2018年1月2日火曜日

寝台特急「サンライズ出雲」シングルツイン乗車記

唯一の定期夜行列車であるサンライズ出雲・瀬戸。今回は出雲市から東京までの上り列車のシングルツインに乗車する機会を得た。出雲大社や一畑電車での思い出を胸に、旅の最後はサンライズ出雲の一夜となった。

出雲市駅の電光掲示板には
サンライズ出雲の表示が出ている。
これに乗れば、そのまま東京駅まで行けてしまう。
当然といえど、その有り難みは大きい。
車掌さんに聞いてみると、この日の乗車率は100%で
満席とのことであった。


18時46分、サンライズ出雲号が2番線へと入線してきた。
これから乗車する旅人がホームで待ち構える。

出雲市駅2番線で発車を待つ、サンライズ出雲。
上品なカラーリングと落ち着いた雰囲気は
夜行列車に相応しい外観である。

まもなく東京駅へ向けて、
953.6km(営業キロ)の旅が始まる。
2018年現在、日本最長距離の在来線特急列車である。

出雲市、松江、米子で乗客を集め、伯備線を経由して岡山、
そして山陽本線、東海道本線を走り、東京へ至る。

こちらは4号車の号車表示。
A寝台シングルデラックスとB寝台ツインで構成されている。
今回は鉄旅の先輩であるJ氏と乗車した。
J氏の寝床はシングルデラックスである。
後でお邪魔するとしよう。

こちらは、私が乗車した6号車。
車端部にシングルツイン、中央部にシングルが
配置されている。
私は寝床は車端部のシングルツインである。

出雲市を出てから1時間ほどで米子駅へ到着する。
この駅からも多数の乗車があったようた。
お隣と斜向かいシングルツインには
この駅からの乗車客がおさまった。

先頭では鉄道関係者が車両の状況を確認していた。
後に分かったことだが、このとき
先頭の貫通扉が損傷している状態であった。

伯耆大山駅から伯備線へ入ると、
街の灯が段々と減ってくる。
その分、夜の景色を堪能することができる。
写真に撮ることは出来なかったが、この晩は
月の輝きが強く、雪を被った大山をハッキリと
確認することが出来た。
写真は伯備線内の運転停車した駅。
写真右上に星が見えることからも分かるように
この日は良く晴れていた。

伯備線に入ってから夕飯をとることにした。
今晩のメニューは出雲市駅で買ったかに寿司。
ほぐされたカニの身と錦糸卵、酢飯が
絶妙なハーモニーを奏でる。美味しかった。

上りサンライズ出雲は
下り特急「やくも」と列車交換するため、
布原駅に運転停車する。
秘境駅にサンライズが停まるということが中々面白い。
伯備線は夜行列車あり、昼行特急あり、貨物列車あり、
秘境駅あり、良い車窓ありと、実に面白い路線だと思う。
J氏が利用したシングルデラックスは
停車位置がちょうど駅名票の前であった。
お邪魔して駅名票を撮影させてもらう。

こちらは私の部屋である6号車シングルツインから
撮影した布原駅の様子。

~ここでシングルツインをご紹介~
1人で利用する場合の寝台料金は9,430円
2人で利用する場合の寝台料金は9,430円+5,400円となる。
 シングルツインは部屋が高いのが特徴で、
2人でも利用できるように2段ベッドが用意されている。

部屋の片側に階段兼、小荷物置き場があって、
上段寝台へはそこから上がる。

下段ベッドの真ん中部分は取り外すことができる。 

ベッドの中央部を取り外せば、ご覧のとおり
ボックスシート状態となる。
ちゃんとテーブルまで用意されていて、
車窓を楽しみに2人旅をされる方には
ツインよりシングルツインに軍配が上がる。
1人で利用の際には、寝るときは上段、
座って車窓を眺めるときは下段といった
利用も可能だ。


向かい合わせ状態にして、
車窓を堪能しながらの旅は良い思い出となるだろう。

2人でも利用できる個室とあって、
コップも2個用意されている。

上段、下段ともに枕のそばには、
コントロールパネルがある。
NHK-FMを聞けるほか、照明の調節、
目覚ましのアラームなどがある。

こちらは上段カーテンのスイッチ。
上段、下段ともに寝台から手の届くところに
スイッチが配置されている。
上段のカーテンはボタンを押せば電動で開閉ができる。
1人で下段寝台を利用する際への配慮だろう。
なお、下段のカーテンは手動である。

階段の最下段の中にはコンセントがある。
1口しかないので、2人で利用する際には
分岐タップを持参すると良いだろう。

こちらは上段寝台の様子。
私は上段で寝ることを選んだが、
至って快適な睡眠を得ることができた。

ドアの上には小スペースがあり、
紙袋や小物などを置くことができる。

上段ベッドに上がる階段そばには
ハンガーも用意されている。

上段の魅力は何と言っても、
この空へ向かって湾曲した窓。
寝転びながら星空を眺められる。
それを実践すべく、岡山駅を出てから
部屋の明かりを落とし、
毛布にくるまって夜空を眺めようとしたのだが、
心地よい揺れに負けて、すぐに寝てしまった。

~シャワールームをご紹介~
B寝台利用者は3号車(10号車)の
シャワールームを利用できる。
3号車(10号車)のミニロビーで320円の
シャワーカードを買えば誰でも利用できる。

脱衣場のドライヤーの下にシャワーカードを
挿入する箇所がある。
シャワーはお湯が出る時間が6分。
お湯停止ボタンも押せるので、
6分間は十分な時間である。
(6分とはシャワー室利用時間ではない)

シャワーを浴びた後は
シャワールーム洗浄ボタンを押して終了。

~岡山駅到着~
岡山駅では先に到着していたサンライズ瀬戸と連結。
この日はサンライズ出雲側の貫通路が損傷していたので、
貫通幌が設置されることはなかった。

岡山駅で高松から来たサンライズ瀬戸と合流し、
14両編成となったサンライズ。
夜行列車には長大編成が似合う。

ホームには、サンライズ専用の乗車位置番号がある。


回送する115系と並走しながらの岡山出発となった。

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夜空を見ながら就寝すべく、
上段寝台で毛布を被ったらすぐに眠気がやってきた。
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気がつけば列車は平塚駅を通過したところであった。


途中の大船駅では
上野東京ラインの高崎行きを追い越した。
実に特急らしい走りである。


そして最後の途中駅、横浜駅へ到着。
7号車のデッキからは親子連れが一組下車していった。


もう東京の通勤圏に入っているせいか、
6時台というのにホーム上の人は多い。


横須賀線の車両が見えるあたり、
関東へ帰ってきた実感が湧きあがる。


デッキから横浜駅出発を見届ける。
次は終点の東京駅である。


横浜~東京は並走が多く楽しい区間である。
こちらは横須賀線・総武本線、君津行き。


ほぼ同じ速度で走っているせいか、
向こうが少しずつ前に行くときもあれば、
その逆もあり。


 今度は京浜東北線と並走。

向こうは駅が多いため、やはりサンライズが
先へと進んでいく。


やがて京浜急行が東海道線を跨いで
列車左側に見えてくれば品川駅である。
サンライズは品川駅を通過する唯一の?列車である。
新幹線ですら全列車停車する駅を通過するあたり、
夜行列車好きとしては、優越感を感じてしまう。

再開発の進む、旧田町電車区、品川客車区を通過。


有楽町駅の大カーブを曲がると
いよいよ旅の終焉を迎える。 

赤レンガ駅舎と丸ノ内のビル群に出迎えられつつ、
東京駅へと到着する。


定刻通り、東京駅へと到着。
キャリケースや大荷物を抱えた旅人達が降りていく。
こういった光景が夜行列車らしい。


貫通幌の無いクハネ同士の連結部。

クハネ285-3003の貫通扉は痛々しい状態となっていた。


東京駅のホームを変えて9番線から
サンライズを眺めてみる。
この列車の旅は実に快適で暖かかった。


7時26分、田町へ向けてサンライズの回送が発車していく。
出雲市から東京までの12時間17分は余りにも短く、
楽しい時間であった。
やはり夜行列車は素晴らしい。
サンライズでの旅は病みつきになりそうだ。


↓は過去のサンライズ乗車記
サンライズ出雲 シングルデラックス乗車記(下り)



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