2019年6月16日日曜日

和田岬線 103系乗車記

兵庫県神戸市の兵庫駅から分岐して、2.7km先の和田岬駅へと至る支線は、山陽本線でありながら「和田岬線」という通称のほうが定着している。


実際に兵庫駅の専用改札口には「和田岬線のりば」と示してあり、JR西日本は半ば公式的に通称を用いている。たった一駅区間の通勤需要に特化した路線とあって、独特なダイヤと改札形態をとっている。


神戸市営地下鉄を利用して朝の和田岬駅へとやってきた。終着駅らしく車止めがある。


兵庫駅からの列車がやってきた。貴重になってきた103系である。2019年現在、スカイブルーの103系は和田岬線のみで運転されている。103系はここが最後の活躍場所になるかもしれない。

特異な路線のためか、これまでの車両運用も貴重かつ独特で、旧型客車の定期運用が最後まで残っていたのは和田岬線である。その後、キハ35が運用に入り、2両1組の編成が4本使われていた。このキハ35の編成は、2両の内兵庫側の1両をトレーラー化した「1T+1D」という構成で、ディーゼル列車としては極めて非力な編成であった。2両の車軸8軸のうち、たった1軸のみが動軸として180馬力のエンジン動力を伝えていた。


列車が到着し、通勤客がどっと降りてくる。通勤路線らしい風景だ。写真右側は空きスペースとなっているが、これは客車列車時代に機回し線があった名残である。時代は移り、機関車に余裕が出てきたのか、機関車の付け替えは取りやめになり、前後に機関車をつけたプッシュプル形態となった。

ほとんどの下車客は前方の出口へ向かう。下車客が去ると、全く以て雰囲気が変わる。兵庫行きへの乗客はほとんどおらず、ガラガラの103系がドアを開けているだけの状態となった。

和田岬駅に駅舎は無く、簡素な上屋があるだけ。

和田岬駅の時刻表は極めて特徴的だ。潔いほど朝晩の通勤輸送に特化していて、日中の列車は一本もない。

多数の通勤客を降ろした103系はほっとしたかのように、和田岬駅に佇む。

103系には扇風機が残っている。扇風機自体や取付け形態を見ると車両の歴史を感じさせてくれる。

スピーカーも国鉄車両ならではの様式。同様のものは、115系300番台や、台湾の日本製客車で見られた。昭和40年代~50年代製造の車両に備えられている。網棚の支えが白く塗られているのも特徴である。

乗車したのはモハ103-389。1970年生まれで2019年現在、実働49年にもなる。これからも活躍を続けて欲しいものである。

大きく右に曲がると、まもなく兵庫駅へと到着する。距離にして2.7km。歩くには遠い距離であり、バスでは旺盛な通勤需要を満たしきれないだろう。こういったことから和田岬線の存在は大きく、営業黒字なのだそうだ。

兵庫駅へと到着した103系R1編成。和田岬線専用ホームに発着する。ここには機回し線が残っている。これは和田岬線の途中にある川崎重工兵庫工場から発送される新造車両を牽引回送するために残っているようだ。

列車は折り返しの和田岬行きとして発車を待つ。朝も遅い時間となると通勤客はまばらとなる。

和田岬から乗車する場合、きっぷは兵庫駅で買うことになる。一駅路線だからこそのシステムである。

JRの在来線通しの乗換にもかかわらず和田岬線乗り場には自動改札機がついている。

たった一駅とはいえ、特異性満載の和田岬線。いつでも行けそうで中々行けない路線なので、神戸近辺に行くときには乗車しておきたい路線である。

javascript:void(0)