[読み] やむべつ
[路線] JR北海道 釧網本線
[隣駅] 浜小清水(5.7km)←止別→(11.5km)知床斜里
kmは営業キロ
[位置] 北海道斜里郡小清水町字止別
止別駅は国道から離れており、大変閑静な場所にある。駅の裏手にはオホーツク海が広がっている。止別から知床斜里は線路と海の間には人工物が少ないので、釧網本線随一の車窓区間である。
藻琴駅から乗車したキハ54釧路行きは、途中の北浜駅で多くの観光客を降ろし、斜里へと向かって走って行く。写真は夏季営業駅の原生花園駅を通過するところ。
そして目的地である止別駅へと到着する。線路は構内前後で湾曲しており、過去に交換設備があったことを窺わせてくれる。
15:42定刻通りに止別駅へ到着。下車したのは私とJ氏のみで、乗車客はなかった。
駅員が配置されていた時代からの趣のある駅舎が現役。運転取扱のスペースはラーメン喫茶えきばしゃが入っており、この駅には常時人が居る。ここのラーメンも訪問の楽しみの一つである。
駅の出入り口には立派な駅名標が掲げられており、利用者を出迎えてくれている。主要道路から離れているので、駅前は極めて静粛だ。
駅舎内は多様なものが並んでいて中々賑やか。えきばしゃでは美味しい牛乳を飲むことが出来るためか、お店の入り口にはミルク缶のオブジェが置いてあった。
一際目を引いたのがこの座席。簡易リクライニングシートだろうか?今や簡易リクライニングシートのある車両は絶滅してしまったかと思いきや、何と東武鉄道のSL列車大樹で使われる14系客車が現役で簡リクを備えているらしい。初めてこのシートに座ったとき、背もたれが戻ってしまうぞ?と不思議に思ったものだ。183系基本番台のさざなみが最初の簡リク経験だった。
止別駅の発車時刻表。今回は15:43の列車で到着し、16:56の列車で出発する予定で、1時間13分の滞在時間がある。えきばしゃでの休憩と駅周辺の散策にはこのくらいの時間は欲しいところで、止別駅への滞在時間がこの日の予定のキーとなった。
らーめん喫茶だけにラーメンがメイン。有名なのはツーらーめん。チューシューとねぎ、2種類の具があるのと、通をかけてツーらーめんと名付けられている。
やってきましたツーらーめん。ううう、これは美味しい!塩ベースのスープが癖になる味わいである。ネギとチャーシューとの相性もバッチリで、これを書いているだけでまた食べたくなってしまう。つい先ほど藻琴駅でカツカレーを食べて2時間しか経っていないというのに美味しく感じるとは本当に美味しいのだ。
J氏がオーダーしたのはジャガイモ街道(牛乳・バター付)。少し分けてもらったが、このジャガイモには良い風味があって、バターとの相性が最高であった。またこの牛乳がクセが無く非常に美味しかった。ツーらーめんとジャガイモ街道で満腹of満腹になってしまったが、大満足の食事となった。
店内は、カウンター席とテーブル席があり、木材の内装で落ち着ける雰囲気となっている。食事のクオリティーが高いため、自分の中では喫茶というよりレストランである。
店内には列車の着発時刻が示されていて、列車の時間を確認しつつ、滞在することができる。食事をとるならば15:42着の列車で来るのが良いと思う。
食事を終えて、流氷を眺めるべく海へと向かってみる。止別海岸治山の森の中に残るトレースを辿り進む。列車の時間まで限られていたので、ここでは急ぎ目のペースで小走りと歩きを繰り返し時間を稼ぐ。
林を抜けると、その先には荘厳なる流氷の景色が待っていた。
人工物といえば、この風景に溶け込んだ納屋くらいで、あとは一切自然の造形のみであった。あまりに最高すぎる景色で今回の北海道旅行で最も印象に残ったのが止別駅裏手の流氷の景色であった。
傾き始めた太陽のオレンジ色の光を受けた流氷が静かに広がっていた。流氷と海が良い具合の割合で、これぞ求めていた流氷であった。静的な画であったのだが全く飽きない、いつまでも眺めていたい、そんな景色であった。
一匹のキタキツネが駆け抜けていく。冬らしくモコモコの姿は如何にもキタキツネらしい。
一匹のキタキツネが駆け抜けていく。冬らしくモコモコの姿は如何にもキタキツネらしい。
列車の時間に間に合うように急ぎ足で止別駅へと向かう。駅から知床斜里側にある第4種踏切。この踏切が海岸への入り口となる。私とJ氏は最初に駅を挟んで逆側の浜小清水側の踏切から海岸を目指したため、少々遠回りとなってしまった。
踏切から止別駅を遠望する。鄙びた駅構内が夕暮れと相まってとても良い雰囲気で佇んでいた。
止別駅16:44発の網走行きがやってきた。この列車を見送って、16:56発釧路行きに乗車する予定である。この両列車はお隣の浜小清水にて行き違いをする。
止別駅16:44発の網走行きがやってきた。この列車を見送って、16:56発釧路行きに乗車する予定である。この両列車はお隣の浜小清水にて行き違いをする。
駅へ戻ると17時へなろうという時間。出入り口のランプが点灯していた。木造駅舎と上品な青背景に白抜文字の駅名板、そして一灯ランプと、ここにはノスタルジーが詰まっていた。
ホームと駅舎の出入り口を除いてほぼ昔のままの姿を留めている。しかもえきばしゃが入っているお陰で人の温もりがある。釧網本線には、藻琴、北浜、止別、川湯温泉と4駅も駅舎内に喫食のテナントが入っていて、そのお陰で無人駅に活気が保たれ、旅行者の滞在を楽しませてくれる。コロナ禍を乗り越えた4駅のテナントが今後も末永く続いてくれることを期待します。
夕暮れの止別駅舎内にはえきばしゃの灯が点っている。単なる無人駅とは違う駅の明るさである。間もなく16:56発の釧路行きがやってくる。
定刻通り、釧路行き普通列車がやってきた。
夕暮れの止別駅へキハ54の釧路行きが到着。
止別駅から乗車したのは、私とJ氏のみで下車客はいなかった。多くの旅行客にこの駅の魅力が伝わり、利用客が増えて欲しいと思う。
知床斜里へ向けて疾走するキハ54の後方展望。この動画を見る度に再び流氷の季節に釧網本線の旅へ出たくなってしまう。