2018年11月9日金曜日

185系特急「はまかいじ」乗車記

特急「はまかいじ」号は横浜~松本を走る臨時特急列車である。臨時列車といえど、ほぼ毎週末の土日に一往復ずつ運行される準定期列車として長年走り続けている。それだけ需要のある列車なのだろう。中央本線沿線は行楽地が多いためか、行楽シーズンの週末は中央自動車道の渋滞が頻発し、特に小仏トンネル付近の渋滞は行楽シーズンの風物詩とすらなっている感がある。圏央道が開通して神奈川県東部から中央自動車道へのアクセスが改善されたとはいえ、この渋滞による時間のロスは大きい。渋滞とは無縁の鉄路を行く「はまかいじ」号には、相応の優位性があり、この列車への需要は今後も続くと思われる。

国鉄車両好きの私としては、この列車が185系で運転されているということに非常に興味があった。ムーンライト信州の189系と並んで、中央本線を走行する最後の国鉄型車両である。MT54サウンド好きとしては、見逃せない車両である。185系の車両置き換えが進行しつつある今、この列車での鉄旅を決めた。

はまかいじ号の始発駅は、列車名にもある横浜駅。
自由席車両の並び場所には多くの人が並んでいた。
普段通勤列車しか走らない京浜東北線のホームに
185系が入ってくるという光景が面白い。

自由席の混雑状況はご覧のとおり。
横浜発車時点で6割程度の座席が埋まっていた。この後新横浜で8割埋まり、町田駅ではさらなる乗車で立ち客も3名ほど発生した。私の隣の席には、ハイカーと思われる中年の女性が新横浜から着席した。元々は指定席の予約を試みたのだが、乗車3日前では一部の通路側しか空いておらず、諦めることにした。実に高い乗車率である。

町田駅到着。ここで普通列車を追い越す。
驚いたのはこの駅で下車した乗客が複数いたことである。
横浜線の特急はそれだけ便利だということだろうか。

相模線との合流点、橋本駅へ到着。
列車は八王子へ向け、さらに北上する。

八王子駅へと到着。タンク車が隣にいて、
中央本線へ入ったことを実感させる。
ここで短距離利用の鉄人達が降りていき、
車内は全席がちょうど埋まる程度の乗車率となった。

鳥沢~四方津で新桂川橋梁を渡る。
河川の中には釣りを楽しむ人達がいらした。
桂川漁協のHPを見る限り、鮎釣りができるようだ。

大月駅へ到着。
ここで自由席からも多数の下車があった。
別日に上り「はまかいじ」に乗車したJ氏によれば、自由席は大月から立ち客が出始めるほど混んでいたそうだ。この列車は河口湖方面への輸送の役割も担っているようだ。

初狩駅の待避線が見える。このあたりは勾配がきついはずだが、MT54を唸らせながらぐいぐいと登っていく。

列車は笹子トンネルへ向けて続く勾配を駆け上がる。


勝沼ぶどう郷から塩山への一駅間は中央本線で最も景色の良い区間である。はまかいじ号が甲府盆地へ向けて下り坂を駆け下りていく。

勝沼ぶどう郷駅へ到着。
行楽客の需要が大きい駅なのだろう。
この駅でも結構な下車があった。

僅かに遅れて甲府駅へ到着。
この駅で3号車自由席のほとんどの乗客がおり、
車内はここからガラガラとなった。



洗面所は時代を感じさせる雰囲気があった。
ちゃんと石けんが備えられているところが嬉しい。
コックをひねると水とお湯が出るが、ひねり続けていないと水が止まってしまうので手の洗い方には少々工夫が必要だ。

HとCの文字が見えるコック。

185系の特徴といえば、普通列車での運用を考慮したこの大きなドア。普通の特急用車両や新幹線のドア幅は70cm~71cm。対して185系は100cmとなっている。デッキからの乗降は1人1人というパターンが多いので、果たして30cmの差はあるのかと思いきや、これが大幅に変わるようだ。デッキに立てる人の数が大幅に変わるほか、肩掛けバックやキャリーケースの人の降りやすさが違うように感じる。私が見ただけでも、乗降のスムーズさが全然違った。普通列車への運用を考慮すればやはり100cmは必要な幅なのだろう。

デッキにあるくず物入れの文字は国鉄フォントである。

車内には温度計があった。

列車は甲府盆地を抜け、小淵沢へと到着した。
この駅でもまとまった下車が見られた。

デッキの乗降扉の向こうには小海線の車両が見える。

ホームに足湯のある上諏訪を出ると、

進行方向左手には諏訪湖が見えてくる。

最後の停車駅、塩尻に到着。
ホームの駅名標にはオレンジ色が配され、
JR東海との境界駅まで来たことがわかる。

ほぼ定刻通り、松本駅へ到着した。
乗車したのは大宮にねぐらを持つ、B5編成だったようだ

車番の左側には◆マークがついている。
これは中央本線等、一部路線にある低断面トンネルを通過できる集電装置を持つという意味である。

始発の横浜駅では入線から発車までの時間が短かったため、
車両をしっかりと撮影できるのは松本駅のみであった。

ドアランプや窓枠に一部に汚れはあるものの、
外板は大変綺麗な状態であった。

行き先表示がLED全盛期となった平成末期において、
方向幕は貴重な存在になってきた。

号車番号はサボが使われている。

国鉄車両の車体腐食に対するノウハウが蓄積され、この知見
を活かして製造された185系電車やキハ40系気動車などは、経年にも関わらず未だ耐久力を保持した車体を持っている。とはいえ、1982年に製造されたこの車両の屋根には補修の跡が所々にあった。

最後に松本駅で入った駅そばやさん。
1番線にある。

オーダーしたのは特上かき揚げ山菜そば。
「特上」とつくのは生麺からゆでるもので、予め湯がいてある普通タイプのそばより、出てくるまで若干時間がかかる。ただし味は絶品で、松本駅の駅そば「山野草」に行く機会があれば、是非とも特上のオーダーをオススメしたい。


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