2023年3月16日木曜日

浜田浦駅

[読み] はまたうら
[路線] JR北海道 日高本線
[隣駅]   浜厚真(4.3km)←浜田浦→(3.5km)鵡川
kmは営業キロ
[位置] 北海道勇払郡むかわ町田浦

※2023年3月18日を以て廃止されました。

日高本線、浜田浦駅は平原の中にポツンと佇む小駅である。利用者僅少により、2023年3月のダイヤ改正で廃止されることになった。過去、日高本線に乗車した際、車内から見た浜田浦駅の雰囲気がとても良く、廃止前に何としてでも訪問したかったのだ。2023年3月、最後の訪問チャンスを掴み、朝の上り列車で浜田浦駅へと降り立った。

浜田浦駅は苫小牧からおよそ30km離れた位置にある。ここから一駅走ると日高本線の終点鵡川駅となる。

日高本線の起点、苫小牧駅。1番線にはキハ40 3連の鵡川行き一番列車が5:45の出発を待っていた。早朝の苫小牧駅構内は人通りが少なく静寂で、キハ40のアイドリング音だけが響いていた。

3両編成に乗客は自分一人のみ。鵡川行き1番列車は実質的に上り列車への車両送り込みが目的になっているようだ。

早朝の勇払原野をひた走る。線形が良いこともあり、キハ40は高速で進んでいく。日高本線に乗れば、普段の生活では目にすることのできない、勇払原野の美しさを目の当たりにすることができる。

やがて東の空から日が上がりはじめ、徐々に明るさが増していく。キハ40の青ボックスシートに腰掛けて見る朝日は格別に綺麗であった。

キハ40 1785の車内に陽が差し始める。朝日の光は車内に穏やかな雰囲気を与えてくれる。

下り始発列車は目的の浜田浦駅を通過してしまうため、一度鵡川へ行き、その折り返しで浜田浦駅を目指す。列車は終着の鵡川駅へと到着する。

鵡川駅へ到着したキハ40の3連。鵡川駅は駅舎側でなく、下りホームが使われている。

6:24発苫小牧行き1番列車は、先頭車両が単行で走る。そのための切り離し作業が行われていた。後ろ側2両は続行の2番列車となる。

切り離された鵡川側2両の前面ガラスに対し、運転士さんがスプレーを噴霧している。曇り止めだろうか。

鵡川駅はむかわ町の中心にあるだけあって、待合室は広い。平成29年の特定日利用者調査では、鵡川駅は174人。苫小牧駅を除けば日高本線中、最も利用者数の多い駅である。

大変有難いことに、待合室には暖房が付けてあった。

折り返し苫小牧行き1番列車が出発を待つ。乗客は私の他にもう一人で、合計2名であった。平成29年の特定日利用者調査によれば、この列車の最大利用者は勇払~苫小牧で21名とのこと。単行でも全員が余裕をもって着席できる数だ。

鵡川から浜田浦までは時間にして4分ほど。前方のデッキに立ち、前面展望を楽しむ。浜田浦の標識があり、駅が近づいてくる。

浜田浦駅が見えてきた。ホームは短く、砂利形式のようだ。

6:28着の列車で浜田浦駅へ降り立ったのは私一人。乗降客は他にいなかった。続行する7:15発の苫小牧行きに乗車するまで、47分間の滞在を楽しむ。

列車が去った後の浜田浦駅は静寂に包まれる、と言いたかったのだが、実際のところ目の前の国道をそこそこのスピードで車が通過していくので、静かな環境ではない。しかし、駅の雰囲気はとても良いものであった。

こちらが浜田浦駅の待合室。コンクリートブロックの壁とトタン屋根で構成されている。ドアは無い。道内の待合室でドアが無い駅に出会ったのはここが始めてであった。元々利用者は多くなかったのだろうか。

トタン屋根には木材が打ち付けられ、補強されている。

待合室の壁沿いにはシンプルな木製長ベンチが備えられていた。朝ということもあって寒かったけど、待合室に入ると何だかホッとした。

待合室の入り口側には、運賃表と時刻表が備えられている。

列車は一日上下6本ずつ。2023年3月時点で日高本線は上下8本ずつの列車が苫小牧と鵡川を行き来しているのだが、浜田浦駅は内2本が通過する。浜田浦駅からの利用者は苫小牧方面に特化していたようだ。

浜田浦駅の駅ノート。ケースに防水のため・・・と書いてあったのだが、中は湿っていた。その理由は次の写真をご覧あれ。

待合室の壁には隙間が有り、ここから風雨が侵入していたようだ。

ホームから待合室と駅前を見るとこのような広大な景色が広がっている。駅のそばに民家は無い。目の前の道路は結構な頻度で車が走っていた。

ラッチとも違う錆びかけた黄色い柵が、ここからがホームですよ、と言わんばかりに2個立っている。

次の列車まで時間の余裕があったので、駅の北側をぶらぶら歩いてみた。踏切を渡った先には芸術的なオブジェが並べられていた。作者はロコ・ソラーレを応援していたのだろうか。

駅の裏手には広大な農地が広がっていた。実に北海道らしい広がりのある景色。夏に青々とした作物が整然と並ぶに違いない。

駅へ戻り、駅名標を観察すると、フレームの腐食が進んでいた。海が近いためか厳しい環境なのだろう。



定刻通り、苫小牧行き列車がやってきた。この列車に乗車し、浜田浦駅を後にする。

浜田浦駅から乗車したのは私一人で、降りる客はいなかった。キハ40 1724・1785は、ゆっくりと加速しながら浜田浦駅を後にした。浜田浦駅は2023年3月17日を最後の営業日として歴史の幕を閉じる。廃止されるのは寂しいが、最後に訪問できて、大切な思い出を残すことができた。

2023年3月11日土曜日

N183系 特急オホーツクの旅

北海道の移動を長らく支えてきたN183系が、2023年3月のダイヤ改正を以て定期運用から退くこととなった。札幌を中心に、稚内、網走、釧路、函館と道内を駆け巡ったN183は、特急オホーツク、特急大雪で最後の活躍をしている。今回は特急オホーツク1号に全区間乗車し、その旅をしっかりと記憶に焼き付けた。

2023年3月4日早朝の札幌駅。オホーツク1号は7番線から出発し、網走までの営業キロ374.5kmを5時間21分で走る。

なんと、今回乗車するのはグリーン車!鉄旅の先輩であるJ氏が是非乗ってこいとグリーン券をプレゼントしてくれたのだ。憧れのハイデッカーグリーン車に乗れるなんて、こんな嬉しいことはない。

オホーツク1号となるN183系が苗穂からやってきた。この日は1両増結され5両編成。遠軽方より、キハ183-9562、キロ182-7552、キハ182-7557、キハ182-7551、キハ183-1503である。

札幌駅7番線に収まった特急オホーツク1号。お隣は6:52発の特急北斗4号。

乗車するのはキロ182-7552ハイデッカー車。奥に見える普通車と比較すると窓の高さが大幅に異なっている。北海道の車窓をハイデッカー車から眺められるという、贅沢この上ない車両である。

ハイデッカーグリーン車の車内は3列シートで構成され、ゆったりとした空間が確保されている。シートは分厚く身体を包み込むような感じである。この日のグリーン車はほぼ満席であった。

ヘッドレストには読書灯が備えられている。座席下方には足のせ台もあり、非常に快適である。実際、旅の途中ウトウトしてしまい、旭川のあと上川まで記憶が飛んでいた。

0:18 汽笛             
0:25 発車             
1:55 オルゴールと案内放送     
2:57 汽笛             
3:04 苗穂駅通過          
3:16~快速エアポートとの併走    
5:26 快速エアポートを抜き去る   
5:30 汽笛             
5:39 白石駅通過          
6:23 札幌貨物ターミナル通過    
6:48 平和駅通過          
7:38 千歳線分岐と再び快速エアポート
8:20 厚別駅通過、加速       

朝食は札幌駅の名物駅弁「石狩鮭めし」。札幌駅構内の弁菜亭は早朝から営業していて、オホーツク1号の乗客はここで駅弁を買える。有難いことにHOKKAIDO LOVE!割の電子クーポンを使うことが出来た。鮭とイクラと錦糸玉子、そして味付け御飯のバランスの素晴らしいこと。色合いが食欲をそそる。勿論、味のほうも見た目同様に秀逸である。

乗車した2号車は旭川で乗客を加え、ほぼ満席状態で石北本線に入った。上川駅を出るとだんだんと雪が増えてくる。写真は旧中越駅こと中越信号場。

上越信号場へ向けてエンジンを唸らせながら勾配を登っていく。勾配がきついのか、流石のN183系も速度が下がる。0:13より北見峠に関する案内放送。冬は3mの積雪になるそうだ。4:50上越信号場。5:30北見トンネル。

丸瀬布のあたりではエゾシカが列車前方に出没し、低速走行になった。そのため列車は4分程の遅れで東進することになった。

列車は4分遅れて遠軽駅へ到着した。3分間の停車時間があり、皆一斉にホームへ降りて車両を撮影する。ここで列車の向きが逆向きになるため、乗客は一斉に座席の向きを転換した。

2019年5月に閉店した遠軽駅の駅そば屋さんは当時のままの状態で佇んでいた。
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ここで過去の振り返り
こちらは、営業していた2017年当時のそば屋さんである。この時、上り特急大雪の停車時間3分間で「車内持ち込みで、あいがもそば、出来ますか?」と聞いたら店主の方が「大丈夫ですよ」と即答して、急いでそばを出してくれたのだった。

N183系特急大雪の車内で賞味した、遠軽駅あいがもそば。大変美味しかった。

キロ182ハイデッカーグリーン車には、補助席が2つ備えられている。補助席の前には車内販売準備室があり、ここで買うときに座って待つことが出来た。

この写真は特急北斗で、車内販売が営業していた当時の車販準備室の様子である。流しや給湯設備がある。

特急北斗乗車時、この車販準備室に車内販売員の方がいたタイミングでアイスクリームを買い、補助席でこれを堪能した。窓際にちょうどアイスを置けるスペースがあり、これが良い具合。

アイスクリームに加えて、ホットコーヒーも買ってしまった。車内販売で買うカップのホットコーヒーは一際美味く感じる。

カップコーヒーのカップはJR北海道独自のものであった。

2017年に特急オホーツクに乗車した時はガラガラで、遠軽から生田原まで先頭の自由席かぶりつきシートを暫し楽しんだ。写真は廃止されてしまった生野駅。この後、生野駅安国駅を訪問した。


生田原駅から網走を目指して発車していくオホーツク1号。この時はヘッドマークがOKであった。個人的には現在のヘッドマークとして使われている能取岬と流氷のイラストの方が良いと思う。

2017年当時は半室グリーンの基本番台キロハが連結されていた。

生田原駅から乗車したのは特急大雪。

過去の振り返り ここまで。
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生田原を出ると常紋越えに差し掛かる。段々と速度が落ちていき、峠越えの様相となる。4:15常紋トンネル、4:58汽笛、5:00旧常紋信号上の引上げ線。

札幌からおよそ4時間半、石北本線随一の規模を誇る北見駅へと到着した。多くの乗客が降りていく。

網走到着前には、進行方向左手に網走湖が見えてくる。網走に来たなあと感じる瞬間である。

そして終着の網走へ到着。ヘッドマークの幕まわしが始まる。
0:11 ホームライナー  
0:16 北斗       
0:30 サロベツ     
0:36 旧オホーツク(OK)
0:43 大雪       

折り返し特急大雪として、発車を待つN183系。大雪のヘッドマークのデザインは良い。

個人的に、キハ82の流れを組むバランスのとれた3枚窓デザインが好きなので、N183系の前面はかなり好きである。同じ理由で373系やEF65 PFのデザインも秀逸と感じる。

先頭車キハ183-1504には発電用エンジンが床下に備えられている。先頭車で言えば、基本番台のキハ183は床上に発電エンジンが積まれていたので、乗車定員40名と座席数が少なかった。N183系は定員60名と20名も乗車定員を増やすことが出来ている。因みに駆動用エンジンはキハ54と同じものであり、キハ183-1500は同時期に登場したキハ54と兄弟車的な存在だ。

北海道旅行で良く御世話になったN183系。最後に憧れていたハイデッカーグリーン車5時間もの旅を堪能でき、大変幸せな時間であった。グリーン券をプレゼントしてくれたJ氏にこの場をお借りして感謝申し上げます。

最後に特急大雪の発車を見送ってオホーツクの旅を終えた。


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