[読み] はまあつま
[路線] JR北海道 日高本線
[隣駅] 勇払(9.6km)←浜厚真→(4.3km)浜田浦→(3.5km)鵡川
kmは営業キロ
[位置] 北海道勇払郡厚真町字浜厚真
今回日高本線に乗車したのは2023年3月に廃止される浜田浦駅訪問が主目的である。その後、副次的に下車したのが浜厚真駅であるが、実際に下車してみると、浜厚真海岸や、めぐみ水産のししゃもと魅力があり、1時間17分が短く感じる濃密な時間を過ごすことができた。駅周辺の面白さを含めると浜田浦駅より浜厚真駅に軍配が上がる、そんな感想を持った訪問となった。
浜厚真駅は主要道路国道235号線から離れたところにあるが、駅前の道路を結構な頻度でダンプカーが走るので静閑な駅ではない。ただし、ダンプカーが走り去ったあとに訪れる一時の静けさの中、ホームに立ち、目の前の広い原野を眺めれば、北海道ならではの景色に心が癒される。
浜田浦駅から乗車したキハ40の2連は国道235号線とクロスすると間もなく浜厚真駅に到着する。
列車は速度を落とし、静々と浜厚真駅ホームへと近づく。駅には車掌車改造待合室があるようだ。
私の下車と入れ替わりに3人の高校生が乗車した。浜厚真駅には複数の定期利用客がいるようだ。
ホームは砂利で覆われ、北海道の地方駅では一般的なスタイル。この砂利の上を歩くと、足元がザッザッと小気味よい音を立てる。
かつては、線路を挟んで向かい側に小学校があったらしい。しかし、今現在の光景は、写真のように原野が広がっているだけで、過去の風景が想像できない。
待合室内には5人ほどが座れるベンチが1個だけ置かれていた。室内は清潔に保たれ、過ごしやすい。
列車は上下それぞれ8本ずつが停車する。朝から夜までおよそ2時間おきに万遍無く配されている。
料金表には7箇所の行き先が表記されている。日高本線が全線運行していた当時は、静内や浦河など現在存在しない駅もあったのかもしれない。
浜厚真駅は苫小牧東港への最寄り駅。敦賀や秋田、新潟を結ぶフェリーは苫小牧東港へやってくる。トワイライトエクスプレス無き今、敦賀から苫小牧まで夕日を見ながらフェリーでやってくるのも良いかもしれない。
待合室の前には一本の常緑樹が植えてある。その勢いある枝振りからして、イチイの木ではなかろうか。
乗車予定の8:38まで1時間以上の余裕があったので、浜厚真海岸へ行ってみることにした。SURF TOWNとあるように、浜厚真海岸はサーフィンで有名らしい。
海岸に向かって真っ直ぐ延びる道を一人歩いて行く。雲が空を覆いはじめ、日差しが遮られ始めると、寒さを身にしみて感じる。3月とはいえ、朝は冷え込む。
この広大な海岸を独り占めして堪能する。喧噪など全くない、波の音だけが支配する贅沢な時間であった。
浜厚真海岸は良き景観に加えて、ゴミの少なさが印象的であった。どこの海岸でも漂着物はやってくるが、この浜厚真海岸では、自然由来のものが多く、ゴミがほとんどないことに驚いた。これはホッキガイの貝殻だろうか。
浜厚真海岸から駅へ戻り、まだ時間の余裕があったため、駅の北側へ向かう。途中の踏切で丁度8:13発鵡川行きが通過するところであった。
この踏切の名前は「小学校通り踏切」。まさしく駅北側にあった学校に因んだものだろう。
小学校通り踏切から浜厚真駅を遠望すると、直線の中に小さなホームが見て取れる。
歩みを進めると道路脇の原野にエゾシカの群れが現れた。山から離れ、しかも主要道路に近い場所でのエゾシカの姿に、少々驚いた。
さて、やってきたのは「めぐみ水産」。ここは朝から営業しているので、是非とも訪れたいと思っていたところだ。鵡川のししゃもを買うことができる。カラフトシシャモでなく、"シン"ししゃもである。店主の方は大変親切でししゃもについて色々と教えてくれた。出汁を取るにはオスの方がよいらしくラーメンにするためにはオスを使うのだそうだ。1匹オスの干物を食べさせてもらったが、味と風味はスーパー濃厚で大変美味しかった。お土産にししゃもの干物を購入。
定刻通り8:38発の苫小牧行きがやってきた。
やってきたのは、先に乗車したキハ40 1724からなる2両編成。苫小牧と鵡川を一往復してきたようだ。下車客はおらず、自分一人が乗車した。運転士さんの声に迎えられ、キハ40のデッキに乗り込む。