[読み] ながれやまおんせん
[路線] JR北海道 函館本線(砂原線)
kmは営業キロ
[位置] 北海道亀田郡七飯町字東大沼
※2022年3月12日を以て廃止されました。
流山温泉駅は大沼駅から営業キロで5.6km鹿部側へ位置している。駅のすぐ西側には道道338号線が走っているが、道道から駅へは入れず、大沼流山牧場側からでないと入れない。歩鉄で隣駅から来る方は注意されたい。
銚子口駅から早歩きで15分ほど南下すると、T字路の交差点に到達した。ここを左折すると流山温泉駅へのアクセスとなる。
道路脇の看板には流山温泉駅の記載がないが、駅に行くには看板同様にここを左折する。事前にGoogle mapで下調べしてきたので、駅へのルートは理解しているつもりである。しかし、ストリートビューは公道のみしか見られず、駅へのアクセスの最後部分は航空写真でしか確認出来ていない。こんな状況のもと、列車の発車時間まであまり余裕は無く、早めに行く必要があった。それでも旅行者の性で大沼湖畔へ出るべく寄り道をする。少し先の駐車場のところを入ればすぐ先には大沼湖畔がある。
木々を抜けるとその先に穏やかな水面を湛えた大沼があった。
この場所は北緯42度00分が通っていて、それを示す標柱が立てられている。
湖畔に出ると、晴天も相まって素晴らしい景色が待っていた。
右を向けば、駒ヶ岳が視界に入る。
水面に映る太陽の光は、昔の金曜ロードショーのオープニングを彷彿とさせるものであった。トランペットのBGMが流れ、水野晴郎が出てくるあの時代の金曜ロードショーである。日没の夕焼けまで見ていたい気持ちに駆られたが、乗車予定の列車は16:57発。残り40分となっていたため、手早く写真撮影を終え、北緯42度標柱を後にした。
流山温泉駅へはこの踏切を越え、その先の流山牧場の入り口からアクセスする。
その名も流山温泉踏切。フォントが筆書き太字体となっている。
踏切を渡ると、その先にはだだっ広い牧草地が広がっていた。緑とスカイブルーのコントラストが織りなす風景は、ウインドウズXPの背景画に負けず劣らずの美しさ。
ここが大沼流山牧場の入り口であり、流山温泉駅の入り口でもある。流山温泉駅の表示は全くなく、しかも鎖で閉鎖されているので入って良いものか迷う。
注意書きを見ると、クマと不審者情報に関連して鎖で閉鎖しているとのこと。流山温泉駅は鎖の先と書かれているので、ここを入れば良さそうだ。赤文字で「入場の際も鎖はかける」とあるので、車で来る人は鎖を外して入り、入ったら鎖をかけるということが必要のようだ。
牧場の敷地内へ入ると駒ヶ岳がよく見え、これまた素晴らしい景色を見ることができた。
牧場の中に入り、始めて流山温泉駅という標示を見ることができた。列車に間に合いそうで一安心である。
牧場の右手には沼沢と草原がある。元々はここがパークゴルフ場であったようだが、人口的に作ったとは思えない景観で、徐々に自然に戻ろうとしている途上なのか、開けた土地に人の手が加わっていないような景色であった。流山温泉駅でこんな素晴らしい景色を見られるとは思わなかった。
元パークゴルフ場と逆側には厩舎があり、馬が放牧されていた。
こちらが恐らくは流山温泉の入浴施設とレストランと思われる。現在温泉は営業していないのだが、レストランは団体利用の場合のみ営業をするようだ。
温泉施設の前を通り、さらに駅へと進んでいく。
駅前広場に到達するところで2本のロープが張られていた。近代的なホームの前にはひと気の無い駅前広場。その雰囲気は駅齢の浅い秘境駅といった感じ。
ロープの理由は動物等の侵入防止とのこと。紐で通行止めにしているのは動物であって、利用者は紐を外すかくぐって良い。
流山温泉駅は2002年開業とあってか、スロープが備えてある立派な構造である。
新幹線の鼻と車輪がポツンと展示してあった。過去には200系新幹線車両が3両も置かれていたらしい。
新幹線の鼻と車輪がポツンと展示してあった。過去には200系新幹線車両が3両も置かれていたらしい。
新幹線の鼻に触れる機会は初めてである。指でノックすると金属ともプラスチックとも異なるようなコツコツという音がした。
ホームへ上がって駅前広場を眺めて見る。湖越しに見える山地が綺麗である。
駅のホームは近代的な一面一線。新しい駅とは思えないほど、周囲の人工物が見えない。今まで何度かこの駅を列車内から眺めたが、そこまで惹かれるものは無かった。しかし実際に駅の周辺を歩き回ると、唯一無二の景観がそこにはあった。もしもムスカ大差が流山温泉駅を知っていたならば、何も知らずに来た初訪問の私を笑っていたことだろう。そして「見せてあげよう、流山温泉駅の景観を!」と言われたに違いない。
駅名板の書体は流山温泉の踏切と一緒の筆文字。
駅と大沼は近いのだが、実際のところ木々が視界を遮って大沼はほとんど見えない。
駅構内の枕木はコンクリートが一部欠けてしまっていた。この路線は貨物列車が多数走る重交通路線。線路のメンテは大変だろうと思う。
最後に駅の階段から広場を眺めて、写真納めとした。列車の時間が近づいてくると、石谷駅からご一緒したお二方もこの駅へ来て再び合流する形となった。
16:57分発の上り函館行きキハ40単行列車は定刻通りにやってきた。乗車したのは私を含む、旅行者3名。下車客はいなかった。景観の良さや秘境感など、想像以上に素晴らしかった流山温泉駅。事前にあまり期待していなかっただけに余計に良く感じたのかもしれない。訪問出来て本当に良かった。
次はお隣の池田園駅で下車する。