2019年10月18日金曜日

知来乙駅

札沼線 知来乙(ちらいおつ)駅は、北海道樺戸郡月形町にある無人駅。駅は広がりのある麦畑に囲まれていて、静かで落ち着いた場所にある。木造の小さな待合室の存在と相まって、とても雰囲気の良い駅である。

※2020年5月7日(最終営業は同年4月17日)を以て廃止されました。


北海道医療大学駅から石狩月形駅の間、札沼線と国道275号線は寄り添うように走る。それぞれの駅も同様に国道275号線のすぐそばということが多いのだが、この知来乙駅だけは少し離れていて、交通流の音がほとんどしない閑静な空気を保っている。


月形温泉ホテルに宿泊した翌朝、自力で知来乙駅までやってきた。踏切が鳴ると札幌方からキハ40がやってきた。この列車は送り込みの回送で、石狩月形の始発列車となる。


札沼線非電化区間で回送という表示を見るのは何だか意外な感じがする。苗穂からやってくるのであれば、回送でなく、営業列車になってくれれば札沼線のプランニングに幅が出るのになあ。と、鉄人目線で考えてしまう。


回送列車は淡い朝日をうけつつ、知来乙駅を通過していく。この列車の折り返しとなる石狩当別行きに乗車する予定である。


こちらが知来乙駅の待合室。こじんまりとしたサイズ、落ち着いた色合いは、周囲の景観に良く溶け込んでいる。


待合室の周りには、プランターに植えられた花々が色鮮やかに咲き誇っていた。このような駅に巡り会うと実に癒やされる。大事にされている駅なのだろう。


水色に塗られた木の窓枠には雪囲いがつけてあった。知来乙の積雪量は窓まで達し得ることを意味している。

続いて待合室へと入ってみる。古めかしい青い木製ベンチがあるのが素晴らしい。色合いから下灘駅のベンチを思い起こさせる。プラベンチが並んでいるより、やはりこちらの方が良い。


待合室の奥にはトイレが備えられている。トイレのない無人駅が多い中、有難いことである。

窓枠は昔ながらの木枠。この待合室が建てられた当時から、そのままの姿なのかもしれない。

JR札沼線の愛称は学園都市線。非電化区間の沿線には月形高校や新十津川農業高校があるのだが、それでも定期利用者は少ないのだろうか。廃止の決断に至ったのは、それを受け入れざるを得ない利用状況なのだろう。


知来乙駅の隣は石狩月形、その隣は札沼線の駅で魅力No.1の豊ヶ岡である。石狩月形のスタフ受け渡し、豊ヶ岡や知来乙の訪問など石狩月形の周囲は魅力的な駅が多い。


知来乙駅は、非電化区間でも比較的本数の多い区間にある。


ローカル駅にはお約束の駅ノート。

待合室から線路を眺めてみる。ホームへは花のプランターに誘導されるように右側にある。

駅前の踏切からは知来乙駅ホームの全景を撮影することができた。ホームはコンクリート製で3両分くらいの長さ。

ホームから眺めた周囲の景色は、ご覧の通り大変長閑で落ち着く。

学園都市線こと札沼線の駅名板は立派なもの。上側に蛍光灯でも差し込めそうな雰囲気である。

やがて列車の時間になると時間通りに上り石狩当別行がやってきた。この列車は札沼線非電化区間で唯一の2両編成の列車である。

2両編成の石狩当別行きはキハ40独特のブレーキ調整エアの音を縦ながらじっくりと慎重に停車する。

知来乙駅からの利用は私のみであった。最後に窓を開けて知来乙駅を眺める。廃止が決定していたこともあり、この光景をしっかりと目に焼き付けた。

乗車した上り石狩当別行きはいくばくかの高校生が乗車していたが、車内は空いていた。青いボックスシートに揺られ、石狩金沢駅を目指した。


javascript:void(0)