2021年11月28日日曜日

流山温泉駅

[読み] ながれやまおんせん
[路線] JR北海道 函館本線(砂原線)
[隣駅]   大沼(3.4km)←池田園(2.2km)←流山温泉(1.2km)銚子口
kmは営業キロ
[位置] 北海道亀田郡七飯町字東大沼

※2022年3月12日を以て廃止されました。

函館本線の流山温泉駅は開業が2002年と新しい。JR北海道が主体で日帰り温泉施設を初めとした総合施設を開設し、関連してこの駅も開業した。一時はSL函館大沼号が停車するほど観光駅として機能していたが、2015年に温泉施設、パークゴルフ場、スポーツ広場、キャンプ場、簡易宿泊施設は営業終了となり、駅も開業からおよそ20年で廃止協議となってしまった。駅自体は近代的なプラットホームが1面あるだけで極めてシンプル。一方で、その周囲の景観はシビれるほど良く、大沼周辺随一の景観良好駅である。

流山温泉駅は大沼駅から営業キロで5.6km鹿部側へ位置している。駅のすぐ西側には道道338号線が走っているが、道道から駅へは入れず、大沼流山牧場側からでないと入れない。歩鉄で隣駅から来る方は注意されたい。

銚子口駅から早歩きで15分ほど南下すると、T字路の交差点に到達した。ここを左折すると流山温泉駅へのアクセスとなる。

道路脇の看板には流山温泉駅の記載がないが、駅に行くには看板同様にここを左折する。事前にGoogle mapで下調べしてきたので、駅へのルートは理解しているつもりである。しかし、ストリートビューは公道のみしか見られず、駅へのアクセスの最後部分は航空写真でしか確認出来ていない。こんな状況のもと、列車の発車時間まであまり余裕は無く、早めに行く必要があった。それでも旅行者の性で大沼湖畔へ出るべく寄り道をする。少し先の駐車場のところを入ればすぐ先には大沼湖畔がある。

木々を抜けるとその先に穏やかな水面を湛えた大沼があった。

この場所は北緯42度00分が通っていて、それを示す標柱が立てられている。

湖畔に出ると、晴天も相まって素晴らしい景色が待っていた。

右を向けば、駒ヶ岳が視界に入る。

折しもカヤックを楽しむ家族連れがやってきた。大沼の穏やかさとカヤックが相まって非常に良い絵となった。好天に恵まれた日に駒ヶ岳を眺めながらのカヤックとは最高のアクティビティである。大沼観光をする機会を得たら、自分もカヤックをやってみようと思う。

水面に映る太陽の光は、昔の金曜ロードショーのオープニングを彷彿とさせるものであった。トランペットのBGMが流れ、水野晴郎が出てくるあの時代の金曜ロードショーである。日没の夕焼けまで見ていたい気持ちに駆られたが、乗車予定の列車は16:57発。残り40分となっていたため、手早く写真撮影を終え、北緯42度標柱を後にした。

流山温泉駅へはこの踏切を越え、その先の流山牧場の入り口からアクセスする。

その名も流山温泉踏切。フォントが筆書き太字体となっている。

踏切を渡ると、その先にはだだっ広い牧草地が広がっていた。緑とスカイブルーのコントラストが織りなす風景は、ウインドウズXPの背景画に負けず劣らずの美しさ。

ここが大沼流山牧場の入り口であり、流山温泉駅の入り口でもある。流山温泉駅の表示は全くなく、しかも鎖で閉鎖されているので入って良いものか迷う。

注意書きを見ると、クマと不審者情報に関連して鎖で閉鎖しているとのこと。流山温泉駅は鎖の先と書かれているので、ここを入れば良さそうだ。赤文字で「入場の際も鎖はかける」とあるので、車で来る人は鎖を外して入り、入ったら鎖をかけるということが必要のようだ。

牧場の敷地内へ入ると駒ヶ岳がよく見え、これまた素晴らしい景色を見ることができた。

牧場の中に入り、始めて流山温泉駅という標示を見ることができた。列車に間に合いそうで一安心である。

牧場の右手には沼沢と草原がある。元々はここがパークゴルフ場であったようだが、人口的に作ったとは思えない景観で、徐々に自然に戻ろうとしている途上なのか、開けた土地に人の手が加わっていないような景色であった。流山温泉駅でこんな素晴らしい景色を見られるとは思わなかった。

元パークゴルフ場と逆側には厩舎があり、馬が放牧されていた。

こちらが恐らくは流山温泉の入浴施設とレストランと思われる。現在温泉は営業していないのだが、レストランは団体利用の場合のみ営業をするようだ。

温泉施設の前を通り、さらに駅へと進んでいく。

駅へと至る道路。未舗装のアクセス路は今や中々レアである。廃止されてしまった、北豊津駅姫川駅は未舗装であった。

駅前広場に到達するところで2本のロープが張られていた。近代的なホームの前にはひと気の無い駅前広場。その雰囲気は駅齢の浅い秘境駅といった感じ。

ロープの理由は動物等の侵入防止とのこと。紐で通行止めにしているのは動物であって、利用者は紐を外すかくぐって良い。

流山温泉駅は2002年開業とあってか、スロープが備えてある立派な構造である。

新幹線の鼻と車輪がポツンと展示してあった。過去には200系新幹線車両が3両も置かれていたらしい。

新幹線の鼻に触れる機会は初めてである。指でノックすると金属ともプラスチックとも異なるようなコツコツという音がした。

ホームへ上がって駅前広場を眺めて見る。湖越しに見える山地が綺麗である。

駅のホームは近代的な一面一線。新しい駅とは思えないほど、周囲の人工物が見えない。今まで何度かこの駅を列車内から眺めたが、そこまで惹かれるものは無かった。しかし実際に駅の周辺を歩き回ると、唯一無二の景観がそこにはあった。もしもムスカ大差が流山温泉駅を知っていたならば、何も知らずに来た初訪問の私を笑っていたことだろう。そして「見せてあげよう、流山温泉駅の景観を!」と言われたに違いない。

駅名板の書体は流山温泉の踏切と一緒の筆文字。

列車の時刻表と運賃表。朝は8:48発の上り列車のみ。通勤通学に使う人はいないのだろうか。

駅と大沼は近いのだが、実際のところ木々が視界を遮って大沼はほとんど見えない。

駅構内の枕木はコンクリートが一部欠けてしまっていた。この路線は貨物列車が多数走る重交通路線。線路のメンテは大変だろうと思う。

最後に駅の階段から広場を眺めて、写真納めとした。列車の時間が近づいてくると、石谷駅からご一緒したお二方もこの駅へ来て再び合流する形となった。

16:57分発の上り函館行きキハ40単行列車は定刻通りにやってきた。乗車したのは私を含む、旅行者3名。下車客はいなかった。景観の良さや秘境感など、想像以上に素晴らしかった流山温泉駅。事前にあまり期待していなかっただけに余計に良く感じたのかもしれない。訪問出来て本当に良かった。

次はお隣の池田園駅で下車する。


2021年11月23日火曜日

銚子口駅

[路線] JR北海道 函館本線(砂原線)
[隣駅]   流山温泉(1.2km)←銚子口→(7.8km)鹿部
kmは営業キロ
[位置] 北海道亀田郡七飯町字東大沼

※2022年3月12日を以て廃止されました。

道南5駅の訪問の旅、3つ目は銚子口駅である。交換設備があり、小綺麗で落ち着いた外観が特徴の待合室がある。20両編成の貨物列車との行き違いがあるだけに構内はとても広い。

銚子口駅は大沼の北東端付近に位置している。主要道路から離れた閑静な駅である。

本石倉駅から乗車した上り函館行きは内浦湾に沿って南下する。特に石谷駅から森駅にかけては国道が山側、線路が海側となり、海のみが広がる秀逸な車窓を堪能できる。

列車はガラガラで乗客は自分を含めて5名。全員が旅行者と見受けられる。贅沢なキハ40の旅を再開した。

ここで遅めの昼食をとることにした。往路に森駅で買った阿部商店の「いかめし」。久々のいかめしに胸を躍らせながら開封する。

小ぶりの折箱にピッタリと収まった2つのいかめし。それ以外は無し!これほど潔くシンプルな駅弁は見たことがない。しかし、その味わいは実に奥深い。

中に詰められたお米には秘伝のタレがしみこんでおり、最高に美味しい。これを函館本線でキハ40の青ボックスシートに揺られ、車窓を楽しみながら食べる。何と幸せなことだろうか!京王百貨店の駅弁大会でも
この駅弁を買ったこともあり、それも間違いなく美味しかったのだが、ご当地で食べると気分が盛り上がることもあって一層美味しく感じられる。小さい頃イカの香りが苦手であった自分は、イカ料理全般を避けていた。ところが駅弁のいかめしだけは食指を伸ばしたくなり、しかも食べ見ると全く苦手さを感じることもなく、むしろ美味しく食べられたのであった。以来苦手であったはずのイカを好きになり、好んで食べるまでになった。私が好きになるきっかけを与えてくれたのがこの「いかめし」である。

森駅から男性地元客1名、鉄人4名が乗車し、合計10名の乗客でキハ40の車内は少々活気づいた。さらに東森駅からは1名の女性地元客が乗車した。砂原線に入り列車右手には駒ヶ岳が近づいてくる。地元客2名は渡島砂原で降り、そこからは鉄人オンリーの車内となった。

道南を代表する秘境駅、渡島沼尻に到着。以前訪問したときと変わらず、古めかしい駅舎が残っていた。

鹿部駅を出ると、つぎは目的地の銚子口駅である。

前方デッキで降りる準備をしていると、銚子口駅を示す標識が見えてきた。

大きく左にカーブを曲がりきるとそこに銚子口駅の構内が広がっていた。構内は一線スルー式で列車は分岐器を直進して構内へと進入した。

石谷駅からご一緒させて頂いたチバさん(仮称)と会釈してお別れし、銚子口駅へ下車した。下車は自分を含め鉄人4名で、乗車客はいなかった。駅で到着の風景を撮影する鉄人もおり、週末の銚子口は賑やかな時間を迎えていた。

程なくして下り長万部行きがやってきた。交換設備のある駅ならば交換風景を見たいもので、図らずも列車交換の場面に遭遇できて良かった。

お互いが対向状態で顔を合わせる。SL時代は構内踏切を介してタブレット交換が行われていたのだろう。

先に函館行きが発車し、続いて長万部行きが発車。

長万部行きが構内を抜け、本線を走り去っていった。キハ40はここから森駅へ向けて緩勾配を下りていく。

銚子口駅の構内踏切は遮断機が無いタイプ。定期の特急列車の走らない砂原線では十分な設備なのだろう。

ホーローの縦書き駅名板、横書きの駅名板、名所案内の3兄弟。

名所案内には駒ヶ岳と東大沼温泉が記載されていた。東大沼温泉は2020年11月に閉館してしまったようだ。旅館のHPは更新されていないものの2021年11月23日現在も残っており、復活の可能性があるのでは?と勘ぐってしまう。

2番線には駅舎と逆側へと出られる出口があった。大沼多目的グラウンドや水芭蕉群生地へ行く場合はこちらを利用すると便利なはず。

1番線の縦書きホーロー駅名板を眺める。木製電柱とホーロー駅名板の色合いが似合うこと!

銚子口駅の駅舎はとても綺麗な外観で、太陽を浴びて外壁が輝くくらいの状態であった。

駅舎内の待合室へ入る。4連1組のプラベンチが向かい合う形で2組置いてあった。駅舎の6割ほどは保線関係で使用されているらしく、待合室スペースはそこまで広くない。

待合室内は掃除が行き届いていて、大変過ごしやすい。

銚子口駅の運賃表。

こちらは発車時刻表。列車は朝夕に集中して、夜間もちらりほらり。一日に2回、6:54と15:31に旅客列車同士の行き違いがある。

駅舎から15mほどの離れにあるのは恐らくトイレ。

駅の名所案内に駒ヶ岳の記載があるように、銚子口駅は渡島駒ヶ岳と近い。駅舎の右側、線路越しにあるのが駒ヶ岳である。銚子口からの登山道もあったようだが、現在は閉鎖されている。

駅の入り口にはヘビ注意!の掲示。自然に囲まれた駅だけあって、ヘビが出てくることもあるのだろう。

駅前は路線バスでも入れそうなくらい広々としている。このスペースには、かつて大沼電鉄が発着していたらしい。

駅前には民家が数軒あり、一般的なローカル駅の様相である。主要道路から離れた駅なので、非常に閑静である。

銚子口駅からは自力(徒歩)で次の目的地、流山温泉駅へと向かう。木々に囲まれた道を歩いて行くのはとても心地よい。

函館方へ400mほど進んで線路を渡る。森の緑と相まってとても雰囲気の良い踏切であった。

最後に踏切から銚子口駅を望む。貨物列車が多数走る路線だけあり、路盤がしっかりしていて、今にもDF200が走ってきそうな線路である。出発信号は1番線と2番線の両方にあるので、2番線からも函館方面へと出発できる構造のようだ。

次は流山温泉駅から列車に乗車する。
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