2020年4月26日日曜日

上幌延駅

北海道幌延町は自治体別で秘境駅数No.1という、駅巡り愛好者の聖地のようなところである。物置待合室で有名な糠南駅、日本最北の板張りホームの南幌延駅、木造駅舎のある雄信内駅、ボロボロの車掌車待合室のある安牛駅は幌延町にある。夕日の美しいパンケ沼へアクセスできる下沼駅もその一つ。残るは上幌延駅と問寒別駅である。上記5駅と比較すると、上幌延駅は個性の点で弱いかもしれない。しかし、車掌車待合室と、静かな環境という点では十二分の良さがある。

2021年3月13日を以て廃止されました。  


幌延駅から一駅名寄側に上幌延駅がある。幌延駅や南幌延駅から徒歩でのアクセス可能だ。上下列車の時間を考えれば約5km離れた安牛駅へも間も歩いて移動できる。


雄信内駅から乗車した稚内行普通列車は間もなく上幌延駅へ到着する。駅の前後で線路が湾曲しているのは、かつての交換設備の名残である。


定刻通りに上幌延駅へ到着。列車から下車したのは私のみで、他の乗降客はいなかった。


30秒ほどの停車後、カタコトと音を立てて幌延駅へと走り去っていく。


雄信内側を見ると人工物らしいものはほとんどない、広がりのある風景を得られる。


こちらは幌延側。写真右手の土手は過去のホーム後だろうか。その奥側には牧草地が広がっている。


傾いた駅名票にホーローの縦書き駅名板。

こちらが上幌延駅の車掌車待合室。待合室の入り口には盛り砂利と舗装がしてあり、利用者への配慮がされている。

元車掌車の窓枠にはリベットが打たれている。古い車掌車なのだろうが、一部の塗装が剥がれて錆がある他は、比較的良い状態のようだ。

待合室には長いす1台が置いてあり、そこには駅ノートが置かれていた。私も記念に一筆書き残した。将来の再訪時に自分の書き込みを見つけ、懐かしい思いに浸ろうと考えていたのだが、上幌延駅は2021年3月で廃止の見込となり、再訪は適わなそうである。残念。

駅前には民家が1件あるのみである。2車線道路が交差していることもあり、秘境感はないのだが車の往来は限られていて、比較的静かな環境である。

次の列車までしばらく時間があるので、この駅から自力移動で安牛駅まで移動する。最後に上幌延駅を振り返って写真に収めた。


2020年4月19日日曜日

五能線 キハ40系の旅

五能線は日本海の風光明媚な景色が楽しめる路線として有名で、1990年から観光列車ノスタルジックビュートレインが走り始めた。秋田と青森に新幹線が通じる今、JR東日本は五能線の観光列車に対してかなり力を入れているようだ。観光列車に注目が行きがちな路線であるが、普通列車で活躍するボックスシートの並ぶキハ40系もまた大きな魅力である。今回は、川部から東能代までキハ40系のボックスシートに揺られて五能線を堪能してきた。


出発は川部駅。木造上屋のあるホームにキハ40が停車中。側線にはホキ800が留置され、あたかも国鉄時代のような光景である。


五能線のキハ40系ではサボが活躍している。キハ40でもサボを使わないケースがある中で嬉しいことだ。五能線は多様な行き先があるということなのだろう。


川部駅は五能線の終着駅である。上り普通列車を乗り継いで147.137km先の東能代駅を目指していく。


川部を出ると、列車はりんご畑の中を進んでいく。赤いりんごが鈴なりに実っていて、青森らしい風景である。列車左側に見えるのは津軽富士こと岩木山。各ボックスに一人か二人程度の乗客を乗せて五所川原へと進む。


川部からおよそ30分で沿線の主要駅、五所川原へ到着。ここで大量の下車があり、まとまった乗車もありで乗客が入れ替わったかのようだった。乗車していた2両目はここから15名ほどになった。

五所川原を出てから、途中駅へ着く度に少しずつ空いていく。鈍行列車らしいゆっくりとした時間が流れる。岩木山を眺めながらボックスシート寛ぐ時間は至福である。


鰺ヶ沢駅へ到着。秋田犬「わさお」で有名なきくや商店への最寄り駅である。きくや商店のイカ焼きと、わさおを目指して、いつか下車してみたい駅である。

乗客のほとんどは鰺ヶ沢駅で下車し、2両目の乗客は自分を含めてたったの二人となった。このようなガラガラの状態でボックスシートの鉄旅を堪能できるとは素晴らしい。自分のような鉄旅愛好者は身勝手なもので、ローカル線の繁栄を願いながら、自分行くときは空いていて欲しいなどと考えてしまう。


鰺ヶ沢を出ると列車右手には日本海が見えてくる。ここからは日本海に沿っての旅となる。


鰺ヶ沢駅から3駅ほどの北金ヶ沢駅で列車交換のため、暫しの停車。この駅には木造駅舎が残っている。


汚れが目立つ外観ではあるが、塗膜や外版が剥がれるような状況は見られない。五能線は塩害の影響が大きいと思われるが、キハ40の持って生まれた耐久性と良好なメンテナンスあってのことだろう。


北金ヶ沢駅で行き違いをしたのは観光列車リゾートしらかみ。貫通路越しでも客室の窓の大きさがわかる。


北金ヶ沢を出ると再び海が近くなってくる。この日は暖かく、窓を開けながらの車窓を楽しむことができた。


風情のある駅名、風合瀬(かそせ)駅。

列車は間もなく驫木(とどろき)駅へ到着する。この駅には上下列車を利用しながら訪問した。

驫木駅から追良瀬駅を過ぎるとその次は広戸駅となる。広戸駅から深浦駅は五能線車窓のハイライト。この区間は窓に釘付けとなってしまう。(写真はリゾートしらかみでこの区間を行き来した際のもの)

翌朝、広戸駅へ訪問の後、再び乗車した普通列車の乗客は私一人。この日も比較的暖かかったこともあり、窓を開けて五能線のハイライト区間を楽しんだ。2:18~、2:38~あたりが特におススメ。


そして深浦駅へ到着。この日は田中旅館で一泊し、翌朝の列車で旅を再開する。


日没前に深浦駅から徒歩10分ほどのところにある大岩へ行ってみた。トンネルをくぐって上にあがると、まさに夕日が沈まんとするタイミングであった。


夜の深浦駅。

日が変わって朝の深浦駅。早朝の広戸駅訪問後、五能線キハ40の旅を再開する。

刈り込みの終わった田んぼ越しに日本海を眺める。

深浦から東能代側の景色も変化に富んでいて、所によってはこのような景色も。単に海沿いといっても決して飽きることとはない。

十二湖駅の手前(だったと思う)では、道路よりも線路のほうが海へ近づき雄大なカーブを描く。ここも中々の見どころである。

大間越~岩舘の区間は県境となり、線路は高度を上げて白神山地の先端を走っていく。急こう配の続く区間ながら、強力型エンジンに換装されたキハ40は力強く進んでいく。ここは五能線第二の見所である。

大間越からおよそ13分間走り、県境を越えて岩舘駅に到着。列車の行き違いのため、川部方面行のタラコ色キハ40系がこちらの列車を待っていた。

八森を出て風力発電所の風車が見えると、日本海とはお別れとなる。

岩舘から能代へ向かって乗客がだんだんと増えてきた。そして秋田県側のメインの駅、能代駅へと到着。

バスケットボールの強豪校、能代工業高校に因んでか、向かい側ホームにはバスケットゴールがある。

そして終点の東能代駅へと到着。さすがは観光列車が走る路線だけあって、素晴らしい車窓を堪能できた。大好きなキハ40系に乗っての旅行。これが私にとって大きな贅沢であった。

東能代駅内のNewDaysには有名駅弁の鶏めし弁当が売られていた。大好きな駅弁だけに脊髄反射で買ってしまった。

その後乗車した特急列車内で食べた鶏めし。やはり味はピカイチであった。


javascript:void(0)