2018年10月27日土曜日

下徳富駅

札沼線の浦臼~新十津川は長らく3往復体制が続いていたが、いまは1往復のみになってしまい、駅訪問には少々工夫が必要となった。とはいえ、このあたりは比較的駅間距離が短いとあって、折り返し列車と自力移動を上手く組み合わせれば、効率的に駅訪問をすることが出来る。於札内駅から同じ列車に乗車したカガワさん(仮名)、豊ヶ岡駅から乗車したというサイタマさん(仮名)と下徳富駅(しもとっぷえき)で降り、その後南下徳富駅までご一緒することになった。

※2020年5月7日(最終営業は同年4月17日)を以て廃止されました。



下徳富駅はお隣の南下徳富駅と比較的近いので、
折り返し列車を利用して両方の駅を訪問することが可能だ。

列車は間もなく下徳富駅へ到着する。
この列車の乗客はほとんどが旅人のようであった。

下徳富駅へ到着した、新十津川行き。

ほとんどの乗客は新十津川を目指すようだったが、
下徳富駅で4名の下車があった。

下徳富駅の浦臼側はゆるやかな坂になっていて、
列車は坂を登って駅へ到着する。

駅には貨物ホームが残っていて、
貨物輸送の往時を偲ばせる。
農産物を多く積載した貨車がこの駅から発車したのだろう。

駅舎は比較的立派なものである。

ホーム側の軒は木造であることが見て取れた。
柱は古レールを利用している。

ホームは一段高くなっていて、
3段ほどの階段が備えられている。

待合室には有人窓口、手荷物窓口が
あったことがうかがい知れる。

窓口の台を支える腕木は古風で味わいのあるものであった。

手荷物台も、やはりデザイン性に優れる
腕木に支えられていた。

柱にあったこのフタは何のものかわからない。
石炭などを暖房として入れていたのだろうか。

また待合室には木製のベンチも存在。

この駅は一日一往復の区間。

駅前には大きな倉庫があり、民家もある。
この辺りの農産物集積地なのだろう。

駅前には立派な松の木が葉を青々と茂らせていた。
この松の木は「花月の松」という名称があるようだ。

松の木には多くの松ぼっくりが実っていた。
元気な松の木に見守られて、
下徳富駅は今日も静かに列車を迎えていた。

下徳富駅を後にして、折り返しの列車が来るまでに
南下徳富駅へと自力で向かった。

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2018年10月19日金曜日

於札内駅

札沼線於札内(おさつない)駅は、浦臼と新十津川の間にある、一日一往復しか列車が来ない駅である。田園地帯に囲まれた長閑な環境にある。

※2020年5月7日(最終営業は同年4月17日)を以て廃止されました。


於札内駅は国道から離れているせいか、非常に閑静である。未舗装のアプローチ道路など、ローカル駅好きにとってたまらない環境にある。


このときは、奈井江駅から浦臼町営バスを利用して
鶴沼市街バス停で降り、そこから自力でやってきた。
駅を遠望すると田んぼに浮かんだようなホームがあった。

駅へのアクセス道路は未舗装である。
駅前の踏切は警報器、遮断機のない第四種タイプ。

この踏切は冬期の利用が出来なくなるようだ。
言い換えればこの道路の除雪は
されないということだろうか。

駅は直線の線路に面している。

ホームへ上がる階段の一部は曲がっていた。
この階段は歩くとゴトゴト音を立てるので、
小さい頃に側溝のフタの上を歩いたときのことを
思い起こすものであった。

ホームから眺める浦臼方の景色。
とても静かな場所である。

こちらは新十津川方面の景色。

線路と逆側の柵は錆びて抜け落ちていた。

待合室はトタン張りである。

待合室に付けられた駅名板はサビサビである。

待合室は北海道らしく、スノーダンプがある。

待合室のベンチは木製であった。
年季が入っている。

駅ノートもある。
この駅への訪問者は多いようで、
書き込み間隔が密であった。
一日一本の列車を利用するため、
片道は奈井江駅や滝川駅からの
バスを利用した方も多いようであった。

これが下り一本、上り一本の時刻表。

駅の裏側では、稲が美しく色づいていた。

やがて時刻通りに新十津川行きがやってきた。

この日は札沼線でおなじみのキハ40 400でなく、
普通の未更新キハ40であった。
排雪の必要の無い時期なら
普通のキハ40でも代替できるのだろう。
この列車に乗って、下徳富駅を目指した。



2018年10月13日土曜日

日高本線乗車記

JR北海道日高本線は2015年以降の災害により、線路が寸断された。復旧費用と利用状況がネックとなり鉄道の復旧には消極的な報道が多い。景色の良い路線だけに、乗車当時は日高本線にトロッコ列車が走ったら、多くの観光客が利用するだろうなどと勝手に想像を膨らませていた。

(鉄道運営の素人による鉄道保全バイアスがかかった独り言です。
この路線には少なくとも3点の観光の長所がある。まず、札幌や新千歳空港から比較的近く、アクセス性にアドバンテージがあること。つぎに、勇払原野や太平洋を眺める秀逸な車窓を楽しめること、3つめには沿線にはサラブレッド銀座があることだ。このように観光路線としては大きな潜在性を秘めた路線であり、活用によっては、地域への大きな便益を生み出せる路線のように思える。いすみ鉄道の社長を務められた鳥塚亮さんがこの路線をご覧になったら、何と仰るのだろうか。)

鉄旅愛好者として、鉄路の復活と多くの利用者が乗車する路線となることを願って、ここに乗車記を残したい。
日高本線の起点は苫小牧駅。
ここから様似までの146キロの旅が始まる。



日高本線は苫小牧から襟裳岬を目指すように
海沿いを南東へ進む路線である。

鵡川方面から到着した3両編成から
たくさんの高校生が下車し、苫小牧方2両が切り離された。
鵡川方の一両が様似行きになる。

8時の出発を待つキハ40 352。

車内はガラガラであった。

列車は勇払原野の中を高速で走って行く。

最初の交換駅である鵡川駅へと到着。
ここで暫しの停車。

鵡川駅はホームが千鳥配置となっている。
昔は富内線がここから分岐していたようだが、
この停車時間で痕跡を確認することは出来なかった。

キハ40 350番台は、ほぼ日高本線専用とあってか、
サボ受けには日高本線という文字が書かれている。

鵡川駅から先は海沿いを走る区間が多くなる。
実に素晴らしく、癒やされる車窓である。

海岸では樺太犬らしきワンちゃん達が
波打ち際で遊んでいた。

厚賀駅を出ると厚別川橋梁が見えてくる。
日高本線で有名な場所である。

厚別川橋梁を渡り、大狩部駅までの区間は
車窓のハイライトとも呼べるところである。
線路は迫り出した崖と海の間に敷かれ、
人工物らしい人工物はほとんど見られない。

やがて列車は海の眺めの良いことで有名な大狩部駅へ到着。

大狩部駅の駅名板は潮風をうけるせいか、
錆に覆われていた。

こちらは車内からみた大狩部駅の海側の景色。
こんな駅に降りてみたい!という衝動に駆られる。

やがて列車は静内駅へと到着した。
ここで苫小牧行きと列車交換のため、長時間停車となる。

静内駅は駅員配置駅であり、みどりの窓口もある。

嬉しいのは駅そば屋さんがあること。
ここで月見そばを車内持込容器で注文した。

そばの汁は優しい味付けであった。

静内駅を出ると再び海と並走する。

窓を開けると心地よい風が車内へ入ってくる。
贅沢な旅だと思う。

東静内を出ると列車は小さな山越えをする。
勾配はきついが、キハ40 350番台のエンジンでは
余裕を感じられる。

車窓よりエゾシカが見られた。

そして牧場の馬も。

列車は絵笛駅へ到着した。
牧場に囲まれたこの駅は実に良い雰囲気がある。
大狩部駅と並んで降りてみたい駅である。

絵笛駅は実にのどかな場所にある。

浦河駅、東町駅を過ぎていくと、列車は再び海沿いを走る。
海岸では女性が何かの作業をされていた。

さすがは日高昆布の産地とあって、
海岸に立派な昆布が干されていた。

最後の途中駅、西様似へ到着。
ここの待合室は車掌車改造タイプである。

そして終点の様似駅へ到着した。
苫小牧から146キロの道程であったが、
全く飽きることのない鉄旅であった。

様似駅で線路は途切れる。

駅は簡易委託駅であり、きっぷを窓口で買うことができる。
ここで入場券で西様似までの常備軟券を購入した。

苫小牧から長らく世話になってきたキハ40 352とも
ここでお別れである。

こちらが様似駅の外観。
駅前にはバスが来るせいか、広いスペースが取られている。

ここからJR北海道バス日勝線でえりも岬を目指した。

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