2024年4月13日土曜日

細岡駅

[読み] ほそおか
[路線] JR北海道 釧網本線
[隣駅]   塘路(7.2km)←細岡→(2.4km)釧路湿原
kmは営業キロ
[位置] 北海道釧路郡釧路町字達古武23-2
    43.104863, 144.469614

釧網本線「細岡駅」はH29~R3の5年平均の乗車人員が0.2人と極めて利用が少ない。尤もこの平均値は特定日調査を基にしていて、10月か11月の閑散期の平日を対象としているので、観光利用が最も少ない時期に絞った調査結果である。北海道の駅が次々と廃止される中で細岡駅が生き残っているのは、観光シーズンに定期外利用が一定数あるものと推察される。しかし、冬の利用は少ないのか、2023年3月ダイヤ改正を以て冬期間の営業を停止し、4/25~11/30のみに列車が発着する臨時駅となってしまった。冬の細岡駅を見ておこうとダイヤ改正前に訪問することにした。

細岡駅は釧路湿原駅と塘路駅の間にあり、釧路湿原の車窓を楽しめる区間である。かつてはこの駅が細岡大観望への最寄り駅であったが、いまはその役目を釧路湿原駅へと譲り、ひっそりと営業する存在となっている。

標茶から乗車した釧路行き一番列車は塘路駅で一人の旅行客を追加し、合計3人の乗客とともに細岡駅へと向かっていた。この日は日曜日ということもあり、車内は閑散としていた。

左手に日の出を見ながら、キハ54は南下していく。突き刺すような寒さのなか、ホッとさせるような陽の光であった。

大きく右のカーブをとると,細岡の標識が見えてきた。間もなく目的の細岡駅に到着する。

構内手前で湾曲した線路の先に細岡駅が見えてきた。かつては相対式ホームがあったのこと。左手の土手になっているところがホームだったのだろう。

塘路から乗車した鉄人1名と我々2名を降ろし、乗客ゼロで発車。エキゾースト中の水蒸気が寒さで霧状となる。屋根から湧き上がる2本の白い霧は2台エンジン搭載のキハ54を示すものである。北海道の冬らしい光景であった。去りゆく列車のカタコトと鳴る車輪音と長い汽笛が静寂の細岡駅に響いた。

待合室は真新しいログハウス形式。

待合室には壁沿いのベンチがあるのみで、至ってシンプルである。10人ほどが座れる。細岡駅の利用者は非常に少ないのでこれで十分なのだろう。

細岡駅の駅ノート。海外の旅行者もやってくるのだろう。北海道の駅ノートを見ると台湾の方の書き込みを見かけることもある。

細岡駅の時刻表。朝の7:01発網走行きは釣り人が利用することがあるようだ。

細岡駅は2023年3月のダイヤ改正からGW~11月末までの営業となってしまった。利用者の季節変動が大きいのだろうか。ともあれ、利用者僅少のなか廃止されなかったのは嬉しい限りだ。

季節営業の告知。駅舎は施錠される。

さて、駅前に出ると建物らしいものはこの1件のみ。人の居る気配はしなかった。

駅前は多少開けているとはいえ、人の気配が全くしない。静寂さは抜群の駅である。

乗車予定の網走行きまで45分ほどの滞在時間があったので、細岡駅から釧路湿原駅方面へ向かって歩いてみることにした。

道路は釧路川に沿っていて、少し開けたところで丹頂鶴が2羽姿を現してくれた。大きくて優雅なその姿は日本を代表する鶴に相応しい風格。特別天然記念物との遭遇をく予想していなかっただけに、嬉しさ格別であった。

途中民家へと続く第4種踏切があり、そこから中々良い曲線を眺めることができた。SLが走る日には沢山の撮影者が来るのかもしれない。

寒さのせいか、地面の小さな植物に沢山の霧氷が出来ていた。自然の芸術とはまさにこのことで美しい造形である。

タンチョウや途中の風景を撮影していると瞬く間に時間が過ぎ、細岡駅へは走って戻ることになった。駅へ到着したのは7:01の網走行き入線間際であった。詰め込んだ45分間となったものの、冬の細岡駅は良い訪問となった。時間のある人はこの駅で下車して細岡大観望まで歩き、そして釧路湿原駅から乗車しては如何だろうか?釧路川と湿原を見ながらのウォーキングを楽しめて、運が良ければタンチョウに出会えるかもしれない。

やってきたのは何と2両編成のキハ54。この列車は網走から折り返しの「快速しれとこ摩周号」となり、流氷シーズンは特に混雑する列車である。釧網本線は単行列車が多く、旅行者が集まる時期はどの列車も混雑している印象があるので、この措置は非常に有難い。つぎの目的地である美留和までゆったりとした旅行が出来そうだ。


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