宗谷本線下沼駅は、下沼湧水やパンケ沼など周囲に名所の多い駅である。この駅は列車以外での到達がしづらく、近くにバス路線が無いほか、自力で向かおうにも隣の幌延駅、豊富駅からは遠く、9km以上の道のりをとらねばならない。今回、抜海駅の訪問を終えて上り列車に乗り、この駅へやってきた。
車掌車改造の待合室に砂利ホームと、
宗谷本線で馴染みの組み合わせ。
周囲は広がりのある風景に囲まれている。
下沼駅の近くにはパンケ沼がある。
幌延と豊富の市街地からは離れている。
上り列車の前面に下沼駅が見えてきた。
どんな光景が待ち受けているのか、楽しみな瞬間だ。
下沼駅へ到着した上り列車。
降りたのは私一人のみであった。
乗る客はなく、列車は僅かな客とともに
幌延へ向けて発車していく。
下沼駅の駅名板は脚が少し傾いている。
幌延駅のシールの下には、
かつて存在した南下沼駅の文字があるはずだ。
駅の周囲には人工物が少ない。
とはいえ、すぐ裏手には国道があり
車の走る音が時折聞こえてくる。
デッキ部分は腐食が進んでいる。
待合室の中には座布団や机があり、
快適に過ごすことができる。
地元の方の愛情が伝わってくる。
机の上は旅人の心をくすぐる物ばかり。
駅前には草地が広がっており、数件の家屋が存在する。
駅から歩いてすぐのところに「下沼湧水」があり、
常に水が出ている。
コップが備え付けられており、私も飲んでみた。
私の中では下沼湧水ではなく、
下沼名水という名称に変わった。
昭和29年頃から自噴しているとのこと。
何か自噴するきっかけになる出来事があったのだろうか。
名水を飲んだ後、夕日を目指して西へと向かう。
到着した先はパンケ沼。
沼越しに素晴らしく美しい夕日を見ることが出来た。
利尻富士の横に沈む夕日を眺める。
思わず見とれてしまう。
パンケ沼から駅へ戻ってくるとすっかりと日が暮れていた。
列車を待つ間、駅ノートへ書き込みをする。
下沼湧水の水を汲みに来ている人の書き込みが多かった。
よくよく見てみれば、この机は学校机である。
待合室の二重窓は今もキッチリ機能している。
お手製の名所案内図があった。
名山台展望台も駅から近い。
過去に幌延駅でレンタサイクルが借りられた頃、
自転車で名山台まで来たことがある。
座布団にはしもぬまの文字が。
やがて時間通りに列車がやってきた。
下沼駅ではとても良い時間を過ごすことが出来た。
最後に夜の帳が降りた駅とキハ54を絡めて撮影する。
この列車で駅を後にした。