2016年7月30日土曜日

安牛駅

宗谷本線安牛(やすうし)駅は雄信内駅南幌延駅の間に位置する棒線駅である。安牛駅の駅前には家一軒なく、見事なまでに何もない状態となっている。秘境駅探訪で有名な牛山隆信さんの訪問記を拝見すると、2000年12月末日の時点では家屋があったようだ。時を経て人はこの土地を離れてしまい、駅だけが残った。けれども、利用客はちゃんといるようで、NHK札幌の無人駅探訪(2016年3月放送)によれば、1名の定期利用客がいるそうだ。宗谷本線安牛駅は、今日も地域の足を支えている。

2021年3月13日を以て廃止されました。  

砂利タイプのホームに車掌車改造の待合室と、
北海道のローカル駅では良く見かける組み合わせだ。
個人的に、車掌車の待合室は木造タイプの次に好きである。


安牛駅の周辺は平坦な地勢で、天塩川の三日月湖が点在する。
周りには牧草地が広がる地域である。

 
駅へのアクセス道路から待合室を望む。
このときは上幌延から自力でやってきたので、
駅が見えたときは一際嬉しかった。 

 
待合室を背に駅前を眺める。
駅の前に家屋は一切ない。 

 
駅へのアプローチ道路は300mほどで終わり、
道道256号線に合流する。
合流地点そばには開進集会所があり、
幌延町の避難所となっている。
敷地の一角にはプレハブの建物が置かれ、
何人かが利用しているようだった。

塗膜がボロボロになってしまった待合室。
長年の紫外線と風雪の厳しさによるものだろう。


 
塗膜の劣化は著しいとはいえ、全く手が加われていないわけではないようで、
交換されたばかりに見える真新しい通気口がその存在をアピールしていた。

庇となる屋根には端部に穴が空いてしまっていた。

 
待合室の中は大変綺麗に保持されていた。
長いすの奥に見えるのは駅ノートである。

 
駅ノートにはたくさんの書き込みがあり、
旅人達の安牛駅に対する熱い思いが刻まれていた。

安牛駅のお隣は雄信内駅と南幌延駅、雄信内のさらに隣には
糠南駅があるなど、魅力のある駅が多い地域である。
安牛駅と併せてこれらの駅に訪問したい。

車掌車待合室のデッキより、稚内方を見る。
デッキの仕切り板下部は腐食で穴があいてしまっている。

線路側の外板の状態は逆側と比較すると良好である。
安牛駅の文字はペンキで書かれているようで、
ステッカーでないところが何だか嬉しい。

 
列車を待つ間にスーパー宗谷がやってきた。

北を目指し、急ぎ走り去っていく。
特急列車と安牛駅、
それぞれの時間の流れは全く異なっているようだ。


やがて名寄行きのキハ54がやってきた。
そろりそろりと駅へ向けて減速してくる。


この列車で安牛駅を後にした。
緑に囲まれた夏の雰囲気を堪能できたので、
今度は季節を変え、冬に訪問してみたいと思う。



2016年7月18日月曜日

瀬越駅

留萌から増毛方に一駅行くと、瀬越駅がある。留萌本線で最も日本海の眺めが良い駅と言えるだろう。駅は海から一段高く、夕日を眺めるにはうってつけの場所である。 訪問したときは隣の礼受駅から自力でやってきた。留萌本線の留萌・増毛間は比較的駅間距離が短いのだが、この瀬越・礼受間は4キロほどもあって中々の長旅であった。それもあってか、一息ついて海を眺める時間は格別で、良い待ち時間を過ごすことが出来た。

※2016年12月5日を以て廃止されました。


 
夕暮れ時の瀬越駅。
海岸段丘の裾に駅が設けられている。

留萌駅から比較的近い位置にある。
歩鉄ならば留萌駅からのアクセスが便利かもしれない。

 
単線の踏切と静かな海の光景。 

 
線路の下を走る道路から駅を見上げる。
単行気動車が似合う 雰囲気を持っている。

駅のホームからは、日本海へ突出した
増毛山地の一部を遠望できる。

 
瀬越駅の駅名板には錆一つ無く、真新しく見える。

 
駅の増毛方に見える礼受風力発電所。
この地域は恒常的に風が吹くのだろう。
とはいえ、この日は無風であった。

夕暮れのホームに佇む小さな待合室。
海と線路を眺めつつ、
この待合室で列車を待つのは何とも乙なものだ。

駅のすぐ前には瀬越浜が広がっている。

 
待合室には誰かが寄贈したであろう
小さな椅子が置いてあった。
窓には駅ノートが置いてある。
この椅子に座りながら、駅ノートへ一筆残させて頂いた。

試しに腰掛けてみると中々落ち着く座り心地であった。

 
ドアを開けるとこの通りに海が見られる。

 
主要駅の運賃が示された運賃表。
深川駅を除き、留萌本線の各駅には
ナンバリングがされていない。

 
 
やがて留萌方より増毛行きがやってきた。
夕暮れの駅に踏切の音が穏やかに響く。

この列車から降りた客はおらず、
乗車したのは、自分一人であった。

瀬越駅の周囲は人工物が多く、
駅前の道路には時々車が通過する。
けれども海の近さなのか、癒やされる空気が十分にあった。
日没前に訪問して、ホームから日本海に沈む夕日を
見られたらそれは格別であろう。
また行く機会があれば、
是非とも日没前の時間帯を狙って訪問してみたい。



乗客は自分の他に1名のみでガラガラの増毛行き。

比較的新しい車両と認識していたキハ54は、
製造からすでに30年を経過している。

お手洗の空き、使用中を示すランプ。
「燈」の字を使っているところが何だか良い。



2016年7月8日金曜日

朱文別駅

留萌本線朱文別駅は、留萌~増毛にある板張りホーム駅である。
緩やかな曲線と板張りホームというのは実に絵になる。
味わいのある待合室もあって、訪問する価値は高い。
周囲には民家と国道があり、秘境感は乏しいが、
単行気動車の似合うのどかな雰囲気をまとった駅である。

※2016年12月5日を以て廃止されました。 

朱文別駅の全景。
短いホームとこじんまりとした待合室が旅人を迎えてくれる。 
夕暮れ時の叙情的な雰囲気がとても良い。

朱文別駅は増毛駅の2つ手前にある。日本海は目と鼻の先である。

 
列車内から見た朱文別駅。
これから降りようとする板張りホームの出現に気分が高揚する。

 
朱文別駅へ到着したキハ54 503。
ホームはドア一個分しかない。

草むす線路を増毛へ向かっていく、キハ54。

 
列車が去った後のホーム。

 
駅名板に垂れた錆汁の跡は涙のようだ。
日本海に近いせいか錆が目立っている。

 
 踏切から見た留萌方の線路。
海沿いの地形に沿ってカーブを描きながら敷かれている。

 
曲線線路にあるずれ止め(?)。
ローカル線らしさを強調するアイテムである。


木造待合室は外壁が化粧されている。
窓周りは経年で錆が目立っている。

 
こちらは待合室の中。
清掃が行き届き、とても快適な空間だ。
旅人の足跡を記す駅ノートもある。

 
待合室の片隅には「深川運転所 」と名の入った一斗缶があった。 
今や運転所は統合され、深川には留置機能しかないはずなので、
貴重なものだろうと思う。

 
スノーダンプや清掃道具が小綺麗にまとめられている

 
駅と日本海は100m程度しか離れていない。
駅の訪問時には日本海を見てボーッとするのも良いだろう。

 
こちらは海沿いの国道から駅へ入る道路をみた光景。
国道と近いこともあって、囲には民家がある。

この日の日本海は驚くほどの静けさをたたえていた。

 
増毛からやってきた上り列車が到着した。
この列車で朱文別駅を後にする。
朱文別駅は留萌~増毛の廃止とともにその歴史に幕を閉じる。
もう来られないのではないかという寂しい気持ちと、
駅を訪問できた満足感とが交錯した
複雑な思いを持ちながらの出発であった。


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