2021年7月17日土曜日

坪尻駅

JR四国、土讃線の坪尻駅は西日本を代表する秘境駅として有名である。車ではアクセスできない谷底にある駅で、降り立ったときの秘境感は西日本No.1といえるだろう。この駅は勾配の途中にあるため、スイッチバックの設備がある。秘境感+スイッチバック設備と非常に魅力的な駅である。

坪尻駅は香川県と徳島県の県境付近に位置する。主要道路からは離れており、鉄道以外での駅へのアクセスは車道から10分ほど山道を歩くほかはない。

多度津から土讃線下り列車で坪尻駅へ向かう。香川県と徳島県の分ける讃岐山脈を猪ノ鼻トンネルで抜け、下り勾配に入ると坪尻駅へと到着する。この時は列車後方にかぶりついて、スイッチバックの前後を楽しんだ。

まずは、阿波池田側の引上げ線へと入る。

駅着発線への信号が黄色になると列車はさっきとは逆向きに出発する。運転士は逆側の運転台まで来て、あれこれ操作をするので忙しそうだ。

ポイントが駅着発線へと開かれ、ゆっくりと列車はホームへと向かっていく。

ホームが近づいてきた。木造駅舎が残っており、この駅に降りられることにワクワクしてしまう。

そして到着。乗車客はおらず、私と大学生の方の合計2名が下車した。大学生の方も私と目的と同じくする鉄旅愛好家であった。

列車はゆっくりとした足取りでホームを後にし、阿波池田方面へと発車していった。

列車が去った後の坪尻駅は静寂に包まれる。ホームは小さめで白っぽい石が綺麗に敷かれている。中々良い歩き心地だ。車で直接アクセスする道路が無いということは、砂利などは保線車両に乗せて持ってきているのだろうか。

坪尻駅舎は木板の質感をそのまま活かした木造である。マムシに注意という秘境駅らしい注意書きがある。

線路を挟んだ逆側からも駅舎を眺めることができる。趣のある古めかしい駅舎であるが、駅に手を加えていないわけではなく、可愛らしく真新しいベンチが備えられていた。

駅舎の中は掃除が行き届いていた。

超絶古風なベンチも現役であった。この駅の歴史とともにあるような風格である。

小さな本棚には駅ノートのほかにいくつかの冊子、そして駅スタンプが備えてある。

駅前には広いスペースがある。

駅にアクセス路とはこの小さな踏切を介して結ばれている。警報器はなく、手で開け閉めする遮断機のみがある。

踏切を渡ると25パーミルの勾配標識があった。鉄道にとっては厳しい勾配である。

次の列車まで時間があるので、周囲の探検をしてみる。駅のそばには古い廃屋があり、秘境らしさを高めていた。

駅から車道へと出るルートはこんな山道である。あたかも登山道のようで、雨の日は歩くのが大変だろう。

坪尻駅から歩いて15分ほどだろうか、車道に出ることができた。車道には ←坪尻駅 という標示があるが、この小径がそのアクセス路である。

坪尻へは1日3本の路線バスがあるようだ。普通列車でも通過する列車が多いので、バスを使ってアクセスすることも手である。

車道にからは土讃線を見下ろせる場所がある。ちょうどやってくれたのは、2000系の特急列車。2000系は長らく土讃線のヌシとして活躍してきたが、この区間の営業からは身を引き、今は後進の2700系の活躍の場となっている。

山道を下り、駅へと戻ってきた。別のアクセス路を歩いてみようかと考える。

こちらは「木ヤ床」地区へと上がっていくアクセス路である。

ちょっと歩いてみたのだが、中々険しそうなので、結局諦めてしまった。次回訪問するときの宿題である。

駅へ戻り、暫くすると乗車予定の下り列車がやってきた。

引上げ線へ入り・・・

進行方向を変えて、ホームへと到着。この列車で坪尻駅を後にした。駅滞在中は一緒に下りた大学生の方と色々と動き回り、話もたくさんしたが、共感できる話が多々あり、とても楽しい時間であった。最長片道切符の旅を将来実施する仰っていたが、是非その目標を達成されているか、目標に向けて前進していることを願いたい。この日は阿波池田のふくや旅館にて宿泊した。

鉄旅の先輩であるJ氏より頂戴したホームから引上げ線へ入る上り列車の前面動画。動画を見る限り引上げ線の奥までしっかりと整備されているようであった。動画内のATSの音が交換設備の雰囲気を助長していて中々素晴らしい。

---
時は変わり、こちらは別の機会に下車したときの坪尻駅である。

秘境駅というのは夜は夜で良い雰囲気を出すもので、駅構内の夜景は素晴らしかった。

javascript:void(0)