留萌本線峠下駅は、留萌本線で唯一の交換設備を備え、木造駅舎の残る風格のある駅である。周囲に民家のない秘境感漂う場所で、静かに列車交換の役目を担っている。
留萌本線、石狩沼田~留萌の廃止に伴い、2023年4月1日を以て廃止されました。
峠下駅は国道と少々離れているためか、
非常に閑静な環境にある。
日中は、ダンプカーがたまに駅前の道路を走る程度である。
列車は恵比島駅を出ると峠越えにさしかかる。
この峠を越えた先にあるのが峠下駅だ。
勾配、トンネルを越えながら峠に向かう。
上り勾配が終わると、エンジンがアイドル音になり、軽やかに下り坂を走っていく。
信号が見えてきた。まもなく峠下駅である。
峠下駅を示す黄色い標識が見え、
その先には黄色信号も見て取れる。
駅は近いようだ。
大きく左にカーブを曲がった先には
峠下駅が待ち構えていた。
峠下駅へ到着。
下り留萌行きは上り対向列車と交換するため、
暫し休憩する。
対向ホームにやってきた、交換相手の深川行き。
行き違いを済ませた留萌行きが発車していく。
広い構内をカタコトと音を立てて去って行く。
やはり交換設備の残る駅は良い。
大きな木造駅舎が残る峠下駅。
貴重な存在である。
千鳥配置のホームは砂利タイプで対向型。
タブレット交換時代の名残といえる。
昔はたくさんの客車や貨車を連ねた、
SL列車が行き来していたのだろう。
それを偲ばせる広い構内である。
深川方上り線の脇には、留置線がある。
保線車や除雪車などが使うのだろうか。
お隣の幌糠駅はシール貼りとなっている。
2006年まで営業した東幌糠駅がそれまでの隣駅であった。
北海道といえば、この縦書きホーロー駅名板。
駅本屋側には貨物ホームの跡がある。
木造駅舎は木張りの外壁が味わい深い。
窓枠は木製である。
広い待合室にはポツンとプラベンチが並んでいる。
4つだけだが、これで十分なのだろう。
塞がれてしまった窓口に残る台には、
駅ノートが置いてあった。
こちらは荷物窓口だったのだろうか。
やはりベニヤ板で塞がれていた。
北海道の駅で見られる煙突暖房。
冬期、保線の人が駐在するとき、
こちらの待合室もこの煙突を介して暖かくなるのだろう。
駅の外には積雪深を測るメジャーがある。
この辺りは雪が深いのだろうか。
下りホームには古めかしい温度計があった。
駅本屋の脇、貨物ホームの行き止まりとなる場所に
古めかしい木造建屋がある。
荷物保管庫とのことで、
除雪関係機械があるのだろうか。
入口はかんぬきでしっかりと止められていた。
駅本屋の脇には「国有鉄道」という杭が
ひっそりと存在していた。
駅の周囲には倒壊してしまった家屋の残骸がある。
踏切から駅構内を眺めてみる。
緑に囲まれ、落ち着く雰囲気の駅だと思う。
次の列車までは随分と時間があるため、
路線バスで移動する。
峠下分岐点のバス停は駅から歩いて5分ほどだ。
ほぼ時間通りにやってきた留萌行き道北バス。
これに乗車して峠下駅を後にした。
こちらは、夜間時間帯に訪問したときの写真。
周囲に人工物がないせいか、駅以外は真っ暗闇である。
大きな木造駅舎が煌々と光を湛えている。
やがて上り深川行きがやってきた。
この列車に乗車して峠下駅を後にした。
この時は夜間でありながらも素晴らしい駅の思い出と
なったため、再訪を心に誓ったのであった。