[読み] おといねっぷ
[路線] JR北海道 宗谷本線
[隣駅] 筬島(6.3km)←音威子府→(4.6km)咲来
[位置] 北海道中川郡音威子府村音威子府
44.729425N, 142.259871E
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数ある駅そばの中でも、とりわけ有名だったのが、音威子府駅の駅そばである。そば殻をあえて練り込んだ黒い麺は、他では味わえない独特の風味と色合いで、多くの鉄道ファンやそば好きに親しまれてきた。しかし、かつての店主が亡くなり、さらに麺を製造していた畠山製麺も、ご主人の高齢化と創業100周年を一つの節目として廃業。これにより、麺を作る側と、駅で麺を茹でる側の双方がいなくなってしまった。こうして、名物「音威子府駅そば」は永遠に途絶えてしまったかと思われた。
ところが、2025年夏――。駅前でゲストハウスを営む竹本さんが、そんな音威子府駅の駅そばを復活させた。復活後の人気はすさまじく、わずか1年で2万杯を達成。しかも営業は週3~4日、11時から14時までという限られた時間帯である。それだけ多くの人が、この「黒いそば」の復活を待ち望み、そして実際に美味しいということだろう。
復活した駅そばを味わうため、音威子府駅訪問を必須項目として旅程に組み込んだ。
駅は村の名前を関する通り、音威子府村の中心に位置する。
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車内はご覧のとおり、旅行者で大賑わい。列車は多くの乗客を乗せ、音威子府へ向かって進んでいく。糠南の次の問寒別では、保育園児4名と引率の先生3名が下車した。10時03分の下り列車に乗り、幌延方面へ行ってきたのだろうか。宗谷本線では、どうしても旅行者の利用が目立つが、地元の方々にもこの昼前の列車が日常の足として利用されている。 その光景を見られたことが、何だか嬉しかった。
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音威子府駅へと到着。列車は13時16分の発車まで、およそ10分ほど停車する。すると、待ってましたとばかりに多くの乗客がホームへと降りてくる。皆さんのお目当ては、駅そばのようだ。昼時に音威子府駅を発着する列車は、この普通列車「名寄行き」か、少し早い時間に到着する特急「宗谷」稚内行きの2本。列車で駅そばを目当てに訪れるなら、これらの列車を利用するのが便利だろう。
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お目当ての「駅そば」は、しっかりと営業していた。厨房では、竹本さんたちが忙しそうに蕎麦を茹でている。音威子府駅で、こんな活気のある光景をもう一度見たかったのだ。尤も、Instagramで営業日であることは事前に確認していた。それでも、どこか落ち着かない。というのも、旧店舗の営業時代には、営業しているはずの日を狙って訪れても、何度か休業に当たったことがあるからだ。
【メニュー】
・天ぷらレジェンド
・ねっぷそば
・かけそば
・お土産蕎麦
ここはやはり、かつての音威子府そばを彷彿とさせる「天ぷらレジェンド」を注文することにした。
容器はプラスチック製なので、車内へ持ち込んで食べることもできる。普通列車「名寄行き」が到着すると、乗客たちが次々と駅そばを注文していく。どうやら車内で食べる人が多いようで、この列車の到着後は、そちらの注文が優先されるようだ。店主の方からは、こちらが恐縮してしまうほど「すみません、ちょっと待ってくださいね」と何度も声をかけていただいた。しかし、私は15時29分発の上り「サロベツ4号」に乗る予定なので、まったく急ぐ必要はない。むしろ、こうして忙しそうに駅そばを作っている様子を眺めているのも楽しい時間である。駅そばはファストフードなのだ。この姿こそが駅そばである。やがて名寄行きの普通列車が発車時刻を迎えると、駅そばを手にした人たちが次々と列車へ戻っていく。さながら、駅そば列車とでも呼びたくなるような光景になったことだろう。なお、事前に連絡しておくことでスムーズに受け取ることも出来るようだ。
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蕎麦の上にどんと乗っているのは、巨大な麩(ふ)。「しっかりと汁につけて、十分に染み込ませてから食べてくださいね」とのことなので、言われたとおり、つゆをたっぷり吸わせてからいただく。これがまた、素晴らしく美味しい。昆布だしの効いたつゆをたっぷり吸い込んだ麩は、噛むと汁の旨味が口の中に広がる。
もちろん、蕎麦や卵、ネギとの相性も抜群。先ほどの「天ぷらレジェンド」とはまた違った美味しさを楽しむことができた。
兜沼でたくさん歩いたせいか、このときはかなり空腹だった。おかげで、駅そばを二杯も存分に堪能することができた。

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音威子府駅は、近代的な大きな木造駅舎。清潔感があり過ごしやすい。
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注文したのは、「バニラ」と「ストラッチャテッラ」のダブル。これが実に美味しい。特におすすめしたいのがバニラ。スッキリとした味わいながら、しっかりとした深みもある。これまで食べたジェラートの中でも、ダントツに美味しいと感じた。音威子府駅を訪れたなら、ぜひこちらのジェラートも味わっていただきたい。お店は駅から徒歩5分ほど。駅そばを楽しんだ後のデザートにもぴったりである。
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音威子府は、普通列車の始発、終着駅にもなっており、また全ての特急列車が止まるので、比較的本数が多い。
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跨線橋から駅構内を眺めると、改めてその広大さがよく分かる。広々とした構内には、かつて天北線が分岐していた主要駅としての面影が今も残っている。通常、駅舎に近い1番線は特急列車の発着に使われることが多いのだが、音威子府駅では1番線の有効長が短いため、特急列車は2番線または3番線に発着する。そのおかげで、普通列車の乗客にとっては駅そばへのアクセスがしやすい。列車が停車している間にホームから駅そば店へ向かい、蕎麦を買って再び列車へ戻ることもできる。音威子府駅ならではの、ありがたい構造である。
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こちらは旭川方の構内。分岐が多く多くの車両を留置できるようになっている。奥に見えるのはスキー場。音威子府村はスキーも盛んで、アルペンスキーの「音威富士大回転競技大会」と、クロスカントリースキーの「クロスカントリー音威子府大会」が毎年開かれている。
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