[読み] みずほ
[路線] JR北海道 宗谷本線
[隣駅] 風連(3.6km)←瑞穂→(2.8km)多寄
[位置] 北海道士別市多寄町
44.266156N, 142.396259E
宗谷本線の瑞穂駅は、利用者数の少なさから2027年3月をもって廃止する方針がJR北海道から士別市に示され、士別市もこれを受け入れる方向となった。廃止の公算が高まる中、「現役の駅」であるうちにぜひ訪れておきたいと思い、瑞穂駅へと向かった。
瑞穂駅は南北に長い名寄盆地の中心付近に位置している。通過列車の多い駅であるが、隣の風連駅、多寄駅との距離は比較的近く、これら駅から徒歩でアクセスすることも可能だ。バスの場合は、道北バスの31線バス停が駅に近い。
音威子府から乗車した「サロベツ4号」は、そこそこ混み合っていた。私が乗車した3号車を見渡してみると、2名掛けのシートが2席とも空いている場所は、ざっと数えても4か所ほど。音威子府から約45分、列車は名寄駅に到着。宗谷本線を代表する主要駅だけあって、多くの乗客がホームで待っていた。
名寄駅の大型木造駅舎は、何度見ても風格があって実に素晴らしい。名寄駅で下車するたびに、駅前からその姿を眺めているのだが、今回もやはり「いいなあ」と思う。さて、今回ここで下車したのはここから路線バスに乗り換えるため。目的地の瑞穂駅は普通列車でも通過する列車が多く、列車だけで乗降するには少々困難さのある駅である。そこで今回は、往路を路線バスでアクセスし、瑞穂駅から上りの旭川行き列車に乗車するというスケジュールとした。
16:10発の道北バス旭川行は名寄駅を出ると左手にキマロキ編成が見える。キマロキ編成は、SL時代の排雪列車である。このキマロキ編成のいるところはかつての名寄本線のルート上である。
名寄駅から乗車すること27分、バス停「31線」に到着した。下車したのは、私の他にもう一人の鉄人。やはり瑞穂駅を目指すのであろう。後ほどお話をしたのだが、大変良い方であった。
31線バス停から歩いて5分ほどのところに、瑞穂駅がある。ちょうど上り旭川行きの普通列車がやって来た。この列車は瑞穂駅には停車せず、そのまま通過していく。瑞穂駅を勢いよく通過していく列車の姿がこちら。
到着した瑞穂駅。板張りホームにこじんまりとした待合室。実に良い雰囲気である。乗車予定の列車は17:39発なので1時間ほどの時間がある。夕暮れ時の瑞穂駅をしっかりと堪能できそうだ。
瑞穂駅の待合室とホーム。ホームは段々と貴重になってきた板張り形式。元々利用者数がそれほど多くないことを想定していたのだろうか、ホームは非常に短く、1両分にも満たないほどの長さ。小さな待合室と短い板張りホームだけが佇む姿は、いかにも北海道のローカル駅といった趣である。
待合室の前には、植えられた花々がピンク、赤、黄色と色鮮やかに咲き誇り、駅に彩りを添えている。雑草もなく綺麗に咲かせるには結構な手入れが必要で、こうした花々を眺めていると、地元の方々に大切にされている駅であることが伝わってくる。
待合室に取り付けられていた、こちらのサビサビの鉄板。駅の建物財産標かと思いきや、よく見るとそうではない。 よく見ると、
「承認** 昭和53年**23日」
「承認** **第417号」
と記載がある。昭和53年というと仮乗降場時代であるから、この待合室は地元の有志によって建てられ、当時の国鉄が待合室として承認した、ということなのだろう。
待合室の内装はベージュ系の色合いで統一され、落ち着いた雰囲気が漂っている。照明には、今では少しずつ姿を消しつつある直管蛍光灯が使われている。大幅に手を加えられることもなく、昔ながらの姿を保ったまま今日まで維持されてきたのではなかろうか。
木の板が敷かれた簡素なベンチ。床はコンパネが使われている。コンパネはコンクリートの型枠に使われる木材で、耐久性があり、実用的な良い使い方だと思う。
瑞穂駅の駅番号はW45。旭川~名寄の駅は廃止が進んでおり、W33南比布、W35北比布、W39東六線、W41北剣淵が廃止されて、欠番となってしまった。他方、明るい話題もあり、風連駅と名寄駅の間にあった東風連駅が移設され、名寄高校駅として生まれ変わった。これで宗谷本線の高校生の利用が増えたようだ。高校生利用者の多さはローカル線の存廃を左右するので、宗谷本線にとって明るい材料である。
瑞穂駅の発車時刻表を見ると旭川方面、名寄方面ともに朝夕の使いやすい時間帯に列車が設定されている。一方で日中の時間帯の本数が少なく、通勤・通学に特化したダイヤとなっている。
駅ノートは壁フックに掛ける形で備えてあった。このとき瑞穂駅には、バスでやって来た私と、もう一人の「鉄人」、そして15時14分発の下り名寄行き列車で訪れた「鉄人」の計3人が集まっていた。お二人とも大変気さくで良い方で、互いに配慮しながら良いひと時を過ごすことができた。15時14分の列車でやって来た方は、なんと私が今朝書き込んだ兜沼駅の駅ノートを設置された方とのこと。駅巡り好きは、駅で出会う。思いがけない遭遇であった。
板張りホーム上から旭川方を眺める。真直ぐに敷かれた線路がはるか先へと続く。上り列車は瑞穂駅から士別駅の手前まで、直線で南下するのでスピードを出せる区間に入る。
板張りホームを歩く間隔は何とも心地よい。血圧が10くらい下がるのではないかと思うほど落ち着く。湿原の木道を歩く時も似たような独特の癒しがあるのだが、木で出来た床や道というのは、人間を自然と落ち着かせる何かがあるのだろう。
15:14着の「鉄人」に教えてもらい、駅の東側にある道路まで行ってみる。ここからの瑞穂駅遠景もなるほど素晴らしい。豊かな穀倉地帯である名寄盆地らしさを感じさせてくれる。
1時間の滞在はあっという間に過ぎ、乗車予定の17:39発の旭川行普通列車がやってきた。これが最初で最後の瑞穂駅訪問となりそうだ。この駅に来られて良かった。
17:39発の旭川行に乗車したのは、我々鉄人3名。降車客はなかった。車内は比較的混んでおり、ボックスシートの通路側に座って旭川駅へと向かった。
H100形の車内から天塩山地に沈みゆく夕日を眺める。兜沼、音威子府、瑞穂と3駅を訪問したこの日は幸いにも雨に降られることなく、天気に恵まれた。充実した駅巡りの一日であった。
終着の旭川駅へ到着し、今回の宗谷本線の旅も無事終了。キハ40が引退し、またキハ150も旭川から転出したので、駅に並ぶ面々も随分変わった。
本日の〆は、旭川駅から徒歩15分の「ランデブーダイナー」。オーダーしたのは「特製スパイスカツカレー」。カツは肉が丁寧に叩かれているのか、ほどよくほぐれた食感で、柔らかい。そして、カレーはスパイスの風味と深いコクがあり、カツとの相性も抜群。良く歩いた一日を締めくくるにふさわしい、満足度の高い一皿であった。