2017年1月29日日曜日

北星駅

宗谷本線北星駅は木造待合室と板張りホームを備えた価値あるローカル駅である。宗谷本線随一の規模を誇る名寄駅からたった二駅とは思えないほどの閑静な場所に位置する。板張りホームに立って耳をすますと、手塩川から発せられる川の音を聞くことができる。

2021年3月13日を以て廃止されました。

雪の中に佇む木造待合室。
今日も静かに利用者を迎えていた。

北星駅は主要道路から離れていて、近くを通る路線バスはない。
車の通行音はほとんど聞こえず、静かな環境を楽しむことができる。

上り列車でのアプローチとなった。
間もなく北星に到着する。

 
簡素な板張りホームが見えた。
板張りホーム好きの私にとって、嬉しい瞬間だ。

 
ホームへ降り立ったのは私一人。
乗車する客はいなかった。

 
列車は定刻通りに発車していく。

 
稚内から走ってきた列車の後面には雪がびっしりと付いていた。
その面構えは、宗谷地方の冬の厳しさを感じさせるものである。

 
列車が去ると、辺りには静けさだけが残される。
線路の雪はラッセル車によってか綺麗の除雪されていた。

稚内方は駅を出るとすぐに地形に沿って曲線になる。

「北星」という駅名は何とも旅情を感じさせる。
個人的にこの駅名が好きだ。

こちらが北星駅の待合室。
「毛織の北紡」という赤い看板が目をひく。

待合室はホームと少し離れた位置に独立している。
建てられた当時の待合室がそのまま現役なのだろう。
外板の質感がその歴史を感じさせる。

引き戸を開けて待合室に入ってみる。
年季の入ったベンチが利用客を待っていた。

北国の駅らしく、スノーダンプが備えてある。
端に立てかけてある長い木の棒は何に使うのだろう?

驚いたのはドアレール。
レールがドアの上側にあり、そこからドアが吊られる形となっている。

アルミサッシに変わっていない窓枠が現役。

床のコンクリートはひび割れが入り、縁には隙間が見える。
長い歴史を刻み込んできた証である。

北星駅の駅ナンバーはキリの良いW50で、
宗谷本線の最若番である永山駅のW31から20駅目にあたる。

ローカル駅にはお約束の駅ノート。
これをめくる時間も駅巡りの楽しみの一つだ。
私も一筆啓上させて頂いた。

 
稚内方には雪化粧をした小さな踏切があった。
ここから眺める曲線は中々良い。

駅前には1件の人家があり、煙突からは煙が上がっていた。

板張りホームの端にはホームを照らす電球と
傾いたホーム端の標識があった。
電球を支える腕のつくりが実に良いと思う。

ホームに立つと木々のむこうの天塩川の川の音が聞こえてくる。

やがて、下り列車がやってきた。
さっき自分が乗ってきた車両が名寄で折り返してきたようだ。

良い時間を過ごした後、この列車に乗り込み、北星駅をあとにした。

 

2017年1月15日日曜日

初田牛駅

初田牛(はったうし)駅は根室本線の釧路~根室に位置する棒線駅である。ホームから確認できる人家は無く、また近くの道路の交通量は極めて少ないので、静寂な空間を楽しみたい旅行者にはうってつけの駅である。訪問した日は冬晴れとも呼べる天気で、輝く太陽に青空、そして雪、駅、林が美しく調和していた。
※2019年3月16日を以て廃止されました。



初田牛駅は太平洋から3キロほど内陸に入った所に位置していて、
周囲に人工物の少ない場所である。

 上り列車でのアプローチとなった。
キハ54の貫通路の先には初田牛駅が見えている。

初田牛駅へと到着。
天気は快晴で絶好の駅訪問日和となった。

 列車が釧路へ向けて発車していく。
となりに側線があり、駅構内の先で本線が湾曲している。
ということは昔は交換駅だったのだろうか。

列車が去った後の初田牛駅にあるのは静寂のみ。
何とも贅沢な時間を過ごすことができる。

こちらは根室方の景色。
ホームから確認できる人家はない。

待合室の中にはプラベンチが4つ並んでいる。
簡素でシンプルな待合室である。

訪問時の気温はおよそ2℃。
日差しがあり、無風であったせいか暖かく感じられた。

 初田牛駅へのアクセス道路から待合室を望む。
駅は木立を抜けた先にある。

駅を背にアプローチ道路を見た景色。
木立を抜けると道路とぶつかり、十字路となる。

 十字路に出て、左手(西)を見る。
右奥に見える建物が駅周辺の唯一の人家である。

駅を背に真っ直ぐ歩いて行く。

 やがて道路は道道1127号線と交差した。

 その先には雪化粧をした知床連山を遠望することが出来た。
この写真では左手の方である。

駅周辺は林と原野がほとんどだ。
 何とも美しい景色を眺めることができる。

駅へ戻るべく、道を引き返すと前からご夫婦がやってきた。
訪ねてみると、駅近くの唯一の人家に住む方とのことであった。

駅の逆側へ行くこともできる。
道道142号線を走る車はほとんど無かった。

駅構内へと道路は続く。
待合室ホーム側の上側には漢字で駅名が書かれている。

やがて列車の時間が迫ってくる。
釧路方から時間通りに列車がやってきた。

 この列車で初田牛駅を後にした。
時間にして1時間ほどの滞在で、とても良い時間を過ごすことができた。
また再訪してみたい駅である。


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2017年1月6日金曜日

古瀬駅

※2018年11月 2回目訪問記を加筆

根室本線古瀬駅への訪問は夜の帳が降りきった時間帯となった。元々夜の到着となる予定を組んでいたのだが、この日の道東は冷え込み厳しく、同行してもらったJ氏には、夜に古瀬駅へ行くべきか止めるべきか本気で相談したほどであった。実際には、行かなかったら後悔したであろうと思えるほど、非常に満足度の高い訪問となった。雪の中に凜と照らされる交換設備と、空を見上げると天を埋め尽くすような星々が待っていたのだ。40分ほどの滞在はあっという間に過ぎていった。
(昼間に再訪した様子はページ後半に追記)
※2020年3月14日を以て廃止されました。

夜の古瀬駅。
煌々と輝く照明が板張りのホームと交換設備を照らす。

駅前には細い林道が走っているのみの場所で非常に静かな環境である。
根室本線は音別駅と白糠駅の間は一度山の中に入り、古瀬駅を通っていく。

列車は間もなく古瀬駅へ到着する。
古瀬駅は停車する列車が少ないため、
鉄旅のプランを練る上でキーとなる駅である。 

 古瀬駅へ到着したキハ40。
下車したのは私とJ氏のみで、乗車客はいなかった。

おもむろに発車していく釧路行きキハ40。
テールライトが旅情を誘っているかのように煌々と輝いている。

 下車して、少しの時間が経つと貨物列車が1番線を通過していった。
てっきり上り列車は2番線を通るものだと思っていたので少々焦った。

 無機質なコンテナ列車のものとは思えない、
テールライトの灯り。

 あまりに美しい夜景なので、撮影枚数が必然と増えてしまう。
この写真は1番線から釧路方を見ている風景である。
ホームの左手にある建物は詰所のようで、待合室ではない。
詰所の外壁はリニューアルされたばかりのようだ。

2番線は少々離れている。
線路の脇を歩いて構内踏切を渡ると2番線に出る。 

ホームを降りる階段は詰所の脇を通り、林道に出る。
牛山隆信さんの「秘境駅へ行こう!」の古瀬駅の記事を拝見すると、
牛山さんが訪問された時にはこの場所に小さな木造待合室があったようだ。
 その時代に来てみたかったものだ。

 こちらは2番線のホーム。
1番線と同じく板張りである。
信号場から昇格した歴史を持つ駅というと、
簡素なつくりの駅が多いのだが、
ここのホームは長めに作られており、2両分はある。

照明に照らされる駅名標。
駅名標そのものに付いているランプは点灯していなかった。

 2番線の端から釧路方を見る。
写真では見えなくなってしまっているが、
夜空を埋め尽くすほどの星が出ている。
この星空の写真を撮影できなかった自分が歯がゆい。

こちらは昼間の古瀬駅。
森に囲まれた環境であることが見てとれる。
このときは降りずに列車の中から観察するのみであった。

ーーー
尺別駅から乗車した列車が古瀬駅へと近づく。
昼間の時間帯での再訪が適おうとしている。


馬主来(ぱしくる)湿原から登り坂を上がってきたキハ40は古瀬駅で一休み。下車したのは私1人であった。


私を降ろした釧路行きは、軽やかに下り坂へと向かっていった。


前回撮影と同じアングルの写真。
雪がなく、また昼間となると見え方が全く異なる。


駅の秘境感は根室本線随一である。


詰所には待合室がないので、入ることは出来ない。


詰所の入口には建物財産標があった。
詰所の外壁は近代的に化粧されているが、財産登録は昭和29年ということで非常に古い。SL時代から古瀬駅を見守ってきた歴史ある建物である。

1番線へ行くにはこの小さな板張り橋を渡る。

1番線と離れた2番線ホームへ行くべく構内踏切を渡る。

1番線と同様に2番線にも長い板張りホームがある。
板張りホームの長さでは古瀬駅が一番なのではなかろうか。

駅を後にして周囲の散策にでようとすると、
ちょうど貨物列車が通過した。

駅から南の方角へと歩みを進める。
古瀬駅の方を振り返るとご覧の景色。

途中の牧場にはたくさんの馬がいた。
私が立ち止まると馬たちがこちらを凝視する。
見慣れないものが来ているので当然の反応だろう。

坂を登っていくと北海道らしい広がりのある景色が待っている。

日が暮れかけた草原。

起伏のある大地は北海道の東部にいることを実感させる。

列車の時間が迫ってきているので、駅へと向かう。古瀬駅という標識はないが、写真右手の砂利道に入ると古瀬駅へと至る。

古瀬駅へと戻ってきた。
駅前の道路はこのように未舗装である。

ほどなくして乗車予定の上り普通列車がやってきた。

この列車から降りる客はなく、乗車は私1人であった。

古瀬駅へはこれまで2回訪問した。季節や時間帯が変われば、また違った魅力を感じられるものである。次に行くときには朝方にでも訪問してまた古瀬駅の別の顔を見てみようかと思う。


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