宗谷本線北星駅は木造待合室と板張りホームを備えた価値あるローカル駅である。宗谷本線随一の規模を誇る名寄駅からたった二駅とは思えないほどの閑静な場所に位置する。板張りホームに立って耳をすますと、手塩川から発せられる川の音を聞くことができる。
※2021年3月13日を以て廃止されました。
雪の中に佇む木造待合室。
今日も静かに利用者を迎えていた。
北星駅は主要道路から離れていて、近くを通る路線バスはない。
車の通行音はほとんど聞こえず、静かな環境を楽しむことができる。
上り列車でのアプローチとなった。
間もなく北星に到着する。
簡素な板張りホームが見えた。
板張りホーム好きの私にとって、嬉しい瞬間だ。
ホームへ降り立ったのは私一人。
乗車する客はいなかった。
列車は定刻通りに発車していく。
稚内から走ってきた列車の後面には雪がびっしりと付いていた。
その面構えは、宗谷地方の冬の厳しさを感じさせるものである。
列車が去ると、辺りには静けさだけが残される。
線路の雪はラッセル車によってか綺麗の除雪されていた。
稚内方は駅を出るとすぐに地形に沿って曲線になる。
「北星」という駅名は何とも旅情を感じさせる。
個人的にこの駅名が好きだ。
こちらが北星駅の待合室。
「毛織の北紡」という赤い看板が目をひく。
待合室はホームと少し離れた位置に独立している。
建てられた当時の待合室がそのまま現役なのだろう。
外板の質感がその歴史を感じさせる。
引き戸を開けて待合室に入ってみる。
年季の入ったベンチが利用客を待っていた。
北国の駅らしく、スノーダンプが備えてある。
端に立てかけてある長い木の棒は何に使うのだろう?
驚いたのはドアレール。
レールがドアの上側にあり、そこからドアが吊られる形となっている。
アルミサッシに変わっていない窓枠が現役。
床のコンクリートはひび割れが入り、縁には隙間が見える。
長い歴史を刻み込んできた証である。
北星駅の駅ナンバーはキリの良いW50で、
宗谷本線の最若番である永山駅のW31から20駅目にあたる。
ローカル駅にはお約束の駅ノート。
これをめくる時間も駅巡りの楽しみの一つだ。
私も一筆啓上させて頂いた。
稚内方には雪化粧をした小さな踏切があった。
ここから眺める曲線は中々良い。
駅前には1件の人家があり、煙突からは煙が上がっていた。
板張りホームの端にはホームを照らす電球と
傾いたホーム端の標識があった。
電球を支える腕のつくりが実に良いと思う。
ホームに立つと木々のむこうの天塩川の川の音が聞こえてくる。
やがて、下り列車がやってきた。
さっき自分が乗ってきた車両が名寄で折り返してきたようだ。
良い時間を過ごした後、この列車に乗り込み、北星駅をあとにした。