2023年4月8日土曜日

浜厚真駅

[読み] はまあつま
[路線] JR北海道 日高本線
[隣駅]   勇払(9.6km)←浜厚真→(4.3km)浜田浦→(3.5km)鵡川
kmは営業キロ
[位置] 北海道勇払郡厚真町字浜厚真

今回日高本線に乗車したのは2023年3月に廃止される浜田浦駅訪問が主目的である。その後、副次的に下車したのが浜厚真駅であるが、実際に下車してみると、浜厚真海岸や、めぐみ水産のししゃもと魅力があり、1時間17分が短く感じる濃密な時間を過ごすことができた。駅周辺の面白さを含めると浜田浦駅より浜厚真駅に軍配が上がる、そんな感想を持った訪問となった。

浜厚真駅は主要道路国道235号線から離れたところにあるが、駅前の道路を結構な頻度でダンプカーが走るので静閑な駅ではない。ただし、ダンプカーが走り去ったあとに訪れる一時の静けさの中、ホームに立ち、目の前の広い原野を眺めれば、北海道ならではの景色に心が癒される。

浜田浦駅から乗車したキハ40の2連は国道235号線とクロスすると間もなく浜厚真駅に到着する。

列車は速度を落とし、静々と浜厚真駅ホームへと近づく。駅には車掌車改造待合室があるようだ。

私の下車と入れ替わりに3人の高校生が乗車した。浜厚真駅には複数の定期利用客がいるようだ。

ホームは砂利で覆われ、北海道の地方駅では一般的なスタイル。この砂利の上を歩くと、足元がザッザッと小気味よい音を立てる。

列車が去った後の早朝の駅ホームには、静かで誰もいない。この時寒かったとはいえ、朝日が降り注いだお陰で穏やかな気持ちで過ごすことが出来た。

かつては、線路を挟んで向かい側に小学校があったらしい。しかし、今現在の光景は、写真のように原野が広がっているだけで、過去の風景が想像できない。

こちらが車掌車改造の待合室。可愛らしいイラストが描かれている。この待合室のデッキ部分には、風よけとなる板が設置されている。そのおかげで、待合室入り口に直接雨風が吹き付けることがなく、快適な空間を保つことができている。車掌車の有効な二次利用方法だと思う。

待合室内には5人ほどが座れるベンチが1個だけ置かれていた。室内は清潔に保たれ、過ごしやすい。

室内には、千羽鶴や駅のイラストなどが飾られている。ベンチの上にはお約束の駅ノートも。

列車は上下それぞれ8本ずつが停車する。朝から夜までおよそ2時間おきに万遍無く配されている。

料金表には7箇所の行き先が表記されている。日高本線が全線運行していた当時は、静内や浦河など現在存在しない駅もあったのかもしれない。

浜厚真駅は苫小牧東港への最寄り駅。敦賀や秋田、新潟を結ぶフェリーは苫小牧東港へやってくる。トワイライトエクスプレス無き今、敦賀から苫小牧まで夕日を見ながらフェリーでやってくるのも良いかもしれない。

待合室の前には一本の常緑樹が植えてある。その勢いある枝振りからして、イチイの木ではなかろうか。

乗車予定の8:38まで1時間以上の余裕があったので、浜厚真海岸へ行ってみることにした。SURF TOWNとあるように、浜厚真海岸はサーフィンで有名らしい。

海岸に向かって真っ直ぐ延びる道を一人歩いて行く。雲が空を覆いはじめ、日差しが遮られ始めると、寒さを身にしみて感じる。3月とはいえ、朝は冷え込む。

車道の終点から波打ち際まで広大な砂エリアを歩く。寒さのせいで水分が凍っていたのか、砂はかなりしまっていて、足を取られることもなく、波打ち際までの道のりを楽しんだ。

この広大な海岸を独り占めして堪能する。喧噪など全くない、波の音だけが支配する贅沢な時間であった。

浜厚真海岸は良き景観に加えて、ゴミの少なさが印象的であった。どこの海岸でも漂着物はやってくるが、この浜厚真海岸では、自然由来のものが多く、ゴミがほとんどないことに驚いた。これはホッキガイの貝殻だろうか。

浜厚真海岸から駅へ戻り、まだ時間の余裕があったため、駅の北側へ向かう。途中の踏切で丁度8:13発鵡川行きが通過するところであった。

この踏切の名前は「小学校通り踏切」。まさしく駅北側にあった学校に因んだものだろう。

小学校通り踏切から浜厚真駅を遠望すると、直線の中に小さなホームが見て取れる。

歩みを進めると道路脇の原野にエゾシカの群れが現れた。山から離れ、しかも主要道路に近い場所でのエゾシカの姿に、少々驚いた。

さて、やってきたのは「めぐみ水産」。ここは朝から営業しているので、是非とも訪れたいと思っていたところだ。鵡川のししゃもを買うことができる。カラフトシシャモでなく、"シン"ししゃもである。店主の方は大変親切でししゃもについて色々と教えてくれた。出汁を取るにはオスの方がよいらしくラーメンにするためにはオスを使うのだそうだ。1匹オスの干物を食べさせてもらったが、味と風味はスーパー濃厚で大変美味しかった。お土産にししゃもの干物を購入。

駅へ戻り、列車が来るまでの間、駅ノートを見て待つ。となりに置いてあるのはお土産に買ったししゃもの箱詰めと、すぐ食べる用のバラ売りししゃも。

定刻通り8:38発の苫小牧行きがやってきた。

やってきたのは、先に乗車したキハ40 1724からなる2両編成。苫小牧と鵡川を一往復してきたようだ。下車客はおらず、自分一人が乗車した。運転士さんの声に迎えられ、キハ40のデッキに乗り込む。

車掌車待合室、浜厚真海岸、めぐみ水産など、見所満載の浜厚真駅。1時間27分の滞在は短いくらいであった。
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