駅へと向かった。



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