宗谷本線歌内駅は、天塩中川と問寒別の間に位置する棒線駅である。車掌車改造の待合室に砂利ホームと北海道のローカル駅らしい構成となっている。
※2022年3月12日を以て廃止されました。
問寒別から上り列車に乗車し、
デッキからの前面展望を楽しみつつ歌内駅へやってきた。
車掌車待合室が雪の中に佇んでいる。
なだらかな山地と天塩川に挟まれた平地に駅はある。
歌内駅に到着し、世話になったキハ54を見送る。
鹿笛と思しき屋根上の付属物が特徴的である。
数名の乗客とともに天塩中川へ向かっていく。
雪の中を走るキハ54 500はとても絵になる。
駅名板にある隣の「てしおなかがわ」は
ステッカーで貼り付けられている。
2001年に廃止された下中川駅の名前がその下にあるはずだ。
歌内駅の待合室は、塗装の劣化が進んでいる。
このまま2017年3月を迎えてしまうのだろうか。
待合室の中は至ってシンプル。
板のベンチには、駅ノートが置いてあった。
私も先人達に倣い、ここへ来た記録を一筆残した。
駅前には数件の民家が建ち並ぶ。
雪かきがされている家屋があり、
散歩をしている人もおられた。
人の体温を感じられる駅前である。
近くにはコカコーラの自販機が一台あるのだが、
「今季終了 」と掲示してある。
夏期のみの稼働なのだろうか。
小さな郵便ポストには1日1回の回収がある。
道路の先に車掌車駅舎が構える。
その存在感は鉄道駅ならではで、
バス停には表せないものだと思う。
歌内駅を背にして300mほど歩くと天塩川が見えてきた。
この道を真っ直ぐ進むと国道に出るようだ。
歌内地区へは地域のコミュニティバスが運行されている。
筬島駅?
列車を待つ間に特急サロベツがやってきた。
今や3両のモノクラスキハ183が
支えるのみとなった特急サロベツだが、
以前はお座敷車両が連結されることもあった。
定刻から20分遅れて最終の稚内行きがやってきた。
列車の時刻間際になりホームで待てども、
この列車は来ず、待合室に掲示された番号へ電話をかけた。
この日は雪崩の発生を憂慮され、
速度を抑えた運行をしていたため、
ダイヤが乱れたとこのと。
日が暮れて寒さが身に凍みるなか、
最終列車が運転中止になったら
どうしようかと不安になっていた。
このとき見えたキハ54の前照灯の灯りは
実に頼もしく感じられた。
降りる客はなく、私一人を乗せて発車した。