2021年12月11日土曜日

池田園駅

[読み] いけだえん
[路線] JR北海道 函館本線(砂原線)
[隣駅]   大沼(3.4km)←池田園→(2.2km)流山温泉
kmは営業キロ
[位置] 北海道亀田郡七飯町軍川(いくさがわ)

※2022年3月12日を以て廃止されました。

廃止協議中の道南5駅訪問の旅、最後は池田園駅となった。駅の周囲は平坦な土地に民家が点在する閑静な地区である。銚子口駅流山温泉駅と比較すると民家の数は多いのだが、利用者は少ないようで、この駅も廃止協議中となっている。

主要道である道道338号とは離れているせいか、駅の周囲は非常に静かである。

流山温泉駅から乗車したキハ40 1801単行の函館行きはゆっくりと走り、次の停車駅、池田園駅へと向かっていく。一駅の乗車であったので、自分は前方デッキに居ながら4分間を過ごした。

流山温泉方面から来ると駅の手前で池田園トンネルをくぐる。道内で最も短いトンネルで、その長さおよそ20m。因みに日本一短いトンネルはJR西日本は呉線の川尻トンネル8.7m、次いでJR東日本、五能線の仙北岩トンネル9.5mとのこと。その他には大井川鐵道の地名(じな)トンネル11mが有名である。

池田園トンネルを抜けると、池田園駅が見えてくる。立派な跨線橋を備えている。

自分を含め3名の鉄人が下車し、乗車客は無かった。キハ40 1801が夕暮れの池田園駅を発車していく。

長いホームの先端には、徐行継続という目立つ標識がある。思い返すと流山温泉から池田園までの行路は40km/h程度で走っていた気がする。

構内から大沼駅へ向けて線路は一直線。ホームは長く6両以上はありそうだ。客車列車時代には必要な長さだったのだろう。

駅名標はライトがついていないタイプであった。恐らく、ながれやまおんせんのステッカーは新駅開設に伴って貼られたもの。駅の廃止が相次いで隣の駅が変わるケースは多々あっても、新駅誕生のケースは少ない。北海道はそれが特に顕著である。

元々ホームは1面2線の島式だったようで交換設備の跡が残る。ススキに覆われた2番線には、かつて線路があったのだろう。wikipediaによれば、1993年3月までには設備が撤去されたとのこと。

跨線橋から駅構内を眺めてみる。線路は一直線に大沼駅へ向かっている。正面は木地挽(きじひき)山に連なる山々。

跨線橋から流山温泉駅方面を眺める。こちら側にもホームが続いている。線路は写真の奥でゆるいカーブを描いて池田園トンネルをくぐる。

駅舎には紺色背景で白文字駅名、下側にはサッポロビール広告という北海道おなじみのホーロー駅名板が掲げられていた。

駅舎内には、4人がけのプラベンチが2セット備えられている。掃除が行き届いていて、大変清潔である。

ベンチからホームへの出入り口を見る。出入り口上部にはスピーカーが備えられていた。列車の遅延時などには案内放送があるのだろうか。以前、歌内駅で乗車予定の列車がやって来ず運休になったのかと焦ったものだが、こんなとき案内放送があると有難い。結局は掲示された電話番号へ掛けて列車遅れのことを聞き、安心することが出来たのだけど。

池田園駅の運賃表と発車時刻表。函館方面への通勤通学を主体としたダイヤとなっている。自分は17:01の上り列車でやって来た。

一番端のベンチに置かれているのは駅ノート。この時は駅ノートに書き込む時間が無く、自分の筆跡を残すことが出来なかった。

駅前に出て駅舎を眺めて見る。駅舎は壁がベージュ色、屋根はエンジ色で化粧され、温かみのあるカラーリングとなっている。跨線橋があると随分と立派な駅に感じる。待合室とホームが直結していない場合、跨線橋は雨天や降雪時にホーム上の簡易待合所となってくれる。

駅を背にすると駅前広場のすぐ前に数軒の家が見える。

暗くなってきたこともあり、駅を後にする。ここから歩いて大沼公園駅へ行き18:13発の普通列車に乗る予定である。現在17:25であるから急がねばならい。有難いのは池田園駅に裏口があることで、使われなくなった2番線側から道道338号線へと出られ、大沼公園駅へ行くための近道となる。

最後に振り返って、池田園駅の姿を目に焼き付けた。同時に下りた他の鉄人達は残っていたので17:51発の下り列車に乗るのであろう。

駅の裏手を出ると、レストラン ランバーハウスがある。とても評判の良いお店でステーキが美味しいようだ。ランバーハウスから大沼公園駅へは3.1kmの道のり。列車の発車まで残り47分。急がねば。

道道338号線に出て800mほど行くと、大沼を眺められるポイントがあった。時間は無いけど、この晴れ渡った日に大沼と駒ヶ岳を見られるとあっては寄るしかない。残りの道のりを出来るだけ走れば大丈夫と自分に言い聞かせ、景色を写真に収めた。撮影だけしてゆっくり眺める時間は無かったが、改めて写真を見ると立ち寄って良かったと思える場所であった。

池田園駅訪問記 終わり


2021年11月28日日曜日

流山温泉駅

[読み] ながれやまおんせん
[路線] JR北海道 函館本線(砂原線)
[隣駅]   大沼(3.4km)←池田園(2.2km)←流山温泉(1.2km)銚子口
kmは営業キロ
[位置] 北海道亀田郡七飯町字東大沼

※2022年3月12日を以て廃止されました。

函館本線の流山温泉駅は開業が2002年と新しい。JR北海道が主体で日帰り温泉施設を初めとした総合施設を開設し、関連してこの駅も開業した。一時はSL函館大沼号が停車するほど観光駅として機能していたが、2015年に温泉施設、パークゴルフ場、スポーツ広場、キャンプ場、簡易宿泊施設は営業終了となり、駅も開業からおよそ20年で廃止協議となってしまった。駅自体は近代的なプラットホームが1面あるだけで極めてシンプル。一方で、その周囲の景観はシビれるほど良く、大沼周辺随一の景観良好駅である。

流山温泉駅は大沼駅から営業キロで5.6km鹿部側へ位置している。駅のすぐ西側には道道338号線が走っているが、道道から駅へは入れず、大沼流山牧場側からでないと入れない。歩鉄で隣駅から来る方は注意されたい。

銚子口駅から早歩きで15分ほど南下すると、T字路の交差点に到達した。ここを左折すると流山温泉駅へのアクセスとなる。

道路脇の看板には流山温泉駅の記載がないが、駅に行くには看板同様にここを左折する。事前にGoogle mapで下調べしてきたので、駅へのルートは理解しているつもりである。しかし、ストリートビューは公道のみしか見られず、駅へのアクセスの最後部分は航空写真でしか確認出来ていない。こんな状況のもと、列車の発車時間まであまり余裕は無く、早めに行く必要があった。それでも旅行者の性で大沼湖畔へ出るべく寄り道をする。少し先の駐車場のところを入ればすぐ先には大沼湖畔がある。

木々を抜けるとその先に穏やかな水面を湛えた大沼があった。

この場所は北緯42度00分が通っていて、それを示す標柱が立てられている。

湖畔に出ると、晴天も相まって素晴らしい景色が待っていた。

右を向けば、駒ヶ岳が視界に入る。

折しもカヤックを楽しむ家族連れがやってきた。大沼の穏やかさとカヤックが相まって非常に良い絵となった。好天に恵まれた日に駒ヶ岳を眺めながらのカヤックとは最高のアクティビティである。大沼観光をする機会を得たら、自分もカヤックをやってみようと思う。

水面に映る太陽の光は、昔の金曜ロードショーのオープニングを彷彿とさせるものであった。トランペットのBGMが流れ、水野晴郎が出てくるあの時代の金曜ロードショーである。日没の夕焼けまで見ていたい気持ちに駆られたが、乗車予定の列車は16:57発。残り40分となっていたため、手早く写真撮影を終え、北緯42度標柱を後にした。

流山温泉駅へはこの踏切を越え、その先の流山牧場の入り口からアクセスする。

その名も流山温泉踏切。フォントが筆書き太字体となっている。

踏切を渡ると、その先にはだだっ広い牧草地が広がっていた。緑とスカイブルーのコントラストが織りなす風景は、ウインドウズXPの背景画に負けず劣らずの美しさ。

ここが大沼流山牧場の入り口であり、流山温泉駅の入り口でもある。流山温泉駅の表示は全くなく、しかも鎖で閉鎖されているので入って良いものか迷う。

注意書きを見ると、クマと不審者情報に関連して鎖で閉鎖しているとのこと。流山温泉駅は鎖の先と書かれているので、ここを入れば良さそうだ。赤文字で「入場の際も鎖はかける」とあるので、車で来る人は鎖を外して入り、入ったら鎖をかけるということが必要のようだ。

牧場の敷地内へ入ると駒ヶ岳がよく見え、これまた素晴らしい景色を見ることができた。

牧場の中に入り、始めて流山温泉駅という標示を見ることができた。列車に間に合いそうで一安心である。

牧場の右手には沼沢と草原がある。元々はここがパークゴルフ場であったようだが、人口的に作ったとは思えない景観で、徐々に自然に戻ろうとしている途上なのか、開けた土地に人の手が加わっていないような景色であった。流山温泉駅でこんな素晴らしい景色を見られるとは思わなかった。

元パークゴルフ場と逆側には厩舎があり、馬が放牧されていた。

こちらが恐らくは流山温泉の入浴施設とレストランと思われる。現在温泉は営業していないのだが、レストランは団体利用の場合のみ営業をするようだ。

温泉施設の前を通り、さらに駅へと進んでいく。

駅へと至る道路。未舗装のアクセス路は今や中々レアである。廃止されてしまった、北豊津駅姫川駅は未舗装であった。

駅前広場に到達するところで2本のロープが張られていた。近代的なホームの前にはひと気の無い駅前広場。その雰囲気は駅齢の浅い秘境駅といった感じ。

ロープの理由は動物等の侵入防止とのこと。紐で通行止めにしているのは動物であって、利用者は紐を外すかくぐって良い。

流山温泉駅は2002年開業とあってか、スロープが備えてある立派な構造である。

新幹線の鼻と車輪がポツンと展示してあった。過去には200系新幹線車両が3両も置かれていたらしい。

新幹線の鼻に触れる機会は初めてである。指でノックすると金属ともプラスチックとも異なるようなコツコツという音がした。

ホームへ上がって駅前広場を眺めて見る。湖越しに見える山地が綺麗である。

駅のホームは近代的な一面一線。新しい駅とは思えないほど、周囲の人工物が見えない。今まで何度かこの駅を列車内から眺めたが、そこまで惹かれるものは無かった。しかし実際に駅の周辺を歩き回ると、唯一無二の景観がそこにはあった。もしもムスカ大差が流山温泉駅を知っていたならば、何も知らずに来た初訪問の私を笑っていたことだろう。そして「見せてあげよう、流山温泉駅の景観を!」と言われたに違いない。

駅名板の書体は流山温泉の踏切と一緒の筆文字。

列車の時刻表と運賃表。朝は8:48発の上り列車のみ。通勤通学に使う人はいないのだろうか。

駅と大沼は近いのだが、実際のところ木々が視界を遮って大沼はほとんど見えない。

駅構内の枕木はコンクリートが一部欠けてしまっていた。この路線は貨物列車が多数走る重交通路線。線路のメンテは大変だろうと思う。

最後に駅の階段から広場を眺めて、写真納めとした。列車の時間が近づいてくると、石谷駅からご一緒したお二方もこの駅へ来て再び合流する形となった。

16:57分発の上り函館行きキハ40単行列車は定刻通りにやってきた。乗車したのは私を含む、旅行者3名。下車客はいなかった。景観の良さや秘境感など、想像以上に素晴らしかった流山温泉駅。事前にあまり期待していなかっただけに余計に良く感じたのかもしれない。訪問出来て本当に良かった。

次はお隣の池田園駅で下車する。


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