2024年10月6日日曜日

勇知駅

[読み] ゆうち
[路線] JR北海道 宗谷本線
[隣駅]   兜沼(5.4km)←勇知→(8.3km)抜海
kmは営業キロ
[位置] 北海道稚内市抜海村字上勇知
    45.259243, 141.685274

宗谷本線勇知駅は2024年で開業100周年となる歴史ある駅である。北海道稚内市にあり、最北の車掌車改造待合室のある駅である。待合室の外壁は化粧され、今後の末永い使用をを期待させてくれる。

勇知駅は稚内市南部に位置し、小高い丘に囲まれた土地にある。

南稚内5:25発の一番列車に乗って勇知駅を目指す。宗谷本線でお馴染みのキハ54が2番ホームへとやってきた。

南稚内からは私を含め2名が乗車した。休日ということもあってか、車内は鉄分を含んだ旅行者4名のみで南稚内駅を出発した。

南稚内からの乗車整理券を写真に残す。この写真は、勇知駅100周年カードをもらうために必要なのだ。整理券は下車時に回収されてしまうため、記念という目的もある。

南稚内~抜海は宗谷本線のハイライトとも呼べる区間で、運が良ければ利尻山の美しい姿を眺められる。この日は晴天で、その見事な山容を捉えることが出来た。列車は速度を落として車窓を堪能できるようサービスをしてくれたようだ。

朝霧の漂う北の大地をキハ54が駆けていく。途中の抜海駅構内が近づいていることを知らせる信号が見えてきた。実に清々しい車窓が続いてく。

抜海駅のY字分岐を左に入り2番線に入っていく。この2番線は2024年9月24日から使用停止となってしまった。この日は9月23日で最後の2番線営業日であった。抜海駅からは5名ほどが乗車した。

抜海駅を出て、列車は勇知駅へと南下していく。運賃表示器を確認し、南稚内からの運賃440円を準備して下車に備える。

勇知駅を示す標識が現れた。湾曲した線路の先に勇知駅がある。元はY字ポイントのある交換駅であったようだ。

下車したのは私一人。キハ54は2脚のエンジンを唸らせてグングン加速していく。宗谷本線ではお馴染みの光景である。

ホームから稚内方を眺める。架線が無く、緑の中に延びていく線路はローカル線の良き景色かな。

勇知駅の駅名板は新品かのように大変綺麗であった。隣駅として記載されている抜海駅は、惜しくも2025年春を以て廃止の見込みで、いずれは「ばっかい」のところにシールが貼られてしまうだろう。

勇知駅の待合室内は非常に綺麗で、クモの巣や虫の類いを一切みない。今まで訪問した車掌車待合室で最も快適な駅であった。地元の方々が丹念に清掃してくれているのだろう。100周年を祝う飾り付けがされており、駅が大事に使われていることがわかる。向かって右側のドアはトイレで、外に出ずとも利用できる冬でも利用しやすい構造となっている。

こちらは待合室入口側。過去の勇知駅の写真などが所狭しと飾ってある。

入り口近くには、駅ノートがある。書き込みはお隣の抜海駅に比べて少ないものの、訪問者の思いが率直に伝わってくる書き込みが多々見られた。

勇知駅にやってくる列車は下り3本、上り4本。少ない本数とは言え、通学には使いやすい時間に設定されている。

勇知駅からの料金表。宗谷本線の駅廃止は近年急速に進んでおり、駅番号の欠番が増えてしまった。抜海南幌延雄信内もまた消えようとしている。

1924年に開通という非常に歴史のある勇知駅。

待合室の前には色とりどりの花が絢爛に咲き誇っていた。ここまで綺麗に咲かせるのは丁寧な手入れあってこそ。地元の方の尽力の賜物である。

6時前の朝日を受ける勇知駅。この駅での滞在は大変心地よく、快適であった。

駅からメインストリートへ出ると、ガソリンスタンドや郵便局などがあり、集落として比較的大きいことがわかる。勇知にはスキー場もあり、何と無料でリフトに乗ることが出来るようだ。20分ほどの滞在を終え、次の目的の抜海駅へは徒歩で向かう。7.9kmの道のりを1時間強で進む予定だが、果たして成せるのか。小走りで道路を進み始めた。

 
普通運賃で乗車し、勇知駅訪問のエビデンスとなる写真を送ると稚内市から開業100周年のカードをもらうことができた。中々良いデザインでとても良い記念になった。


2024年4月13日土曜日

細岡駅

[読み] ほそおか
[路線] JR北海道 釧網本線
[隣駅]   塘路(7.2km)←細岡→(2.4km)釧路湿原
kmは営業キロ
[位置] 北海道釧路郡釧路町字達古武23-2
    43.104863, 144.469614

釧網本線「細岡駅」はH29~R3の5年平均の乗車人員が0.2人と極めて利用が少ない。尤もこの平均値は特定日調査を基にしていて、10月か11月の閑散期の平日を対象としているので、観光利用が最も少ない時期に絞った調査結果である。北海道の駅が次々と廃止される中で細岡駅が生き残っているのは、観光シーズンに定期外利用が一定数あるものと推察される。しかし、冬の利用は少ないのか、2023年3月ダイヤ改正を以て冬期間の営業を停止し、4/25~11/30のみに列車が発着する臨時駅となってしまった。冬の細岡駅を見ておこうとダイヤ改正前に訪問することにした。

細岡駅は釧路湿原駅と塘路駅の間にあり、釧路湿原の車窓を楽しめる区間である。かつてはこの駅が細岡大観望への最寄り駅であったが、いまはその役目を釧路湿原駅へと譲り、ひっそりと営業する存在となっている。

標茶から乗車した釧路行き一番列車は塘路駅で一人の旅行客を追加し、合計3人の乗客とともに細岡駅へと向かっていた。この日は日曜日ということもあり、車内は閑散としていた。

左手に日の出を見ながら、キハ54は南下していく。突き刺すような寒さのなか、ホッとさせるような陽の光であった。

大きく右のカーブをとると,細岡の標識が見えてきた。間もなく目的の細岡駅に到着する。

構内手前で湾曲した線路の先に細岡駅が見えてきた。かつては相対式ホームがあったのこと。左手の土手になっているところがホームだったのだろう。

塘路から乗車した鉄人1名と我々2名を降ろし、乗客ゼロで発車。エキゾースト中の水蒸気が寒さで霧状となる。屋根から湧き上がる2本の白い霧は2台エンジン搭載のキハ54を示すものである。北海道の冬らしい光景であった。去りゆく列車のカタコトと鳴る車輪音と長い汽笛が静寂の細岡駅に響いた。

待合室は真新しいログハウス形式。

待合室には壁沿いのベンチがあるのみで、至ってシンプルである。10人ほどが座れる。細岡駅の利用者は非常に少ないのでこれで十分なのだろう。

細岡駅の駅ノート。海外の旅行者もやってくるのだろう。北海道の駅ノートを見ると台湾の方の書き込みを見かけることもある。

細岡駅の時刻表。朝の7:01発網走行きは釣り人が利用することがあるようだ。

細岡駅は2023年3月のダイヤ改正からGW~11月末までの営業となってしまった。利用者の季節変動が大きいのだろうか。ともあれ、利用者僅少のなか廃止されなかったのは嬉しい限りだ。

季節営業の告知。駅舎は施錠される。

さて、駅前に出ると建物らしいものはこの1件のみ。人の居る気配はしなかった。

駅前は多少開けているとはいえ、人の気配が全くしない。静寂さは抜群の駅である。

乗車予定の網走行きまで45分ほどの滞在時間があったので、細岡駅から釧路湿原駅方面へ向かって歩いてみることにした。

道路は釧路川に沿っていて、少し開けたところで丹頂鶴が2羽姿を現してくれた。大きくて優雅なその姿は日本を代表する鶴に相応しい風格。特別天然記念物との遭遇をく予想していなかっただけに、嬉しさ格別であった。

途中民家へと続く第4種踏切があり、そこから中々良い曲線を眺めることができた。SLが走る日には沢山の撮影者が来るのかもしれない。

寒さのせいか、地面の小さな植物に沢山の霧氷が出来ていた。自然の芸術とはまさにこのことで美しい造形である。

タンチョウや途中の風景を撮影していると瞬く間に時間が過ぎ、細岡駅へは走って戻ることになった。駅へ到着したのは7:01の網走行き入線間際であった。詰め込んだ45分間となったものの、冬の細岡駅は良い訪問となった。時間のある人はこの駅で下車して細岡大観望まで歩き、そして釧路湿原駅から乗車しては如何だろうか?釧路川と湿原を見ながらのウォーキングを楽しめて、運が良ければタンチョウに出会えるかもしれない。

やってきたのは何と2両編成のキハ54。この列車は網走から折り返しの「快速しれとこ摩周号」となり、流氷シーズンは特に混雑する列車である。釧網本線は単行列車が多く、旅行者が集まる時期はどの列車も混雑している印象があるので、この措置は非常に有難い。つぎの目的地である美留和までゆったりとした旅行が出来そうだ。


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