2018年11月23日金曜日

抜海駅

宗谷本線、抜海(ばっかい)駅には日本最北の木造駅舎がある。味のある抜海駅の木造駅舎は、開業した大正13年から使われているとのこと。最果て感のある周囲の景色と相まって、この古めかしい駅舎は旅情を一層かき立ててくれる。


抜海駅は北海道稚内市に位置する。
周囲は僅かな民家があるだけで、非常に静かな環境にある。

抜海駅へは夏期と冬期の2回訪問している。
まずは夏期の訪問から。

抜海駅に停車する列車の本数が少ないため、路線バス+自力でアプローチし、抜海駅から列車で出発することにした。
アプローチは宗谷バスの坂の下バス停から。稚内駅前から乗車したバスは反時計まわりにノシャップ岬を経由し、坂の下バス停までやってきた。ここが抜海駅への最寄りバス停である。ここから抜海駅まで8kmの道のりだ。

オロロンラインをひたすら南下していく。
振り返れば宗谷丘陵が横たわる。

はるか先に抜海港が見えてきた。
抜海港の先にはうっすらと利尻富士が見て取れる。

やっとこさ見えたのは抜海駅舎。
この日はオロロンラインの向かい風が強く、
8kmが一層遠く感じられた。

やっと到着した抜海駅。
駅の道路側は外壁が化粧されていた。
向かって左側にある部分が元々の姿なのだろう。

駅舎へと入ってみる。クリーム色の壁と赤色のドアが実に良い感じだ。戸は木製独特のガラガラと音を立てながら、開閉する。現在最新のアルミサッシのものと比較するとお世辞にもなめらかな動きとはいえないが、木造駅舎にはこれが実に似合うのだ。

4つ並んだプラベンチの隣にはソファーが1つ。プラベンチには座布団があり、暖かみがある。窓枠はアルミサッシに変わっていない。

駅舎には手荷物台が残っている。
wikiによれば1984年まで手荷物扱いをしていたようだ。

塞がれた窓口に残る台には駅ノートがある。
過去の駅ノート書き込みはどなたかが
冊子にまとめて下さっているようだ。

ホームへと足を向ける。

ホームに出る前に雪切りのスペースがある。
板張りで歩くのが心地よい。

雪切りスペースの屋根は一部の板が交換されたようだ。
(写真右側)

ホーム側入口には力強い筆字体の駅名標が掲げられている。

右側の縦書きの駅名板はサンゴのようなものを
ちりばめて出来ている。

ホーローの駅名板は少し褪色して、
良い雰囲気を出していた。

「ばっかい」とは何と響きの良い駅名だろう。
ちょうどここから南稚内にかけて列車から海を眺めることができる。それを連想させ得るような当て字で、とても合う漢字だと思う。ここには名所案内も残っていた。

ホーム上には小砂利が敷いてあり、綺麗に整備されていた。

抜海駅は交換駅で、相対式ホームを備えている。

上り線ホームへ構内踏切を渡って行く。

構内踏切から旭川方を眺める。
広い構内のはるか先に合流ポイントがある。

上り線ホームの奥側には熊笹に埋もれかけた側線があった。

側線の先には車止めも残っていた。
貨物ホームは通常駅本屋側にあることが多いので、
この側線は貨物ホームの痕跡ではないかもしれない。

上りホームから駅舎を眺める。
個人的にはここから見る駅舎が一番好きである。

「た」タブレット ヨシ
「し」信号 ヨシ
「か」旅客 ヨシ
「に」荷物 ヨシ

列車を待つ間に上り特急宗谷号が通過していった。

それから程なくして乗車予定の上り普通列車がやってきた。

キハ54の普通列車が到着。
ここから乗車したのは私1人であった。

乗車したキハ54の車内は空いていて
若干の高校生が乗っている程度であった。

ーーー
時が変わり、こちらは冬期の抜海駅。
積雪量はさほど多くはなかった。
この辺はさらさら雪であることが多いようで
比較的歩きやすい状態であった。

駅前には2~3軒の民家があるだけだ。

保線の方がいるためなのか、
待合室に通じている煙突が暖房となり室内は暖かかった。

待合室には柔らかな日差しが差し込んでいた。

やがて下り普通列車がやってきた。
冬は周囲の熊笹が目立たなくなり、
最果て感がさらに強くなる。
この駅には冬には冬の良さがある。
次はどの季節に訪問してみようか。


+のオススメ情報
抜海駅へのアクセスで坂の下バス停を利用するなら、
是非とも坂ノ下神社に寄るべきである。
神社は丘の上にあり、
向かう途中で素晴らしい眺望が得られる。

ノシャップ岬方面を見た景色。

坂を登り切った先には坂ノ下神社と竜神沼がある。
神社でお参りをした後、竜神沼の脇で休息。
荘厳で癒やされる光景であった。

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