石北本線は、途中の2つの峠越えや、遠軽駅の方向転換など変化に富んだ鉄旅を楽しむことができる路線です。さらには一日1往復しか普通列車が走らない区間とその列車しか停車しない秘境駅があるなどの魅力もあります。今まで何度か石北本線を利用したことがありましたが、特急を利用することがほとんどで、一つ一つの駅の表情を見ないまま通過していました。
この度、網走から旭川まで全線をキハ40の鈍行列車で乗り通す機会を得ました。特急列車では見落としていた景色が見ることが出来、また鈍行ならではのゆったりとした時間を存分に楽しむという、極めて贅沢な旅をすることが出来ました。このときの様子を報告します。
網走12:10→遠軽14:53 4662D | キハ40 732 + キハ40 1707
↓
旭川20:05←遠軽16:12 4626D | キハ40 732 + キハ40 1707
遠軽で一度車内締切となるものの、車両自体は網走発旭川行きの直通列車でした。
この度、網走から旭川まで全線をキハ40の鈍行列車で乗り通す機会を得ました。特急列車では見落としていた景色が見ることが出来、また鈍行ならではのゆったりとした時間を存分に楽しむという、極めて贅沢な旅をすることが出来ました。このときの様子を報告します。
網走12:10→遠軽14:53 4662D | キハ40 732 + キハ40 1707
↓
旭川20:05←遠軽16:12 4626D | キハ40 732 + キハ40 1707
遠軽で一度車内締切となるものの、車両自体は網走発旭川行きの直通列車でした。
網走駅を発車した列車は、網走湖を右に見ながら西へ向かいます。
車内はとても空いていました。
青いボックスシートに身を委ねつつ景色を眺めるという、
至福の時を過ごします。
2両編成のうち、網走方はキハ40 732で、更新改造のされていない車両でした。
原型エンジンと扇風機を装備しています。
尤も732番は、直噴化改造をされているとか、いないとかで、
DMF15HSA型エンジンの特徴である「ズボボボボ」というエンジン音は
聞けなかったようにも思えます。
女満別駅での4分間の停車時間中に特急オホーツク1号と交換しました。
沿線には広い畑作地帯が広がります。
実にのどかで癒される風景です。
定刻の13:16、石北本線随一の規模を誇る北見駅へ到着しました。
乗客の半分程度が降り、また同程度の乗車がありました。
車内は各ボックスに誰かしら居るような乗車具合となりました。
北見駅は貨物取扱駅。
このとき貨物列車が停車中でしたので、早速撮影しました。
貨物列車の走る路線は活気があります。
この存在が石北本線の魅力を増しています。
北海道のキハ40、キハ54では、サボが現役です。
実に良い味を出しています。
北見駅を出ると、収穫中の畑が見えてきました。
土の上に並んでいるのはどうやらタマネギのようです。
13:52、列車は留辺蕊駅へ到着しました。
ここまでに随分車内は空いてきました。
ここで7分間の停車中にオホーツク3号と交換します。
同じく留辺蕊駅停車中の4662Dを後ろから撮影。
こうして長時間停車の間に駅をぶらぶらすることも
鈍行列車の醍醐味です。
金華駅へ到着。
ここでは普通列車と交換のため、8分間停車します。
この写真からはわかりにくいですが、写真左側に発車確認用の
ミラーがあるように、そちらには下り本線があります。
金華駅の駅舎です。
木造の駅舎が現役であることが嬉しいです。
駅舎にある金華駅の発車時刻表。
北見方面への朝の通勤へ配慮された
ダイヤ設定となっているように見えます。
1:15 勾配を上り、常紋信号所のスイッチバックの停車線が見えてきます。
1:35 常紋信号所のスノーシェルターへ入ります。
1:51 常紋トンネルへ突入。
常紋越えを終えた列車は、
足取り軽やかに走り、14:53に遠軽駅へ到着しました。
遠軽駅では次の4626Dの発車する16:12まで、
乗り換え時間が約80分あります。
乗り換えといっても実際は同じ車両がそのまま旭川行きになるので、
そのまま乗っていたい気もしますが、
車内は一度締切となるので、列車を一度降ります。
何故か旭川行きのサボは入らず、サボなしのままで、
16:12まで一休みするキハ40。
遠軽での待ち時間を利用して瞰望岩へ行ってみました。
行き方は駅員さんが親切に教えてくれました。
遠軽駅を出て線路沿いに歩き、
線路が旭川と網走方面と二股に分かれた直後の踏切をわたります。
↓
正面の神社を見ながら、遠軽町郷土館のところを左に曲がります。
↓
右側に見えてくる、D51などが静態保存中の遠軽公園に入ります。
↓
公園に入り、山の縁を水路沿いに歩いて、公園の奥の方へ行きます。
↓
写真の「遠軽町いわね福祉ホーム」に至ります。
↓
この建物の右側の階段(写真右)を上がっていくと瞰望岩へ登れます。
駅から岩の上まで徒歩で20分くらいでしょうか。
瞰望岩へ登ってみると、息をのむ景色の素晴らしさ!
遠軽の町を一望できます。
遠軽駅と駅構内が模型のように見えます。
望遠にすると構内のターンテーブルも良く確認出来ます。
こちらは旭川方面へ延びる石北本線。
線路が描く緩やかな曲線は実に美しいです。
こちらは、網走方面へ向かう線路です。
瞰望岩からの景色を堪能し、駅へと向かいます。
途中通る元遠軽機関区の公園には、D51が保存されていました。
遠軽駅へと戻ってきました。
キハ40達がたむろしています。
遠軽駅の外観です。
駅舎右の離れた建物が駅そばのお店です。
残念ながら、駅舎に戻ってきたときは閉まっていました。
一日1本しかない旭川行き鈍行列車の発車時刻が迫ってきました。
2番線のりば改札中となっています。
遠軽駅ののりば案内には、名寄本線の名残がありました。
また跨線橋の床は枕木?なのか木で構成されていました。
それでは、4662D改め4626Dに乗車します。
乗車するのは、旭川方の未更新車、キハ40 732です。
下白滝駅へ到着しました。
ホームには、ほどよく草が生えています。
下白滝駅では、快速きたみとの交換をしました。
列車の貫通路を隔てて隣の車両を見ると
ワンテンポずれて揺れるのが良く見えます。
列車ならではの光景ですね。
秘境駅、上白滝駅へ到着しました。
自動車で最終列車である本列車を見送りに来ている数人がいました。
と、驚いたのがそのうちの一人が乗車してくるではありませんか。
(写真の人ではありません)
見た感じ鉄旅をなさっている方に見受けられましたが、
まさか一日1本のこの列車に、この駅から乗ってくるとは驚きました。
鉄旅愛好者として、敬意を表したいと思います。
ガラガラの二両編成は、北見峠へ向けて徐々に高度を上げていきます。
このとき乗車していたのは、上白滝駅から乗車した人を含む計6名で、
全て旅行者らしき人でした。
だんだんと山へ分け入っていきます。
旧奥白滝駅こと、奥白滝信号場へ進入します。
今も駅舎は残っていました。
現役のころに来られなかったのが悔やまれます。
谷を越え、列車は人口希薄地帯をゆっくりと進んで行きます。
山が迫り、シェルターが連続します。
エンジンを唸らせながら徐々に徐々に北見峠を目指します。
ゆっくりゆっくりと峠を登っていきます。
1:03 時速25キロで運転している様子
峠を登り切り、ホッとしたかのようにトンネルに入ります。
そして列車は上越信号場へ到着しました。
列車左手には、駅と見まがう立派な木造建屋がありました
柱に設置された立て看板には、「上越駅」の文字がありました。
北海道の鉄道停車場で最も高い標高にあるそうです。
長時間上越信号場で停車したのち、オホーツク5号と交換しました。
これでオホーツクと交換するのは本日3回目です。
列車は上越信号場から静かに坂を下り、上川駅へ到着しました。
上白滝駅から上川駅まで68分間。
一駅に要する時間としては日本一長い列車なのだそうです。
上川駅では40分弱の停車時間があります。
停車中に運転士さんへ聞いてみたところ、この列車は
かなり余裕を持たせたダイヤとなっているようで、
ゆっくり走っているつもりでも、早く着いてしまいそうになるのだとか。
たまに空転して峠を上がれなくなってしまうことがあるらしく、
その場合は、後日条件の良い日に回送するとのこと。
また、同じキハ40でも新型エンジンの車両は出力が勝ちすぎて
空転しやすいなど、実に興味深いお話を聞かせてくれました。
上川駅ホームのドーム上の仕切りは、ここでしか見たことがありません。
上川駅では停車時間を利用して、近くのセイコーマートに行き、
カップ焼きそばを買って、食べました。
駅前から直接セイコーマートは見えませんが、歩くと5分程度ですぐに辿り着けます。
伊香牛駅で列車交換のため、6分ほど停車します。
ログハウス状の駅舎と、真ん中のランプが実に良い雰囲気を醸し出しています。
20:05、列車は定刻通りに旭川駅へ到着しました。
網走駅を出て約8時間、実に濃密な時間を過ごすことが出来ました。
窓の開くキハ40に揺られて、外を眺めていると
特急では気づかなかった様々な景色や駅の表情を見ることが出来ました。
これこそ、鈍行列車だけが成せる技です。
機会があれば、今度は上川発朝一番の下り普通列車に乗って
石北本線を旅してみたいものです。
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おまけ
旭川駅の隣のホームには、上川駅行きの
キハ40 834が停車していました。
この車両(キハ40 834)の化粧板が優等列車用車両と
同じピンク色でした。
以前にも函館近辺でこのような化粧板を持つキハ40に
乗車したことがありましたが、何だかラッキーなようで
見かけると嬉しくなります。
優等列車用の化粧板がたまたま余っていたのか、
北海道のキハ40の一部を優等列車に当てようとしていたのか、
いろいろと想像はふくらみますが、実際の理由は良く分かりません。
↓
どうやら、キハ40-100番台の一次型(101-116)はピンク色の化粧板で落成したようです。
現在は700番台へと改造され、原番+725として、826-841になっている模様です。